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接客・カウンセリング

お客様の持ち物を汚した・壊したとき|その場の初動と、弁償の線引き

公開: 2026年8月6日

Summary

こちらが起こした物損への対応を整理します。気づいた側から伝えるという前提、事実から始める伝え方、その場で金額を約束しない理由、記録に何を残し何を残さないか、クリーニングで済むかの確認、いくらまで自己負担するかの線、保険を使うかの判断、スタッフに隠させない伝え方を扱います。

薬剤がかかって、お客様のブラウスにしみができました。気づいたのは、お帰りになった後です。連絡すべきか、黙っているべきか、迷いました。

こちらが起こした事故です。相手から申し出があるクレームとは、方向が逆になります。気づいた側から伝える、という前提で組んでください。

なお、相手から申し出があった場合の初動はサロンのクレーム対応で、保険そのものの選び方は施設賠償責任保険の基本で扱っています。この記事は、その場の判断に絞ります。

気づいた時点で、こちらから伝える
気づいた時点で、こちらから伝える

気づいたら、こちらから言う

最初に決めるのは、ここです。ほかの判断は、これが前提になります。

黙っていると、後で気づかれます。そのとき、隠したという事実が加わり、話が2倍重くなります。

そして、多くの場合は気づかれます。着るたびに目に入る場所なら、なおさらです。

そのため、気づいた時点で伝えてください。施術中なら、その場で。終わってからなら、連絡します。

なお、こちらが原因かどうか分からない場合もあります。その場合も、状態を伝えて確認していただくほうが安全です。

場面動き
施術中に気づいたその場で伝える。作業を止めて確認
帰る前に気づいた会計の前に伝える
帰った後に気づいたその日のうちに連絡する
判断がつかない状態を伝えて確認していただく

伝え方を決めておく

言い方で、その後が変わります。決めておいてください。

まず、事実を言ってください。「薬剤がかかって、こちらにしみができています」。曖昧にすると、後で食い違います。

そして、謝ってください。ただし、長く謝り続けないでください。相手が気を使うことになります。

次に、これからどうするかを示してください。「クリーニングの費用をお持ちします」「弁償させていただきます」。選択肢を出す形です。

なお、その場で金額を約束しないでください。確認してから、と伝えてよい場面です。

記録をすぐ取る

後から必要になります。その場で残してください。

撮るのは、状態が分かる写真です。ただし、必ず許可を得てください。

そして、日時、何が起きたか、使っていた薬剤や道具、どこに付いたかを書いてください。時間が経つと、細部が曖昧になります。

なお、こちらの過失かどうかを記録に書かないでください。事実だけを残し、判断は後で行います。

記録の考え方は、顧客台帳をどう作るかでも整理しています。

記録は事実だけを残す
記録は事実だけを残す

弁償の判断

ここが最も迷う部分です。基準を先に決めてください。

まず、クリーニングで済むかを確認していただきます。落ちるなら、その費用で解決する場合が多くあります。

落ちない場合は、弁償の話になります。ただし、金額の判断はその場でしないでください。

そして、いくらまで自分で負担するかの線を決めておいてください。少額なら保険を使わずに払うほうが、手続きの時間を考えると合理的な場合があります。

なお、高額なものは別です。ブランドの衣類やアクセサリーなら、保険会社に相談してください。加入している内容によって、対応できる範囲が変わります。

保険を使うかの判断

保険があっても、必ず使うわけではありません。ここも考えてください。

使う場合、手続きに時間がかかります。相手に待っていただくことになります。

そして、使った記録は残ります。頻繁に使うと、次の契約に影響する場合があります。

一方、額が大きいなら使ってください。自己負担では資金繰りに響きます。

判断の目安を、金額で決めておいてください。「◯円までは自分で払う」と決めておけば、その場で迷いません。

物によって判断が変わる

同じ弁償でも、物ごとに扱いが違います。分けて考えてください。

衣類は、クリーニングで解決する場合が多くあります。まず落ちるかを確認していただき、費用をこちらが持つ形が現実的です。

一方、バッグや財布は、部分的な修理ができるかどうかで変わります。同じものを買い直す前提で話すと、金額が跳ね上がります。

眼鏡や時計は、修理に出せる場合があります。相手が普段使っている店に出していただき、費用を持つ形が収まりやすい形です。

スマートフォンは、画面が割れると修理費が高くなります。加えて、中のデータの話が出ると、こちらでは対応できません。

なお、金額の話が動く物ほど、その場で結論を出さないでください。一度持ち帰る形にしてください。

現実的な着地
衣類クリーニングで落ちるか確認。費用を持つ
バッグ・財布修理できるか確認。買い直し前提にしない
眼鏡・時計普段の店に出していただき、費用を持つ
スマートフォン修理費が高い。持ち帰って確認する
貴金属・ブランド品保険会社を通す。その場で判断しない

求められた金額が高いと感じたとき

ここで感情的になると、話が長くなります。手順にしてください。

まず、否定から入らないでください。「そんなに高くない」は、争いの入り口です。

そして、根拠を出していただいてください。購入時の価格か、修理の見積もりです。

次に、こちらも確認すると伝えてください。その場で受けず、その場で断らない形にします。

なお、開きが大きいまま話し続けないでください。保険会社に入っていただくほうが、双方にとって早い場面があります。

さらに、記録に残してください。求められた金額と、その根拠として示されたものを、そのまま書きます。

逆に、店の備品を壊された場合

こちらが請求する側になる場面です。前もって考えておいてください。

多くの場合、請求しません。金額に対して、失う関係のほうが大きくなります。

そして、故意でないなら、その場で流してください。「大丈夫ですよ」で終わらせるほうが、結果として得です。

一方、繰り返される場合や、明らかに故意の場合は別です。記録を残し、次回以降の来店をどうするかを考えます。

なお、高額な機器を通路側に置かないでください。ぶつかる場所にあるから、ぶつかります。

高額なものは事前に預かる

起きてからでは遅い部分です。仕組みで減らしてください。

上着やバッグを預かる形にすると、汚れる場面が減ります。ただし、預かった以上は責任が生じます。

そして、貴重品は預からないでください。「貴重品はお手元でお持ちください」と示せば、預かる責任が生じません。

なお、ケープや覆うものを使う場面では、隙間を確認してください。首元や袖口から入ります。

預かりものと忘れ物の扱いは、サロンの忘れ物の扱いで整理しています。

弁償と保険は線を先に決める
弁償と保険は線を先に決める

起きにくくする

対応を決めたら、次は減らす側です。ここは仕組みで効きます。

薬剤を扱う場所と、お客様の荷物を置く場所を離してください。近いほど、飛んだものが付きます。

そして、覆うものを毎回使ってください。「今日は短いから」で省くと、そういう日に起きます。

床の状態も見てください。滑って転ぶ事故は、物損より重い結果になります。

さらに、通路に物を置かないでください。引っかかって倒れる、という形で起こります。

保険に入っていない場合

入っていない店も、実際にあります。その前提で組んでください。

未加入なら、全額が自己負担になります。少額なら払えますが、高額な品では資金繰りに響きます。

そして、開業して間もない時期ほど、手元の資金が薄くなっています。1件で運転資金が消える形は避けたいところです。

そのため、加入していないなら、扱う品の想定額を1度書き出してください。来店される方が身に着けているものの幅が、そのまま想定額になります。

なお、加入するまでの間は、預かる運用を厚くしてください。上着とバッグを離せば、当たる面積が減ります。

保険そのものの選び方は施設賠償責任保険の基本で扱っています。

相手が「大丈夫です」と言った場合

その場で終わらせないでください。ここは注意が要ります。

遠慮して言われている可能性があります。その場では大丈夫でも、家に帰って気になることがあります。

そのため、連絡先を伝えてください。「もし落ちなければ、ご連絡ください」。

そして、記録には残してください。「申し出はなかった」ではなく、「こちらから伝え、その場では不要とのことだった」と書きます。

なお、後から連絡が来た場合は、そのときに対応してください。「あのとき大丈夫と言われた」は使わないでください。

決めること内容
前提気づいた側から伝える。黙らない
伝え方事実 → 短く謝る → これからどうするか
記録日時・状況・使っていたもの・付いた場所。判断は書かない
弁償まずクリーニングで済むか。金額はその場で約束しない
保険いくらまで自分で払うかの線を先に決める
予防薬剤と荷物を離す/覆うものを省かない

VANNAでできること

VANNAでは、顧客の記録に何が起きたか、どう対応したかをメモとして残せます。来店の履歴と同じ場所に置けるため、後から確認できます。カレンダー予約はMaxプランの機能で、来店前のメールリマインドは全プランで使えます。

一方で、賠償の手続きや保険の申請を行う機能はありません。保険会社への連絡は、別に行うことになります。

料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。

スタッフがいる場合

隠される可能性が、最も高い場面です。ここは先に伝えてください。

「起きたら必ず報告する」を、入った時点で伝えてください。責めない、という点もあわせて伝えます。

そして、実際に報告が来たときに責めないでください。1度でも責めると、次から隠されます。

判断は責任者が行う形にしてください。金額に関わるため、その場で新人に決めさせないでください。

なお、報告が上がってこない状態のほうが危険です。件数が少ないことを、良い状態だと思わないでください。

お客様の側で起きた場合

こちらの過失ではない場面もあります。ここも決めておいてください。

自分で椅子に引っかけた、鏡の前で落とした、という形です。責任の所在は変わります。

ただし、場所は店です。「うちは関係ありません」と言わないでください。

そのため、まず状態を確認して、できることを探してください。拭く、乾かす、応急の処置をする。

そして、費用の話は切り分けてください。こちらの設備が原因なら別ですが、そうでないなら申し出を待つ形になります。

なお、その場で線を引かないでください。後から確認したら店の備品が原因だった、という結末もあります。

続けて起きるなら仕組みを見る

同じことが繰り返されるなら、原因は個人ではありません。

同じ場所で起きるなら、配置の問題です。荷物の置き場所か、作業する位置を変えてください。

同じ工程で起きるなら、手順の問題です。覆うものの当て方や、薬剤の扱いを見直してください。

そして、忙しい時間帯に集中しているなら、枠の問題です。急いでいると、確認が飛びます。

記録を並べると、どれかが見えます。1件ずつ対応して終わらせないでください。

今日やる一つ

「いくらまでなら自分で払うか」を、1つの数字で決めてください。この数字が無いと、起きたときに保険を使うかどうかで止まります。決めておけば、その場は謝罪と記録に集中できます。

よくある質問

帰った後に気づいたら

その日のうちに連絡してください。黙っていると後で気づかれ、隠したという事実が加わって話が重くなります。着るたびに目に入る場所なら、まず気づかれます。

どう伝えますか

事実を言い、短く謝り、これからどうするかを示す。この順です。長く謝り続けると相手が気を使うことになります。金額はその場で約束せず、確認してからと伝えてください。

記録には何を残しますか

日時、何が起きたか、使っていた薬剤や道具、どこに付いたか。写真は必ず許可を得てから撮ってください。こちらの過失かどうかは書かず、事実だけを残します。

弁償はどう判断しますか

まずクリーニングで落ちるかを確認していただきます。落ちない場合は弁償の話になりますが、金額の判断はその場でしないでください。高額なものは保険会社に相談してください。

保険は必ず使いますか

使うと手続きに時間がかかり、相手に待っていただくことになります。使った記録も残ります。「◯円までは自分で払う」という線を先に決めておけば、その場で迷いません。

「大丈夫です」と言われたら

その場で終わらせないでください。遠慮の可能性があります。「もし落ちなければご連絡ください」と連絡先を伝え、記録には「こちらから伝え、その場では不要とのことだった」と書いてください。

スタッフに何を伝えますか

「起きたら必ず報告する」と、「責めない」をあわせて伝えてください。1度でも責めると、次から隠されます。報告が上がってこない状態のほうが危険です。

同じことが繰り返されるなら

原因は個人ではありません。同じ場所なら配置、同じ工程なら手順、忙しい時間帯に集中しているなら枠の問題です。記録を並べると、どれかが見えます。