サロンの資金繰り表を5行で作る|利益が出ているのに払えない理由
最終更新: 2026年7月28日
Summary
利益と現金は別物です。カード決済の入金遅れ、回数券の前受金、年に数回の税金。ずれを見る5行の表の作り方、出ていく額から書く順序、足りないと分かったときの手立てを整理します。
利益が出ているのに、月末に支払いができない。そういうことが起きます。
利益と現金は別物だからです。売上が立った時点と、現金が入る時点にはずれがあり、そのずれを把握していないと資金が足りなくなります。

利益と現金がずれる理由
サロンで現金のずれが生じる場面を挙げます。
カード決済や事前決済を使っている場合、決済してから入金までに日数がかかります。月末に売れても、入金は翌月になります。
回数券やコースを売った場合、現金は先に入りますが、施術はこれから提供します。手元にある現金の一部は、まだ提供していない役務の預かりです。
仕入れの支払いが後払いなら、材料を使った月と支払う月がずれます。
機器を分割で購入している場合、費用として計上する額と、実際に支払う額が一致しません。
税金と社会保険料は、毎月ではなく年に数回まとまって出ていきます。
これらのずれを見るのが資金繰り表です。損益計算とは別に、現金の動きだけを追います。
表は5行で足りる
複雑な様式は要りません。月ごとに次の5行があれば機能します。
月初の残高です。前月末に手元と口座にあった額の合計です。
入ってくる額です。現金の売上、カード決済の入金、その他の入金。
出ていく額です。仕入れ、家賃、人件費、光熱費、返済、税金。
差引です。入ってくる額から出ていく額を引きます。
月末の残高です。月初の残高に差引を足したものです。これが翌月の月初の残高になります。
| 項目 | 4月 | 5月 | 6月 |
|---|---|---|---|
| 月初の残高 | 800,000 | 720,000 | 690,000 |
| 入ってくる額 | 950,000 | 880,000 | 1,020,000 |
| 出ていく額 | 1,030,000 | 910,000 | 940,000 |
| 差引 | −80,000 | −30,000 | 80,000 |
| 月末の残高 | 720,000 | 690,000 | 770,000 |
この形で3か月から6か月先まで書くと、いつ苦しくなるかが見えます。
出ていく額を先に書く
作るときの順序があります。出ていく額から書いてください。
理由は、こちらのほうが確実だからです。家賃、返済、リースの引き落とし。金額と日付が決まっています。
一方、入ってくる額は予測です。何人来るか、いくら使われるかは変動します。
確実なものを先に置き、その合計を知ってから、必要な売上を考える。この順序だと、目標が具体的になります。

出ていく額を書き出すときは、毎月出るものと、年に数回出るものを分けてください。後者を忘れると、その月に大きく足りなくなります。
年に数回出るものの例を挙げます。所得税や住民税、事業税、消費税、社会保険料の一部、火災保険や賠償責任保険の年払い、機器の保守費用、システムの年払い。
入ってくる額の見積もり方
売上の予測は、控えめにしてください。多めに見積もると、資金が足りなくなったときに手遅れになります。
過去の実績を基準にしてください。前年の同じ月、あるいは直近3か月の平均。
季節の変動を反映してください。閑散期が分かっているなら、その月は下げて見積もります。
入金の時期を正しく置いてください。売上の月ではなく、実際に現金が入る月に書きます。カード決済の入金が翌月なら、翌月の行に入れます。
予定が決まっている入金は分けて書いてください。回数券の販売、まとまった注文。これらは通常の売上と分けたほうが、変動の要因が見えます。
季節の変動を織り込む
サロンには繁閑があります。これを表に反映しないと、実態と合いません。
まず、自店の繁閑を実績で確認してください。過去1年から2年の月別の売上を並べると、傾向が見えます。感覚と実績はずれることがあります。
多くの美容室では、2月と8月が落ちるとされています。ただし、業態と客層によって異なります。ブライダルを扱う店は春と秋に集中し、成人式を扱う店は1月に偏ります。
閑散期の月は、入ってくる額を下げて見積もってください。前年の同じ月を基準にすると分かりやすくなります。
繁忙期の直後にも注意してください。売上が立った翌月に入金される場合、繁忙期の翌々月まで資金が潤沢に見えます。その後に落ち込みます。
閑散期に向けた備えは、繁忙期のうちにしてください。売上が良い月に使い切ると、落ちた月に足りなくなります。
| 時期 | 資金繰りで見ること |
|---|---|
| 繁忙期 | 使い切らず、閑散期の分を残す |
| 繁忙期の翌月 | 入金が集中するが、これは前月分 |
| 閑散期 | 入ってくる額を下げて見積もる |
| 閑散期の翌月 | 入金も落ちる。ここが最も苦しい |
見るべき点
作った表から、次を読み取ってください。
残高がいちばん少なくなる月はいつか。そこが危険な時期です。
残高が一定額を下回る月はないか。手元に残しておくべき最低額を決め、それを割る月があるなら対策が要ります。
出ていく額が集中する月はどこか。税金や年払いが重なる月は、事前に備えます。
差引がマイナスの月が続いていないか。1か月なら吸収できても、続くと残高が減り続けます。
最低額の目安は、月の固定費の3か月分程度という考え方があります。ただし、業態と状況によって適切な額は変わります。
足りないと分かったときの手立て
早く気づけば、打てる手があります。
支払いの時期をずらせないか相談してください。仕入先への支払日、リースの引き落とし日。応じてもらえる場合があります。
入金を早められないか検討してください。事前決済の導入、回数券の販売。ただし、前受金は後で提供する義務が生じます。
出ていく額を減らせないか見てください。使っていないサービス、過剰な在庫、削れる経費。
融資を検討してください。資金が尽きてからでは審査が通りにくくなります。余裕があるうちに相談してください。
売上を増やす手立ては、効果が出るまでに時間がかかります。資金が足りない状況では、支出を減らすほうが確実です。

借入がある場合
返済がある店では、資金繰りの見方が変わります。
返済額を毎月の出ていく額に必ず入れてください。元本の返済は経費になりませんが、現金は確実に出ていきます。損益計算書だけを見ていると、この支出が見えません。
据置期間の終わりを把握してください。利息だけを払う期間が終わると、元本の返済が始まり、月の支出が増えます。この時期を表に反映してください。
複数の借入がある場合、それぞれの返済期間と月額を一覧にしてください。いつ完済し、いつ負担が軽くなるかが分かります。
返済が苦しくなりそうなら、早めに金融機関へ相談してください。返済条件の変更に応じてもらえる場合があります。延滞してからでは、選択肢が減ります。
追加の借入を検討する場合、既存の返済と合わせて負担できるかを表で確認してください。借りられる額と、返せる額は違います。
実績と比べて精度を上げる
作った表は、予測です。実際どうだったかと比べてください。
月末に、予測と実績を並べます。入ってくる額、出ていく額、月末の残高。
ずれた項目を確認してください。売上が届かなかったのか、想定外の支出があったのか。
ずれの理由が分かれば、次の予測が正確になります。3か月から6か月続けると、自店の傾向がつかめます。
大きくずれる項目があれば、その項目だけ細かく見てください。たとえば材料費が毎回ずれるなら、仕入れの記録を取ってください。
記録が揃っていないと作れない
資金繰り表の前提は、売上と支出の記録です。ここが曖昧だと、表も曖昧になります。
VANNAでは、予約が顧客と紐づき、来店ごとの記録が残ります。事前決済を使っている場合、決済の記録も残ります。売上は店のStripe口座へ直接入金され、VANNA側の予約・販売手数料は0円です。Stripeの決済手数料は店舗負担で別途かかります。入金の時期はStripe側の設定によるため、資金繰り表に書くときは実際の入金日を確認してください。
資金繰り表を作る機能はありません。集計した数字を、表計算ソフトか会計ソフトへ入力する形になります。この点は把握しておいてください。
料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円です。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。
大きな支出を計画に入れる
予定している支出は、決まった時点で表に入れてください。
機器の購入や入れ替えです。金額が大きく、資金繰りへの影響が直接出ます。分割やリースにする場合も、月額を毎月の出ていく額に加えます。
内装の改修です。数年ごとに必要になります。時期が読めるなら、その月に置いてください。
スタッフの採用です。給与だけでなく、社会保険料の事業主負担、募集にかかる費用も含めます。採用してすぐに戦力になるとは限らないため、売上が増えるのは数か月後として見積もります。
広告や販促です。効果が出るまでの期間を考慮し、支出だけが先に立つ期間を織り込んでください。
自分の生活費も忘れないでください。個人事業では、事業の資金と生活の資金が混ざりがちです。毎月いくら引き出すかを決め、それも出ていく額に入れてください。
これらを入れずに作った表は、実態より楽観的になります。決まっていない支出も、可能性が高いものは概算で入れておくほうが安全です。
開業直後はとくに重要
開業から数か月は、売上が安定しません。一方、支出は開業前から発生しています。
開業前に、黒字になるまでの期間を見積もってください。その期間の赤字を、手元の資金で支えられるかを確認します。
見積もりは楽観的になりがちです。想定より半年遅れても持ちこたえられるかを確認してください。
融資を受けている場合、返済の開始時期も確認してください。据置期間が終わると、支出が増えます。
開業直後に資金が尽きる例は少なくありません。多くは、売上の立ち上がりを早く見積もりすぎたことが原因です。
続けるための最小の運用
毎月更新しなければ意味がありません。負担を減らす工夫を挙げます。
様式を固定してください。毎回作り直すと続きません。1つの表を使い回し、月ごとに列を足していきます。
更新の日を決めてください。月末の記帳と同じ日にやると、数字がその場で揃います。
項目を増やしすぎないでください。細かく分けるほど入力が増えます。まとめられるものはまとめてください。
数字は概算で構いません。100円単位まで合わせる必要はありません。千円単位でも、傾向は見えます。
過去の分は残してください。何か月分も並ぶと、季節の傾向が見えてきます。
15分で終わる形にしてください。それ以上かかる様式なら、簡素にしたほうが続きます。続かない精緻な表より、続く粗い表のほうが役に立ちます。
よくある質問
どれくらい先まで書けばよいですか
3か月から6か月が目安です。それ以上先は予測の精度が落ちます。毎月更新し、常に数か月先が見える状態にしてください。
手元に残しておくべき額の目安は
月の固定費の3か月分程度という考え方があります。ただし、業態、季節変動の大きさ、借入の有無によって適切な額は変わります。自店の状況で判断してください。
会計ソフトがあれば資金繰り表は不要ですか
会計ソフトは過去の記録を扱います。資金繰り表は先を見るものです。目的が違うため、両方が必要になります。ソフトによっては、資金繰りの予測を出せるものもあります。
回数券を売ると資金が増えますが、問題ありませんか
現金は増えますが、施術を提供する義務が残ります。未消化分に相当する額は、運転資金と分けて把握してください。全額を使うと、解約や閉店の場面で返せなくなります。
予測が毎回外れます
外れること自体は普通です。ずれた項目と理由を確認し、次に反映してください。3か月から6か月続けると精度が上がります。最初から当てようとしないでください。
資金が足りなくなりそうなとき、誰に相談しますか
税理士、取引のある金融機関、商工会議所などが相談先です。資金が尽きてからでは選択肢が減ります。余裕があるうちに相談してください。
借入の返済はどこに書きますか
出ていく額に必ず入れてください。元本の返済は経費になりませんが、現金は確実に出ていきます。損益計算書だけを見ていると、この支出が見えません。据置期間の終わりも表に反映してください。
自分の生活費も入れるべきですか
入れてください。個人事業では事業の資金と生活の資金が混ざりがちです。毎月いくら引き出すかを決め、それを出ていく額に含めてください。決めていないと、必要な額が見えません。
作るのに時間がかかって続きません
15分で終わる形にしてください。様式を固定し、更新の日を月末の記帳と同じ日にします。数字は千円単位の概算で構いません。続かない精緻な表より、続く粗い表のほうが役に立ちます。
出典
本記事は2026年7月時点の一般的な情報の整理であり、個別の財務上の助言ではありません。資金計画、融資の判断、前受金の扱いについては、税理士等の専門家にご確認ください。VANNAの料金・機能・キャンペーン条件は変更される場合があります。



