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接客・カウンセリング

「いつもので」が起こす事故|双方の「いつも」はずれている

公開: 2026年8月5日

Summary

常連のお客様との認識のずれを防ぐ方法を整理します。こちらの記録と相手の記憶が指すものの違い、ずれが生まれる3つの場面、毎回入れる確認の一言、記録の粒度、少しずつ変わる内容への気づき方、無料の追加が標準になる問題、断りにくさ、担当交代、予約枠でのずれを扱います。

「いつもので」と言われて、いつも通りにしました。終わってから、「今日は短くしたかった」と言われました。

長く来ていただいている方ほど、確認が減ります。そして確認が減った分だけ、ずれたときの落差は大きくなります。

双方の「いつもの」は違うものを指す
双方の「いつもの」は違うものを指す

「いつもの」が何を指すか

まず、この言葉が指す範囲を考えてください。ここが双方でずれています。

こちらが思う「いつもの」は、前回と同じ内容です。記録に残っているものが基準になるため、書かれていないことは含まれません。

一方、相手が思う「いつもの」は、その方の頭の中にある型です。前回ではなく、いちばん良かった回かもしれませんし、平均的な印象かもしれません。

この2つは、しばしば一致しません。しかも、どちらも「言わなくても分かるはず」と思っているため、確認の機会が生まれないまま回数だけが重なります。

こちらの「いつもの」相手の「いつもの」
前回の記録頭の中にある型
施術の内容と時間仕上がりの印象
変えていない前提少しずつ変わっている可能性

ずれが生まれる場面

どこでずれるのかを知っておくと、確認する場所が絞れます。

まず、時間の経過です。半年前と今では、季節も予定も違います。同じ内容でも望むものが変わっている場合がありますし、生活が変わっていれば、かけられる時間も変わります。

次に、こちらの変化です。手が慣れて速くなった、道具を変えた、力の入れ方が変わった。こちらは自覚しにくく、相手は気づきます。

そして、担当者の交代です。記録は引き継げますが、感覚は引き継げません。そのため、前の担当と同じにはならないという前提で入るほうが安全です。

この3つに共通するのは、どれもこちら側からは見えにくいということです。相手が違和感を口にするまで、変化は表に出ません。だからこそ、口にしやすい形を作る必要があります。

確認を1つだけ入れる

すべてを聞き直すと、常連の方には煩わしくなります。1つに絞ってください。

聞くのは、「今日はいつも通りで大丈夫ですか」ではありません。これは「はい」しか返らない聞き方です。

「今日は何か変えたいところはありますか」と聞いてください。変えたい点があるときだけ、答えが返ります。無ければ「いつも通りで」と返るので、負担も小さくて済みます。

そして、この1つを毎回入れてください。たまに聞く形だと、聞かれた日に「何かあるはず」と考えさせることになりますし、聞かれなかった日には言い出せません。

聞く場所も決めてください。始める直前がよく、着替えや移動の途中では流れます。座っていただいてから、目を見て聞く形にすると答えが返ります。

ずれが生まれる3つの場面
ずれが生まれる3つの場面

記録の粒度を上げる

「いつもの」を成り立たせるには、記録が要ります。ここが弱いと、そもそも再現できません。

書くのは、内容と、その日に変えた点です。「いつも通り」とだけ書くと、何がいつも通りなのか分からなくなります。

数字で書ける部分は、数字にしてください。時間、回数、強さの段階。言葉だけだと、読む人によって解釈が変わります。

そして、言われたことをそのまま残してください。「少し短めがよい」と言われたなら、その言葉のまま書きます。要約すると、意味が変わることがあります。記録の考え方は、顧客台帳をどう作るかで整理しています。

少しずつ変わっていることに気づく

毎回わずかに変えていると、積み上がって別のものになります。ここは記録でしか捕まえられません。

半年前の記録と、今の記録を並べてみてください。同じ「いつもの」のはずが、内容が違っていることがあります。

変わっていること自体は、問題ではありません。むしろ、その方に合わせて調整してきた結果でもあります。問題は、双方が気づいていないことです。

気づいていないまま進むと、ある日「前と違う」と言われます。そのときにはもう、どこから変わったのかを説明できません。

気づいたら、一度確認してください。「以前より短くなっていますが、この形で続けますか」。事実として示せば、選んでいただけます。

料金がずれる

内容が変わると、料金との対応も崩れます。ここは金額の問題なので、放置できません。

追加していた工程が、いつのまにか標準になっていることがあります。こちらはサービスのつもりでも、続けば期待に変わります。回数が積み上がるほど、その転換は静かに進みます。

戻すのは、難しくなります。一度提供したものを外すと、下げられたと受け取られるためです。

そのため、追加するときに「今日だけ」と言ってください。言っておけば、次回に外しても説明が要りません。料金の設計は、サロンの値上げをどう伝えるかで整理しています。

確認は1つだけ入れる
確認は1つだけ入れる

断りにくくなる

長い関係ほど、言いにくいことが増えます。ここは自覚しておかないと、言えないこと自体に気づけません。

体の状態や髪の状態によって、いつも通りにできない日があります。常連の方ほど、「いつもと違う」と言い出しにくくなります。

言えないまま行うと、結果が良くありません。そして、その結果は関係を長く傷つけます。

基準は、初めての方と同じにしてください。長く来ていただいているから、という理由で基準を曲げないでください。断る場面の考え方は、施術を断る基準で整理しています。

提案しにくくなる

断りにくさと対をなす問題があります。新しいものを勧めにくくなることです。

長く同じ内容を受けていただいていると、変える提案が「今のものを否定している」ように聞こえます。そのため、こちらが言い出しません。

ただし、言わなければ選択肢そのものが存在しないことになります。知らないまま同じものを受け続けるのは、相手にとっても良いことではありません。

伝え方は、事実で足ります。「こういうものも始めました」で終えてください。勧めずに、あることだけを伝える形なら、否定にはなりません。

担当が変わるとき

引き継ぎで最も崩れるのが、この部分です。準備が要ります。

記録を読ませるだけでは足りません。「いつもの」が何を指すかには、記録に書ききれない部分があるためです。力の入れ方や、どこで止めるかといった判断は、文字にしにくい領域です。

可能なら、交代の前に一度同席してください。実際に見れば、書けない部分が伝わります。1回で足りますし、その場で確認もできます。

そして、交代の初回は必ず確認してください。「担当が変わりましたので、改めてお伺いします」と言えば、聞き直すことが自然になります。

なお、前の担当と比べる言い方はしないでください。「前の担当はどうしていましたか」は、不安にさせます。記録を見て、こちらから確認する形にしてください。

スタッフがいる場合

確認の一言を、全員に入れてください。人によって聞く人と聞かない人がいると、担当で差が出ます。

新人ほど、常連の方に確認しにくくなります。「聞くと失礼ではないか」と考えるためですが、ここは聞くのが標準だと伝えてください。

そして、聞かなかったことでずれた場合に、本人を責めないでください。責めると、次からは聞いたことにして進めるようになります。

そして、記録の書き方を揃えてください。数字で書く項目を決めておけば、誰が読んでも同じ内容になります。

揃っていない記録は、担当が変わった瞬間に使えなくなります。書く手間は同じなので、最初に形を決めておいてください。

決めること内容
確認の一言「変えたいところはありますか」を毎回
記録内容と変えた点。数字にできる部分は数字で
追加したとき「今日だけ」と言っておく
断る基準初めての方と同じ。関係の長さで曲げない
担当交代初回は必ず確認する。前任と比べない

VANNAでできること

VANNAでは、顧客ごとに施術の内容と、その日に変えた点を記録として残せます。過去の履歴を並べて見られるため、少しずつ変わっていることに気づけます。カレンダー予約はMaxプランの機能で、来店前のメールリマインドは全プランで使えます。

担当者が変わる場合も、記録は同じ場所にあるため引き継げます。一方で、記録の粒度そのものは店で決めることになります。「いつも通り」とだけ書かれた記録は、システムでは補えません。

料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。

予約の枠でも起きる

ずれは、施術の内容だけで起きるわけではありません。枠の取り方でも起きます。

毎回同じ曜日・同じ時間で来られている方は、その枠が自分のものだと感じておられる場合があります。そこへ別の方を入れると、取れなくなったと受け取られます。

押さえておくなら、押さえていることを伝えてください。「いつもの時間で仮に置いています」と言えば意図が伝わりますし、不要なら早めに言っていただけます。

押さえないと決めるなら、それも伝えてください。伝えないまま埋まると、黙って変えられたことになります。枠の考え方は、予約枠の割り当てで整理しています。

慣れが質を下げる

もう一つ、見えにくい問題があります。こちらの側の慣れです。

同じ内容を繰り返していると、確認の手順が省かれます。状態を見る時間が短くなり、いつもと同じだろうという前提で進みます。

たいていの日は、それで問題ありません。ただし、違う日に気づけないため、気づいたときには終わっています。

慣れは技術が上がった結果でもあるので、悪いことばかりではありません。省いてよい手順と、省いてはいけない手順を分けておいてください。状態を見る時間は、後者です。

対策は単純で、常連の方こそ最初に状態を見る時間を取ることです。1分でも見れば違いには気づけますし、見たうえで同じだと確かめられれば、こちらも安心して進められます。

ずれた後の対応

それでも、ずれる日は来ます。そのときの動きを決めておいてください。

まず、その場で聞いてください。終わってから言われるより、途中で気づけるほうがはるかに軽く済みますし、直す余地も残っています。

終わってから言われた場合は、直せる範囲を示してください。「今日はここまで直せます」と具体的に言うほうが、謝るより前に進みます。

そして、記録に残してください。何がずれたかが分かれば次から防げますし、同じずれが繰り返されるなら、確認の場所が間違っているということです。

返金や割引で済ませないでください。その場は収まりますが、原因は残ります。次も同じことが起きて、そのたびに費用が出ていくことになります。

今日やる一つ

いちばん長く来ていただいている方の記録を、最初から並べてみてください。そして、半年前と今で内容が変わっていないかを見てください。変わっていたら、次の来店で一度確認します。変わっていなければ、その記録の書き方は機能しているということです。

よくある質問

「いつもので」と言われたら

「今日は何か変えたいところはありますか」と1つだけ聞いてください。「いつも通りで大丈夫ですか」は「はい」しか返らない聞き方です。毎回入れてください。

常連の方に聞くのは失礼ですか

失礼ではありません。むしろ、聞かずにずれるほうが関係を傷つけます。毎回入れる形にしておけば、聞かれること自体が普通になります。

記録には何を書きますか

内容と、その日に変えた点です。「いつも通り」とだけ書くと再現できません。時間、回数、強さの段階は数字にしてください。言われたことは、要約せずそのまま残します。

少しずつ変わっていたら

半年前の記録と並べて確認してください。変わっていること自体は問題ではなく、双方が気づいていないことが問題です。「以前より短くなっていますが」と事実で示せば、選んでいただけます。

サービスがいつのまにか標準になっています

一度提供したものを外すと、下げられたと受け取られます。追加するときに「今日だけ」と言っておいてください。言っておけば、次回に外しても説明が要りません。

常連の方を断りにくいのですが

基準は初めての方と同じにしてください。長く来ていただいているという理由で曲げると、結果が良くならず、その結果が関係を長く傷つけます。

担当が変わるときは

記録を読ませるだけでは足りません。可能なら交代前に一度同席してください。初回は必ず確認し、「前の担当はどうしていましたか」とは聞かないでください。

予約の枠でもずれますか

起きます。毎回同じ曜日・同じ時間の方は、その枠が自分のものだと感じておられる場合があります。押さえるなら「いつもの時間で仮に置いています」と伝え、押さえないならそれも伝えてください。黙って埋まると、変えられたことになります。

新しいものを勧めにくいのですが

「こういうものも始めました」と、あることだけを伝えてください。勧めずに事実で終えれば、今のものを否定したことにはなりません。言わなければ、選択肢そのものが存在しないことになります。

ずれてしまったら

その場で気づけるのがいちばん軽く済みます。終わってから言われた場合は、直せる範囲を具体的に示してください。何がずれたかを記録に残せば、次から防げます。