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効率化・DX・AI活用

サロンのAI活用と、任せてはいけない領域|個人情報と広告表現の線引き

最終更新: 2026年7月28日

Summary

投稿文の下書きや構成づくりは任せられますが、効果の記述・料金などの事実・顧客情報を含む文章は任せられません。個人情報を一般化して渡す方法、確認すべき表現、使う前に決めることを整理します。

投稿文の下書き、告知メールの構成、メニュー名の案出し。サロンの事務作業でAIを使う場面は増えています。うまく使えば、これまで1時間かかっていた文章づくりが15分で済みます。

一方で、任せてはいけない領域があります。境界を知らずに使うと、法令に触れる表現を出したり、お客様の個人情報を外部へ渡したりします。

AIに任せてよい作業と任せてはいけない作業
AIに任せてよい作業と任せてはいけない作業

任せてよいのは「たたき台」まで

判断の軸は単純です。事実の正確さが求められないもの、最終的に自分が確認するものは任せられます。逆は任せられません。

任せやすい作業を挙げます。

投稿文の案を複数出すこと。同じ内容を3通りの言い方で書いてもらい、その中から選ぶ使い方です。ゼロから書くより速く、表現の幅も広がります。

構成を考えること。告知メールに何をどの順で書くか、といった骨組みづくりです。

長い文章を短くすること。書いた文が冗長なとき、要点を残して縮めてもらいます。

言い換えの候補を出すこと。使えない表現を避けたいとき、代わりの言い方を複数挙げてもらいます。

任せやすい任せてはいけない
投稿文の案を複数出す施術の効果に関する記述
構成を考える料金や営業時間などの事実
長い文章を短くするお客様への個別の回答
言い換えの候補を出す顧客情報を含む文章の作成

個人情報を入力しない

最も注意すべき点です。お客様の名前、連絡先、施術の履歴、体調に関する情報を、外部のAIサービスへ入力しないでください。

理由は2つあります。

第一に、入力した内容がどう扱われるかを自分で確認できないことです。サービスによっては、入力された内容が学習に使われることがあります。設定で無効にできる場合もありますが、確認と管理の責任は使う側にあります。

第二に、個人情報保護法上の問題になりうることです。取得した個人情報を、当初の利用目的の範囲を超えて扱うことになる可能性があります。第三者への提供にあたるかどうかは、サービスの仕組みと契約によって判断が変わります。

安全な使い方は、個人を特定できる情報を外してから入力することです。

  • 「田中様への返信」ではなく「常連のお客様への返信」
  • 「◯月◯日にカラーで来店した方」ではなく「前回カラーをされた方」
  • 具体的な症状や既往歴は入力しない
個人情報を一般化してからAIに渡す例
個人情報を一般化してからAIに渡す例

顧客への個別の返信文をAIに書かせたいなら、状況だけを一般化して伝え、出てきた文章に自分で固有の情報を足す形にしてください。

効果に関する表現は必ず自分で確認する

AIが書いた文章には、効果を断定する表現が混ざることがあります。学習した文章の中に、そうした表現が含まれているためです。

出てきた文章に次のような語がないかを確認してください。

  • 効果が「出る」「改善する」「治る」といった断定
  • 「必ず」「確実に」「絶対に」といった強調
  • 「日本一」「業界初」「No.1」といった最上級
  • 医薬品のような作用を示す表現

これらは薬機法や景品表示法の観点で問題になりえます。AIは法令に照らして判断しているわけではないため、出力をそのまま使うのは危険です。

とくにエステやまつげなど、身体への施術を扱う業態では注意が必要です。「肌がきれいになります」という一文が、そのまま広告の問題になることがあります。

自店で使ってよい表現と使えない表現を先に一覧にしておき、AIの出力をその一覧に照らす運用にすると確実です。

事実は必ず自分で埋める

AIは、もっともらしく間違った内容を出すことがあります。料金、営業時間、住所、資格の要否、法令の内容。これらをAIに書かせて、そのまま公開しないでください。

安全な進め方は、事実の部分を空欄にした状態で文章を作らせ、後から自分で埋めることです。

たとえば「営業時間は◯時から◯時、料金は◯円です」という形で出力させ、実際の数値は自分で入れます。AIに数値を出させると、それが正しいかを毎回確認する作業が発生し、結果的に手間が増えます。

法令の内容についても同様です。「特定商取引法では◯◯と定められています」といった記述をAIに書かせると、条文の内容が実際と違うことがあります。法令に触れる記述は、一次情報を確認するか、専門家に確認してください。

出てきた文章を確認する手順

公開する前に通す確認を、順番として決めておくと漏れません。

まず事実を見ます。料金、時間、日付、メニュー名、住所。これらが自店の実際と合っているかを1つずつ照合します。

次に表現を見ます。効果を断定していないか、最上級を使っていないか、医薬品のような作用を示していないか。先に作った一覧に照らします。

次に語り口を見ます。自店が普段使っている言葉遣いと合っているか。丁寧すぎる、硬すぎる、逆に軽すぎる。ここがずれていると、読んだ人に違和感が残ります。

最後に、書いていないことを確認します。伝えるべき注意事項が抜けていないか。予約の方法、キャンセルの扱い、対象となる方の条件。AIは指示しなかったことは書きません。

確認する順見るところ
1 事実料金・時間・日付・メニュー名・住所
2 表現効果の断定・最上級・医薬品的な作用
3 語り口自店が普段使っている言葉遣いか
4 抜け伝えるべき注意事項が書かれているか

この4段階を通すと、公開してから直す事態が減ります。慣れれば数分で終わります。

使う前に決めておくこと

AIを業務に取り入れるなら、次の3つを先に決めてください。スタッフがいる場合はとくに重要です。

第一に、入力してよい情報の範囲です。個人情報は入力しない、という原則を明文化します。何が個人情報にあたるかも例示してください。

第二に、確認する人です。AIが書いた文章を、誰が最終確認して公開するか。「AIが書いたから」は理由になりません。公開した内容の責任は店にあります。

第三に、使うサービスです。複数のサービスを各自が勝手に使う状態は、管理できません。使うものを決め、その設定を確認してください。

AIを業務に取り入れる前に決める3つ
AIを業務に取り入れる前に決める3つ

指示の出し方で結果が変わる

同じことを頼んでも、伝え方によって使える出力になるかどうかが変わります。手直しの時間を減らす頼み方を挙げます。

読み手を指定してください。「サロンの投稿文」ではなく「初めて来店する30代の方向け」と伝えると、内容が絞られます。

分量を指定してください。「短く」ではなく「120字以内で」と数字で伝えます。

してはいけないことを先に伝えてください。「効果を断定しない」「最上級を使わない」「絵文字を使わない」。後から直すより、最初に条件として渡すほうが早くなります。

複数案を求めてください。1案だけだと、それが良いのか悪いのか判断できません。3案あれば比較できます。

出力の形を指定してください。箇条書きなのか、文章なのか、表なのか。形が決まっていると、そのまま使いやすくなります。

頼み方結果
投稿文を書いて一般的すぎて使えない
初めて来店する30代の方向けに、120字以内で、効果を断定しない表現で3案そのまま候補として使える

一度うまくいった頼み方は、文面ごと保存しておいてください。次回はそれを使い回せます。

実際の使い方の例

具体的な進め方を挙げます。

投稿文を作る場合。「30代女性向けに、乾燥の季節のヘッドスパを案内する投稿を、効果を断定しない表現で3案」といった形で依頼します。出てきた案から選び、店の言葉に直し、事実を確認して投稿します。

告知メールを作る場合。伝える内容を箇条書きで渡し、構成を組んでもらいます。文章そのものは自分で書くか、出てきたものを大きく手直しします。

メニュー名を考える場合。施術の内容と時間を伝え、候補を10個ほど出してもらいます。ここは事実に関わらないため、比較的そのまま使えます。

口コミへの返信を作る場合。返信の型を作るのには使えますが、個別の返信は自分で書いてください。口コミの内容には個人が特定できる情報が含まれることがあり、そのまま入力すべきではありません。

画像を使う場合の注意

文章だけでなく、画像の生成や加工にAIを使う場面もあります。ここには別の注意点があります。

施術の前後を示す画像を加工しないでください。実際より良く見えるよう補正した画像を掲載すると、実際のものより著しく優良と誤認させる表示にあたるおそれがあります。明るさの調整程度であっても、どこまでが許容されるかは判断が分かれます。

生成した画像を実際の施術例のように見せないでください。AIが作った画像は実在の施術ではないため、実例として掲載すると事実と異なる表示になります。イメージ画像として使う場合も、実例と誤解されない形にしてください。

お客様の写真をAIサービスへ入力しないでください。顔が写った写真は個人情報にあたります。加工や補正のために外部サービスへアップロードすることは、提供にあたる可能性があります。

素材の権利も確認してください。生成した画像であっても、既存の作品に似た出力になる場合があります。商用利用の可否は、使うサービスの利用規約を確認してください。

AIで置き換えられないこと

効率化の話をすると、どこまで任せられるかに関心が向きますが、任せないほうがよい領域を意識してください。

カウンセリングは任せられません。お客様の状態を見て、要望を聞き、提案する。ここは人が行う仕事です。

クレームの一次対応も任せられません。相手の状態に応じた判断が必要で、定型の返答はかえって事態を悪化させます。

施術の判断も任せられません。肌の状態、髪の状態を見て、何をどうするかを決めるのは施術者です。

これらに時間を使うために事務を効率化する、という順序で考えてください。事務を効率化した時間で別の事務を増やすなら、意味がありません。

過信も過小評価もしない

AIの扱いで両極端に振れるサロンがあります。どちらも損をします。

過信する側は、出てきた文章をそのまま公開します。事実の誤りや、使えない表現が混ざったまま世に出ることになります。訂正が必要になれば、時間の節約どころではありません。

過小評価する側は、まったく使いません。文章を書くのが苦手で毎回1時間かけているなら、たたき台を作らせるだけで大きく変わります。使わない理由が「なんとなく怖い」であれば、範囲を決めて試す価値があります。

現実的な位置は、その中間です。自分が確認できる範囲で使い、確認できない領域では使わない。この線引きさえできていれば、危険は避けられます。

判断に迷ったら、次の問いを立ててください。「これをそのまま公開して、内容の責任を自分が取れるか」。取れないなら、その使い方はまだ早いということです。

記録は自店の中に残す

AIを使うかどうかに関わらず、顧客の情報は自店の管理下に置いてください。外部のサービスに預けるのは、その仕組みと契約を確認したうえでの判断になります。

VANNAでは、予約が顧客と紐づき、来店ごとの記録が顧客の画面に残ります。データはCSVで書き出せるため、必要なときに手元へ保存できます。カレンダー予約はMaxプランの機能で、来店前のメールリマインドは全プランで使えます。誕生日と休眠のお客様への自動配信も用意しています。

文章の生成を支援する機能はないため、投稿文や告知文をAIで作る場合は別のサービスを使うことになります。その際、この記事で挙げた注意点が当てはまります。

料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。決済を使う場合のStripe決済手数料は店舗負担で別途かかります。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。

よくある質問

AIが書いた文章をそのまま投稿してよいですか

勧めません。事実の誤り、効果を断定する表現、店の言葉遣いとのずれが含まれることがあります。必ず自分で読み、直してから公開してください。公開した内容の責任は店にあります。

お客様の名前を入力してもよいですか

入力しないでください。個人を特定できる情報は外し、状況だけを一般化して伝えてください。固有の情報は、出てきた文章に自分で足す形にします。

AIに書かせたことをお客様に伝える必要がありますか

投稿文の下書きに使った程度であれば、通常は求められません。ただし、口コミや体験談を装う形での利用は避けてください。実体験でないものを実体験のように見せることは、景品表示法の観点で問題になりえます。

無料のサービスと有料のサービスで違いはありますか

入力内容の扱いが異なる場合があります。学習に使われるかどうか、設定で変更できるかを、使う前に確認してください。無料であることを理由に、確認を省略しないでください。

スタッフにも使わせてよいですか

使ってよい範囲を決めたうえでなら問題ありません。入力してよい情報、使うサービス、最終確認の担当を明文化してください。各自が勝手に使う状態は管理できません。

法令の内容を調べるのに使ってもよいですか

概要をつかむ用途なら使えますが、そのまま記述として使わないでください。条文の内容が実際と違うことがあります。必ず一次情報を確認するか、専門家に確認してください。

出典

本記事は2026年7月時点の一般的な情報の整理であり、個別の法的助言ではありません。個人情報の取り扱い、広告表現の適否については、個別の事情により判断が変わるため、必要に応じて専門家にご確認ください。VANNAの料金・機能・キャンペーン条件は変更される場合があります。