サロンの経費管理を月末30分で回す|記帳の習慣と家事按分の考え方
最終更新: 2026年7月28日
Summary
確定申告の時期に1年分の領収書と向き合うのは、月次の習慣がないからです。月末の4作業、経費の分類、通帳の分け方、家事按分の根拠の残し方、帳簿をつける3つの方法を整理します。
確定申告の時期に、1年分の領収書を前に途方に暮れる。個人サロンでよく起きることです。
原因は、やり方が悪いのではなく、月次の習慣がないことです。毎月30分の作業を12回やれば、申告期の徹夜は起きません。

月末にやることを4つに固定する
複雑な経理は必要ありません。次の4つを月末に済ませてください。
第一に、売上を確定させます。その月にいくら売れたかを集計します。施術と物販は分けて記録してください。
第二に、経費を分類して記録します。領収書を項目ごとに分け、金額を入力します。
第三に、通帳と現金を突き合わせます。記録した数字と、実際のお金が合っているかを確認します。
第四に、残高を確認します。手元にいくらあり、来月の支払いに足りるかを見ます。
| やること | 目安の時間 |
|---|---|
| 売上の確定 | 5分 |
| 経費の分類と記録 | 15分 |
| 通帳と現金の突き合わせ | 5分 |
| 残高の確認 | 5分 |
30分です。これを毎月やれば、申告時にやることは年間の集計と申告書の作成だけになります。
領収書は月ごとに分ける
ためると分からなくなります。月ごとに封筒か袋を用意し、その月の領収書を全部そこに入れてください。
入れるときに、何に使ったかを余白に書いておくと後で助かります。「◯◯商店 3,200円」だけでは、数か月後に何を買ったか思い出せません。
電子で受け取った領収書は、印刷するか、決めた場所に保存してください。メールの中に埋もれると、探せなくなります。なお、電子で受け取った取引の記録は、電子のまま保存することが求められる場合があります。要件は制度によって定められているため、国税庁の情報を確認するか、税理士に相談してください。
現金で払ったものは、その場でメモしてください。レシートが出ない支払いもあります。何にいくら使ったかを記録しないと、経費として計上できません。
経費の分類は最初に決める
分類を毎回考えていると時間がかかります。最初に項目を決め、それに沿って振り分けてください。
サロンでよく使う項目を挙げます。
| 項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 材料費 | 薬剤、カラー剤、ジェル、コットン |
| 消耗品費 | タオル、掃除用品、事務用品 |
| 地代家賃 | 店舗の家賃 |
| 水道光熱費 | 電気、ガス、水道 |
| 通信費 | 電話、インターネット |
| 広告宣伝費 | チラシ、ポータル掲載料、広告費 |
| 支払手数料 | 決済手数料、振込手数料 |
| 減価償却費 | 機器や内装の按分 |
| 研修費 | 講習会、セミナーの費用 |
| 旅費交通費 | 仕入れや講習への移動 |
項目は自分で決めて構いませんが、途中で変えないでください。前年と比べられなくなります。
迷う支出は、判断を保留せず、いったんどこかに入れて印を付けておいてください。年末に税理士へまとめて確認するほうが早く済みます。

家事按分は基準を決めて記録する
自宅の一部をサロンにしている場合、家賃や光熱費のうち事業に使った分を経費にできます。
按分の考え方は、合理的な基準で分けることです。
面積で分ける方法があります。全体の床面積のうち、サロンとして使っている部分の割合で計算します。
時間で分ける方法もあります。1日のうち何時間を事業に使っているか、あるいは週に何日使っているかで計算します。
どちらの基準を使うにしても、計算の根拠を残してください。「何となく5割」では説明できません。図面や間取り、営業日数といった根拠を保存しておきます。
一度決めた基準は、途中で変えないでください。変える場合は理由を説明できるようにしてください。
按分の割合が適切かどうかは、実態によって判断が変わります。判断に迷う場合は税理士に確認してください。
通帳を分ける
事業用と私用の口座を分けてください。分けていないと、記帳のたびにどれが事業の取引かを判別する作業が発生します。
分けるだけで、次のことが楽になります。
通帳の明細が、そのまま事業の記録になります。
売上の入金と経費の支払いが一覧で見えます。
税務上の確認を受ける場面でも、説明しやすくなります。
クレジットカードも分けてください。事業用のカードを1枚作り、事業の支払いはそれだけを使う運用にすると、明細がそのまま記録になります。
すでに混ざっている場合、いまからでも分けてください。過去に遡って分けるのは大変ですが、今後の分は楽になります。
支払いの時期をずらさない
記帳とあわせて管理したいのが、支払いの時期です。同じ月に集中すると、資金が足りなくなります。
まず、毎月の支払いを日付順に書き出してください。家賃、光熱費、仕入先への支払い、リースの引き落とし、税金。日付と金額が並ぶと、月のどこで資金が減るかが見えます。
売上の入金時期も同じ表に入れてください。カード決済は、決済してから入金までに日数がかかります。月末に売れても、入金は翌月になることがあります。
出ていく日と入ってくる日がずれていると、通帳の残高は月の途中で大きく減ります。ここを把握していないと、残高があるつもりで引き落としに失敗します。
支払いが集中しているなら、時期をずらせないか相談してください。仕入先への支払日、リースの引き落とし日。変更に応じてもらえる場合があります。
税金と社会保険料も忘れないでください。毎月ではなく、年に数回まとめて来るものがあります。来ることが分かっている支出は、毎月の資金繰りに織り込んでおいてください。
現金の扱い
現金の取引が多いと、記録が煩雑になります。減らす工夫をしてください。
支払いは可能な限りカードか振込にしてください。明細が自動で残ります。
売上のうち現金で受け取った分は、日ごとに集計してください。1日の終わりにレジの現金を数え、記録した売上と合っているかを確認します。
現金が合わないときは、その場で原因を探してください。時間が経つと分からなくなります。
事業用の現金と、自分の財布のお金を混ぜないでください。売上から直接生活費を取ると、いくら使ったか把握できなくなります。生活費は、事業用の口座から自分の口座へ移す形にしてください。
迷いやすい支出の考え方
サロンの支出には、事業か私用か判断しづらいものがあります。考え方を整理します。
自分が使う化粧品や美容用品。施術で使うものは材料費ですが、自分のために使うものは事業の経費になりません。同じ商品を両方に使う場合、使った量で分ける考え方があります。
美容室での自分の施術。同業者の店で受ける施術が、研究のためだと説明できるかは状況によります。単に自分の身だしなみのためなら、事業の経費とは言いにくくなります。
服装。制服として使うもので、私用に使わないと言えるものは経費になりえます。私服と兼用しているものは難しくなります。
飲食。取引先や仕入先との打ち合わせを伴うものは、その事実を記録してください。誰と、何の用件で、という記録がないと説明できません。一人での食事は、原則として事業の経費になりません。
書籍や講習。技術や経営に関するものは、研修費として扱える場合があります。何のために購入したかを記録しておいてください。
| 支出 | 考え方 |
|---|---|
| 施術で使う材料 | 材料費 |
| 自分用の化粧品 | 原則として経費にならない |
| 制服として使う衣類 | 私用に使わないと言えるなら経費になりうる |
| 取引先との飲食 | 相手と用件の記録が要る |
| 技術書・講習 | 研修費として扱える場合がある |
判断に迷うものは、無理に自分で決めず、印を付けて税理士に確認してください。誤った処理をして後から指摘されるより、先に確認するほうが手間が少なくなります。
帳簿をつける方法
方法は3つあります。自分の状況に合うものを選んでください。
会計ソフトを使う方法です。銀行口座やカードと連携すると、明細が自動で取り込まれます。分類も自動で提案されるため、確認と修正だけで済みます。月額の費用がかかりますが、時間の節約になります。
表計算ソフトを使う方法です。費用がかかりませんが、集計式を自分で作る必要があります。取引が少ないうちは十分機能します。
税理士に依頼する方法です。記帳から申告まで任せられます。費用はかかりますが、判断に迷う場面で相談できる利点があります。

青色申告で控除を受ける場合、記帳の要件があります。複式簿記による記帳と、貸借対照表の添付が求められる控除額と、簡易な記帳で足りる控除額があります。どちらを目指すかで、必要な作業が変わります。
売上の記録は予約から
売上の集計でつまずくのは、記録が分かれているときです。予約はポータル、会計はレジ、集計はノート。この形だと、月末に3か所を突き合わせることになります。
VANNAでは、予約が顧客と紐づき、来店ごとの記録が残ります。事前決済を使っている場合、決済の記録も残ります。売上は店のStripe口座へ直接入金され、VANNA側の予約・販売手数料は0円です。Stripeの決済手数料は店舗負担で別途かかります。
会計ソフトとの自動連携はありません。集計した数字を会計ソフトへ入力する作業は必要です。この点は導入前に把握しておいてください。
料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円です。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。
月次で見ると気づけること
記帳は税務のためだけの作業ではありません。毎月の数字を並べると、経営の変化が見えます。
材料費の割合を見てください。売上に対する材料費の比率が上がっているなら、仕入価格が上がったか、使いすぎているかです。原因を分けて確認してください。
固定費の合計を把握してください。家賃、光熱費、通信費、月額のサービス。これらは売上が減っても出ていきます。月にいくら必要かを知っていると、閑散期の備えができます。
前年の同じ月と比べてください。前月との比較は季節の影響を受けます。同じ月同士で比べるほうが、実態が見えます。
使っていない支出を探してください。契約したまま使っていないサービス、届いているが読んでいない定期購読。月次で明細を見ていると気づきます。
| 見る数字 | 気づけること |
|---|---|
| 材料費の割合 | 仕入価格の上昇、使いすぎ |
| 固定費の合計 | 閑散期に必要な最低額 |
| 前年同月との差 | 季節の影響を除いた実態 |
| 明細の中の不要な支出 | 使っていない契約 |
記帳を「やらされる作業」と捉えると続きません。自分の店の状態を知る手段だと考えると、続けやすくなります。
保存する期間
書類には保存の期間が定められています。捨ててよいかどうかを毎回考えなくて済むよう、年ごとに箱にまとめ、期間が過ぎたら処分する運用にしてください。
帳簿、決算関係の書類、現金や預金の取引に関する証拠書類は、原則として7年間の保存が求められます。書類の種類や状況によって期間が異なる場合があるため、国税庁の情報を確認してください。
顧客の情報が含まれる書類は、保存期間が過ぎたら適切に廃棄してください。個人情報として安全管理の義務が及びます。
よくある質問
記帳は毎日やるべきですか
毎日でなくて構いません。月末にまとめる形で十分です。ただし、現金の取引と、レシートが出ない支払いは、その場でメモしてください。後から思い出すのは困難です。
開業前に買ったものは経費になりますか
開業のために支出したものは、開業費として扱える場合があります。領収書を保存し、いつ何のために買ったかを記録しておいてください。扱いは税理士に確認してください。
会計ソフトは必要ですか
取引が少ないうちは表計算ソフトでも足ります。ただし、銀行やカードとの連携による自動取り込みは、記帳の時間を大きく減らします。月額の費用と、削減できる時間を比べて判断してください。
家事按分の割合はどれくらいが妥当ですか
一律の目安はありません。実際に事業で使っている面積や時間から計算してください。根拠を説明できることが重要です。判断に迷う場合は税理士に確認してください。
領収書をなくした場合はどうしますか
支払った事実を示す他の記録があれば、それを保存してください。振込の記録、クレジットカードの明細、出金の記録など。扱いは状況によるため、税理士に確認してください。
レシートと領収書はどちらが必要ですか
支払いの事実と内容が分かるものであれば、レシートでも記録として機能します。ただし、宛名や但し書きが必要になる場面もあるため、金額が大きいものは領収書を受け取っておくと安心です。
出典
本記事は2026年7月時点の一般的な情報の整理であり、個別の税務上の助言ではありません。経費の判定、家事按分の割合、書類の保存要件については、税理士または所轄の税務署にご確認ください。VANNAの料金・機能・キャンペーン条件は変更される場合があります。



