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接客・カウンセリング

障がいのあるお客様をどこまでお受けするか|設備と対応を分けて考える

公開: 2026年8月5日

Summary

いまの設備のままで何を決められるかを整理します。設備と対応を分ける考え方、店の条件を数字で書き出す手順、できないことを正直に伝える必要、聞いてよいことと聞かないこと、施術中の相談のしかた、料金の判断基準、事実で書く表示、受けられない場合の伝え方を扱います。

「車椅子でも大丈夫ですか」と電話で聞かれました。答えられず、「確認して折り返します」と言ってしまいました。

この場面で困るのは、設備の話と対応の話が混ざっているためです。分けて考えれば、その場で答えられるようになります。

設備と対応は別の問題
設備と対応は別の問題

設備と対応を分ける

まず、この2つを分けてください。同じ質問に見えて、答えの出し方が違います。

設備は、すぐには変えられません。入口に段差があるかどうか、通路の幅がどれだけあるか。これは物件の条件なので、当日の工夫では動きません。

一方、対応は決められます。どこで受けていただくか、どう移動していただくか、何をお手伝いするか。ここは店の側で設計できる部分です。

この2つを混ぜると、設備が足りないことを理由に対応まで諦めることになります。設備は設備として正直に伝え、そのうえで何ができるかを答える形にしてください。

聞かれたときに答えられないのは、たいてい後者を決めていないためです。設備は変わらなくても、対応を決めておけば「こういう形でお受けできます」と答えられます。

物理的な条件そのものの整備は、サロンのバリアフリー設計で扱っています。この記事は、いまの設備のままで何をどう決めるかの話です。

分類変えられるか
設備変えにくい段差/通路の幅/トイレの広さ
配置変えられるどの席で受けていただくか
手順変えられる移動の順番/お手伝いの範囲
説明変えられる何ができて何ができないか

自分の店の条件を書き出す

答えるには、まず条件を把握してください。感覚では答えられません。

入口から施術する場所までを、実際に測ってください。段差の高さ、通路の狭いところの幅、扉の開き方。数字にすると、聞かれたときにそのまま答えられます。

測るのは1回で済みます。物件が変わらない限り、この数字も変わりません。1度やっておけば、以後は見るだけになります。

そして、席ごとの条件も見てください。奥の席は無理でも、入口に近い席なら入れるという場合がありますし、席を1つ動かせば通れるようになることもあります。

トイレも確認してください。ここは長時間の施術で効いてくる部分なので、使えないならその旨を先に伝える必要があります。

近くに使える場所があるなら、その情報も持っておいてください。自店で対応できなくても、案内できることはあります。

書き出したものは、電話の近くに置いてください。聞かれたときに、その場で見て答えられます。

何ができないかを言う

できることだけを言うと、来てから困ることになります。ここは正直に伝えてください。

「段差が1段あります」「通路が◯cmです」。事実を伝えれば、判断していただけます。相手は自分の状態を分かっているので、事実さえあれば決められます。

曖昧にしないでください。「たぶん大丈夫だと思います」は、最も避けたい答え方です。来てから入れないと往復の時間が無駄になりますし、移動そのものに手間がかかる方ほど損失が大きくなります。

そして、できない場合も伝え方を決めておいてください。「当店では十分にお受けできる設備がありません」で足ります。理由を並べたり、謝り続けたりする必要はありません。

測っておく5項目
測っておく5項目

聞き方を決める

事前に確認したいことがある場合、聞き方に配慮が要ります。ここは決めておかないと、その場で言葉に詰まります。

聞くのは、施術に関わることだけにしてください。障がいの種類や程度そのものを聞く必要はたいてい無く、聞いてもこちらでは判断に使えません。

「お手伝いが必要な場面はありますか」「気をつけたほうがよいことはありますか」。この2つで、必要な情報は得られます。

そして、答えたくないことは答えなくてよいと伝えてください。「お差し支えのない範囲で」と添えるだけで、聞かれる側の負担が変わります。

なお、同行される方がいる場合も、ご本人に聞いてください。付き添いの方にだけ話しかけるのは、避けてください。

施術中の判断

来ていただいた後にも、決めることがあります。ここも事前に考えておいてください。

体勢を変えていただく場面では、どうするかを先に相談してください。こちらが判断して動かすのではなく、どうするのが良いかを聞くほうが確実ですし、安全でもあります。

ご本人が、いちばん慣れておられます。日常的に行っている方法があるなら、それに合わせるのが最も確実です。

時間が長くなる可能性も、伝えてください。移動や体勢の調整に時間がかかる場合、通常の枠では収まりません。枠を長めに取るか、内容を調整するかを先に決めてください。

そして、途中で無理だと分かった場合の扱いも決めておいてください。中断する判断は、続けるより良い場合があります。断る基準の考え方は、施術を断る基準で整理しています。

料金を変えるか

時間が長くなる場合、料金をどうするかという問題が出ます。ここは慎重に考えてください。

障がいがあることを理由に高くするのは、避けてください。同じ内容を受けていただくのに額が違うのは、説明できません。

一方、行う内容が実際に増えるなら、その分は別です。追加の工程に対する料金という形なら根拠がありますし、他の方にも同じ基準で適用できます。

判断の基準は、「同じことを他の方がお求めになった場合も同じ額か」です。ここで同じなら、その料金には根拠があります。

いずれにせよ、先に伝えてください。終わってから額が違うことに気づかれるのが、最も良くない形です。

聞くこと・聞かないこと
聞くこと・聞かないこと

表示のしかた

書いておくと、電話で聞く負担が減ります。ここは書き方が難しい部分です。

書くのは、事実です。「入口に1段の段差があります」「1階で施術しています」「お手洗いは車椅子では入れません」。この形なら、判断していただけます。

できないことを書くのは、後ろ向きに見えるかもしれません。ただし、書いてあることで来る前に分かるほうが、来てから知るよりはるかに良い結果になります。

「バリアフリー対応」といった言葉は、使わないでください。基準が曖昧なうえ、実態と合っていないと問題になります。表示の考え方は、美容サロンの効果表現とコンプライアンスでも触れています。

そして、写真を載せてください。入口の写真が1枚あるだけで多くの方はご自身で判断できますし、文章より確実に伝わります。

撮るときは、段差が分かる角度にしてください。真正面から撮ると、高さが分かりません。斜めから撮るか、横に何か置いて比較できるようにしてください。

受け入れられない場合

すべての方に対応できるとは限りません。ここを認めておいてください。

設備が理由で受けられないことは、あります。その場合、無理に受けようとしないでください。何かあったときに双方が困りますし、安全に行えないと分かっていて受けるのは、専門家の判断としては誤りです。

伝えるときは、設備の話として伝えてください。「当店の設備では、安全にお受けできません」。人ではなく条件の問題だと分かる言い方にします。

そして、可能なら他の選択肢を示してください。近隣に対応できる店がある場合や、訪問での対応がある場合は、その情報が助けになります。断るだけで終わらせないという意味では、これが最も実質的な対応になります。

スタッフがいる場合

対応を、その場で考えさせないでください。人によって差が出ると、店として一貫しません。

書き出した条件を、全員が見られる場所に置いてください。電話に出た人が誰でも同じ答えを返せる状態にします。

そして、聞いてよいことと聞かなくてよいことを共有してください。良かれと思って詳しく聞いてしまう場面は、実際に起こります。

判断に迷ったら、確認してから折り返す形で構いません。ただし、折り返すと言ったら必ず折り返してください。待たされたまま連絡が来ないのは、断られるよりつらい状況です。

決めること内容
条件段差・通路幅・扉・席ごとの違い・トイレを数字で
聞くこと「お手伝いが必要な場面」「気をつけること」の2つ
聞かないこと障がいの種類や程度そのもの
料金障がいを理由に変えない。工程が増えるなら別
表示事実を書く。「バリアフリー対応」とは書かない

VANNAでできること

VANNAでは、予約の案内に店舗の条件を記載できます。段差の有無や施術場所の階数を書いておけば、予約の段階で判断していただけます。カレンダー予約はMaxプランの機能で、メニューごとに所要時間を変えられるため、長めの枠を作ることもできます。

顧客の記録には、お手伝いの内容や当日の対応を残せます。次回に同じ確認を繰り返さずに済みます。一方で、店舗の条件を自動で判定する機能はありません。

料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。

予約の段階で決まること

多くは、来店の前に決まります。ここを設計しておくと、当日が楽になります。

予約を受ける経路に、条件を書いておいてください。ネットで予約される方は、電話をかけずに判断されます。書いていなければ、確認のために電話することになります。

そして、事前に相談していただける形を作ってください。「ご不明な点は、事前にお問い合わせください」の一言があるだけで、聞きやすくなります。

枠も、予約の段階で調整できます。時間がかかると分かっているなら、長めの枠を取っておけばその日は慌てずに済みます。

特別扱いにしない

対応を決めることと、特別扱いすることは違います。ここを混同しないでください。

必要以上に丁寧にすると、かえって居心地が悪くなります。他の方と同じ距離で接するほうが、たいていは望まれています。声の大きさや話す速さも、変える必要はありません。

会話も、同じです。障がいの話題を避けすぎるのも、逆に踏み込むのも、どちらも不自然になります。他の方と同じ話をしてください。

お手伝いも、申し出てから行ってください。黙って手を出すと、できることまで奪うことになります。

少しずつ広げる

いまの設備でできることから始めてください。全部を整えてからでは、いつまでも始まりません。

段差が1段なら、渡す板を1枚置くだけで変わる場合があります。費用も小さくて済みますし、使わない日は片づけておけます。

席の配置を変えるだけで、入れる範囲が広がることもあります。物件を変えなくてもできることは、意外にあります。

何を足せば何ができるようになるかは、条件を測ってあれば分かります。だからこそ、最初に数字を出しておく意味があります。

そして、改装の機会があるときに、条件を1つ足してください。まとめてやろうとすると、機会が来ません。

今日やる一つ

入口から施術する場所までを、メジャーで測ってください。段差の高さと、いちばん狭いところの幅。この2つの数字があれば、次に聞かれたときに答えられます。

よくある質問

「車椅子でも大丈夫ですか」と聞かれたら

設備の条件を事実で答えてください。「入口に1段の段差があります」「通路が◯cmです」。相手はご自身の状態を分かっているので、事実さえあれば判断していただけます。

何を測っておきますか

段差の高さ、通路のいちばん狭いところの幅、扉の開き方、席ごとの違い、トイレの条件です。数字にして電話の近くに置いておくと、その場で答えられます。

何を聞いてよいですか

「お手伝いが必要な場面はありますか」「気をつけたほうがよいことはありますか」。この2つで足ります。障がいの種類や程度そのものを聞く必要は、たいていありません。

同行の方がいる場合は

ご本人に聞いてください。付き添いの方にだけ話しかけるのは避けてください。

料金は変えてよいですか

障がいがあることを理由に高くするのは避けてください。ただし、行う工程が実際に増えるなら、その分は追加の料金として根拠があります。いずれにせよ先に伝えてください。

どう表示しますか

事実を書いてください。「バリアフリー対応」は基準が曖昧で、実態と合っていないと問題になります。入口の写真を1枚載せるほうが、文章より確実に伝わります。

受けられない場合は

設備の話として伝えてください。「当店の設備では、安全にお受けできません」。人ではなく条件の問題だと分かる言い方にします。可能なら他の選択肢を示してください。

予約の段階で何をしますか

予約の経路に条件を書いておいてください。ネットで予約される方は、電話をかけずに判断されます。事前に相談していただける形も作ってください。時間がかかると分かっているなら、長めの枠を取っておけば当日に慌てずに済みます。

設備を整えるべきですか

いまの設備でできることから始めてください。段差が1段なら渡す板を1枚置くだけで変わりますし、席の配置を変えるだけで入れる範囲が広がることもあります。改装の機会に条件を1つ足す、という進め方で構いません。

どう接すればよいですか

他の方と同じ距離で接してください。必要以上に丁寧にすると、かえって居心地が悪くなります。お手伝いは、申し出てから行ってください。黙って手を出すと、できることまで奪うことになります。