回数券と前受金の扱い|売った日と、使われた日は違う
公開: 2026年7月29日最終更新: 2026年8月1日
Summary
回数券を売ったときの計上の考え方を整理します。前受金として扱う理由、現金と売上を分ける見方、月ごとの数字がずれる仕組み、未使用の残数と預かり金額の把握、期限と中途解約の精算、記録の付け方、会計の道具の設定を扱います。
10回券を5万円で売った月に、売上が跳ね上がりました。翌月から、その方が来ても売上は立ちません。
売った日と、使われた日は違います。この違いを扱わないと、月ごとの数字が実態とずれます。

売った日は、まだ売上ではない
まず、この考え方を確認してください。回数券を売った時点では、施術がまだ行われていません。代金は受け取っていますが、提供の義務が残っています。この状態を、前受金として扱う考え方があります。施術が行われた時点で、その分が売上になります。処理の詳細は、税理士に確認してください。
現金と売上を分けて考える
ここは、混同しやすい部分です。売った日に、現金は入ります。ただし、その全額がその月の売上になるわけではありません。現金が増えることと売上が立つことは、別のことだからです。この二つを分けて見ないと、判断を誤ります。
| 場面 | 現金 | 売上 |
|---|---|---|
| 回数券を売った日 | 入る | まだ立たない |
| 1回目を使った日 | 動かない | 1回分が立つ |
| 使い切った日 | 動かない | 最後の1回分が立つ |
| 期限が切れた日 | 動かない | 残りの扱いを決める |

月ごとの数字がずれる
これは、放置すると起きます。売った月だけ、売上が大きく見えるためです。翌月以降は、来店があっても売上が立ちません。その状態で月ごとの数字を見ると、増えたり減ったりして見えます。しかし、実態は変わっていません。処理を分ければ、実態に近い数字になります。
残っている回数を把握する
これが、管理の中心です。売った枚数と、使われた回数。その差が、まだ提供していない分になります。この金額を、常に把握してください。把握していないと、いくら預かっているか分かりません。
預かっている金額を数える
ここは、現金の話につながります。未使用の回数が多いほど、預かっている金額が大きくなるためです。その金額は、いずれ施術で返すものになります。手元にある現金の一部は、この預かり分です。自由に使える現金と、区別してください。
使い切る前に閉店すると
これは、大きな問題になります。未使用の回数が残ったまま店を閉じる場合、その分を返金する必要が出るためです。返金の資金がないと、対応できません。閉じる手続きは、サロンを閉めるときの手続きで整理しています。だからこそ、預かっている金額を常に把握しておいてください。
期限を設ける場合
条件を、明示してください。有効な期限を設ける場合は、販売の時点で伝えます。あわせて、書面にも明記してください。期限が過ぎた場合の扱いも、書いておきます。伝えていない期限は、主張しにくくなるためです。
期限が切れた分の扱い
ここは、判断が必要です。期限が切れた時点で、提供の義務がなくなる場合があります。その分を、売上として計上する処理です。ただし、消費者との契約の内容によって扱いが変わります。一律に「切れたら没収」とはできない場合も、あります。判断は税理士と、必要に応じて弁護士に確認してください。
消費者との契約の決まり
ここには、法令が関わります。一定の期間を超える継続的な役務の提供にあたる場合、書面の交付などが求められるためです。中途での解約に応じる義務が、生じる場合もあります。対象になるかは、業種と期間と金額で決まります。エステの場合の扱いは、回数券・チケット制ネイルサロンの単価設計と特定商取引法上の注意点で整理しています。
中途解約の精算
これも、対応が必要になる場面です。途中で解約を申し出られることが、あるためです。使った分を差し引いて、残りを返す形が基本になります。差し引く金額の計算方法を、先に決めてください。書面に明記しておけば、その場で説明できます。

精算の計算方法を決める
ここが、揉める部分です。「1回あたりの通常の料金 × 使った回数」を差し引く形が、一般的になります。回数券の1回あたりの金額で計算すると、割引の分が戻りすぎるためです。どちらで計算するかを、書面に書いてください。手数料を差し引く場合、その上限にも定めがあることがあります。
月ごとの数字の見方を変える
これは、判断のためです。回数券を売った月の売上を、そのまま実績として見ないでください。その月に施術した回数で、実際の稼働を見ます。売上と稼働を別に記録すれば、その差が分かります。売上だけを見ていると、忙しさと数字が合わなくなります。
割引の分をどう見るか
ここは、単価の把握に関わります。回数券は、通常より1回あたりの金額が下がる場合が多いためです。その状態で単価を計算すると、実態より低く出ます。回数券からの来店と都度払いの来店を、分けて数えてください。分けないと、値上げの判断を誤ります。
売りすぎない
現金は増えますが、注意が必要です。回数券が売れると、その月の現金は増えます。ただし、将来の売上を前借りしている状態です。翌月以降は施術の枠が埋まっても、現金は入りません。資金が苦しいときほど、売りたくなります。しかしその判断が、翌年をさらに苦しくします。
記録の付け方
ここには、台帳が必要です。誰が、いつ、いくらで、何回分を買ったか。いつ、何回使ったか。残りは、何回か。これらを、顧客の記録に紐づけてください。紙の券だけで管理すると、紛失や偽造の問題が出ます。
紙の券の管理
これは、使う場合の注意です。券には、番号を付けてください。誰に渡したかも、記録します。紛失した場合の扱いも、決めておいてください。「再発行しない」と書面に書いておけば、その場で説明できます。
券なしで管理する方法
これも、現実的な選択です。紙の券を発行せず、記録だけで管理する方法があります。来店時に記録を見て、残りを確認する形です。この場合、紛失の問題が起きません。顧客の記録に、紐づけて持つことになります。
家族や友人への譲渡
ここも、決めておいてください。「他の方に譲れますか」と、必ず聞かれます。譲渡を認めるかを、先に決めます。認める場合は、施術の内容が合うかを確認する必要があります。認めない場合は、書面に明記してください。
消費税の扱い
ここには、処理の時期が関わります。回数券の販売と施術の提供とで、消費税の扱いが変わる場合があるためです。課税事業者かどうかでも、影響が違います。税率が変わった場合の扱いも、確認が必要です。判断は、税理士に確認してください。課税事業者になる境目は、消費税を納める側になる境目で整理しています。
販売の設計と分けて考える
ここで、この記事の範囲を確認します。何回分をいくらで売るか。どの施術を対象にするか。これは、販売の設計の話です。一方、いつ売上として計上するかは税務の話になります。二つを、分けて考えてください。設計の考え方は、回数券と都度払いのどちらを軸にすべきかの判断基準で整理しています。
会計の道具での扱い
ここにも、設定が必要です。売った日に全額を売上として計上する設定に、なっている場合があります。その設定のままだと、月ごとの数字がずれます。前受金として扱える設定があるかを、確認してください。分からない場合は、税理士に相談します。
値上げしたときの扱い
これも、先に決めておく場面です。回数券を売った後に、施術の料金を上げる場合があるためです。販売済みの分は、販売した時点の内容で提供するのが基本になります。差額を後から請求する形は、避けてください。
値上げの直前には、駆け込みで購入される場合があります。売れば売るほど、新しい料金で受けられる時期が先に延びてしまいます。値上げの日が決まったら、その前に販売を止める判断もあります。止める場合は、その旨を先に伝えてください。
未使用の分が多く残っている状態で値上げすると、効果が出るまで数か月かかります。だから残っている回数を確認してから、値上げの時期を決めてください。値上げの伝え方は、サロンの値上げの伝え方で整理しています。
VANNAでできること
VANNAでは、顧客ごとの記録に回数券の残りをメモとして残せます。来店の履歴と紐づけて管理できるため、紙の券なしで残数を確認する運用ができます。カレンダー予約はMaxプランの機能で、来店前のメールリマインドは全プランで使えます。
回数券の残数を自動で減らしたり、前受金として会計処理を行ったりする機能はありません。残数の管理と会計の処理は、別に行うことになります。この点は把握しておいてください。
料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。
今月確認する三つ
これだけは、確認してください。いま、未使用の回数が何回分残っているか。その金額は、いくらか。会計の道具の設定が、前受金に対応しているか。この三つが分かれば、判断の材料が揃います。
よくある質問
売った日が売上ではないのですか
売った時点では、施術がまだ行われていません。前受金として扱い、施術が行われた時点でその分が売上になる考え方があります。
現金はどうなりますか
売った日に入ります。ただし、その全額がその月の売上になるわけではありません。現金が増えることと、売上が立つことは別です。
処理しないとどうなりますか
売った月だけ売上が大きく見え、翌月以降は来店があっても売上が立ちません。月ごとの数字が実態とずれます。
何を把握しておきますか
売った枚数と使われた回数の差、つまり未提供の分です。その金額を常に把握してください。
預かっている金額とは
未使用の回数に相当する金額です。いずれ施術で返すものです。手元の現金の一部はこれにあたるため、自由に使える現金と区別してください。
閉店するときは
未使用の分を返金する必要が出ます。返金の資金がないと対応できません。預かっている金額を、常に把握しておいてください。
期限は設けられますか
設ける場合、販売の時点で伝えて、書面に明記してください。期限が過ぎた場合の扱いも書いてください。伝えていない期限は、主張しにくくなります。
期限が切れた分は
提供の義務がなくなる場合があり、その分を売上として計上する処理があります。ただし、契約の内容によって扱いが変わります。
一律に没収できますか
できない場合があります。消費者との契約の内容によります。税理士と、必要に応じて弁護士に確認してください。
契約に決まりはありますか
一定の期間を超える継続的な役務の提供にあたる場合、書面の交付などが求められます。対象になるかは、業種と期間と金額で決まります。
途中で解約されたら
使った分を差し引いて、残りを返す形が基本です。差し引く金額の計算方法を、先に決めて書面に明記してください。
差し引く金額はどう計算しますか
「通常の料金 × 使った回数」を差し引く形が一般的です。回数券の1回あたりの金額で計算すると、割引の分が戻りすぎます。
月ごとの数字はどう見ますか
回数券を売った月の売上を、そのまま実績として見ないでください。その月に施術した回数で、実際の稼働を見てください。
単価の計算はどうなりますか
回数券は1回あたりの金額が下がるため、実態より低く出ます。回数券からの来店と都度払いの来店を、分けて数えてください。
売れば売るほどよいですか
将来の売上を前借りしている状態です。翌月以降、施術の枠は埋まりますが現金は入りません。資金が苦しいときほど売りたくなりますが、翌年をさらに苦しくします。
記録は何を残しますか
誰が、いつ、いくらで、何回分を買ったか。いつ、何回使ったか。残りは何回か。顧客の記録に紐づけてください。
紙の券は必要ですか
必須ではありません。券に番号を付け、誰に渡したかを記録する管理が必要になります。紛失や偽造の問題も出ます。
券なしで管理できますか
できます。来店時に記録を見て残りを確認する形です。紛失の問題が起きません。
紛失したと言われたら
扱いを先に決めてください。「再発行しない」と書面に書いておくと、その場で説明できます。
他の方に譲れますか
譲渡を認めるかを先に決めてください。認める場合、施術の内容が合うかを確認する必要があります。認めない場合、書面に明記してください。
消費税はどうなりますか
販売と提供で扱いが変わる場合があります。課税事業者かどうかでも影響が違います。税理士に確認してください。
会計の道具の設定は
売った日に全額を売上として計上する設定になっている場合があります。前受金として扱える設定があるかを確認してください。
今月は何を確認しますか
未使用の回数、その金額、会計の道具の設定。この三つが分かれば、判断の材料が揃います。
値上げしたら販売済みの分はどうなりますか
販売した時点の内容で提供するのが基本です。差額を後から請求する形は避けてください。値上げの日が決まったら、その前に販売を止める判断もあります。
出典
本記事は2026年7月時点の一般的な情報の整理です。売上の計上の時期や、契約に関する義務は、業種、契約の内容、金額と期間によって変わります。個別の判断は、税理士や弁護士、所轄の税務署にご確認ください。VANNAの料金・機能・キャンペーン条件は変更される場合があります。



