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スタッフ採用・育成・労務

一人サロンが初めてスタッフを雇うときの求人票の書き方|必須記載事項と業務委託の線引き

最終更新: 2026年7月28日

Summary

求人票は店を良く見せる文章ではなく、来てほしい人を絞り込む道具です。書く前に決める4項目、職業安定法の必須記載事項、業務委託と雇用の実態判断、面接で聞いてよいことを整理します。

一人でやってきたサロンが最初のスタッフを迎えるとき、いちばん時間を食うのが求人票づくりです。何を書けばいいか分からないまま他店の文面を写すと、応募が来ないか、来ても話が噛み合わないかのどちらかになります。

原因ははっきりしています。求人票は「うちの店を良く見せる文章」ではなく、「どういう人に来てほしいかを絞り込む道具」だからです。絞り込めていない求人票は、誰にも刺さりません。

求人票を書く前に決める4つのこと
求人票を書く前に決める4つのこと

書き始める前に決める4つのこと

求人票の文面を考える前に、次の4つを自分の中で確定させてください。ここが曖昧なまま書くと、どれだけ言葉を練っても伝わりません。

第一に、任せる仕事の範囲です。施術だけなのか、受付や清掃、SNSの更新まで含むのか。一人サロンから2人体制になるとき、オーナーは「自分がやっていること全部」を無意識に前提にしがちですが、それを書き出さないと入社後に食い違います。

第二に、雇用の形です。正社員か、パート・アルバイトか、業務委託か。ここは後述するとおり、税務と労務の扱いがまったく変わります。

第三に、勤務時間と休日です。「営業時間 10時〜19時」と書くだけでは、準備と片付けを含めた実際の拘束時間が伝わりません。

第四に、給与です。固定給か歩合か、その組み合わせか。金額だけでなく、何をもって歩合が発生するのかまで決めます。

決めること曖昧なまま書いた場合に起きること
仕事の範囲「掃除は聞いていない」と入社後に揉める
雇用の形業務委託のつもりが実態は雇用と判断されうる
勤務時間実際の拘束時間との差でミスマッチが起きる
給与歩合の条件が伝わらず不信につながる

業務委託と雇用を安易に選ばない

初めての採用で「社会保険の手続きが要らないから業務委託にしたい」と考えるオーナーは少なくありません。しかしこの選択は、店の都合だけで決められるものではありません。

労働者かどうかは、契約書の題名ではなく実態で判断されます。実態として次のような状況であれば、業務委託という名称でも労働者と判断されうるとされています。

  • 出勤時間と退勤時間を店が指定している
  • 施術の内容や進め方について具体的な指示を受けている
  • 仕事を断る自由が実質的にない
  • 使う道具や材料を店が用意している
  • 報酬が働いた時間に対して支払われている

これらに当てはまるのに業務委託として扱っていると、後から労働者と判断され、未払いの残業代や社会保険料の遡及といった問題に発展しえます。いわゆる偽装請負として指摘される領域です。

業務委託と雇用の判断は実態で決まる
業務委託と雇用の判断は実態で決まる

面貸しやシェアサロンのように、施術者が自分で集客し、自分の裁量で価格と時間を決め、売上から場所代を払うという形であれば業務委託として整理しやすくなります。一方で「うちのスタッフとしてシフトに入ってもらう」のであれば、雇用として設計するのが素直です。

判断に迷う場合は、労働基準監督署や社会保険労務士に実態を伝えて確認してください。契約書の文言だけを整えても、実態が伴わなければ意味がありません。

求人票に必ず書く項目

職業安定法により、募集にあたって明示しなければならない事項が定められています。主なものは次のとおりです。

項目書き方の例
業務内容カット・カラー・パーマの施術、受付、店内清掃
契約期間期間の定めなし/6か月(更新の可能性あり)
就業場所◯◯県◯◯市◯◯ 当店のみ
就業時間・休憩9時30分〜19時(休憩60分)、時間外あり
休日週休2日(火曜+シフト制で1日)
賃金月給◯◯円〜◯◯円(固定残業代を含む場合はその内訳)
加入保険雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金
募集者の氏名または名称◯◯サロン(個人事業主 ◯◯◯◯)
受動喫煙防止措置屋内禁煙

固定残業代を採用する場合は、その金額が何時間分に相当するのかと、超えた分は別途支払うことを明示する必要があります。ここを曖昧にした求人票は、応募者に不信感を与えるだけでなく、後の紛争の火種になります。

また、性別・年齢・国籍を理由に応募を制限する表現は原則として使えません。「20代女性歓迎」といった書き方は避け、必要な能力や経験で表現してください。

給与の書き方で迷ったときの整理

美容業界は歩合の設計が店ごとに違うため、求人票でいちばん誤解が生まれるのが給与欄です。書き方を3つに整理します。

固定給のみは、月給を定めて売上に連動させない形です。応募者にとって分かりやすく、収入が安定します。店にとっては、売上が落ちた月も同額を払う必要があります。

固定給と歩合の組み合わせは、最低保障の月給に、一定の売上を超えた分に対する歩合を上乗せする形です。美容室で多く見られます。求人票には、歩合が発生する基準額と料率の両方を書いてください。「歩合あり」だけでは何も伝わりません。

完全歩合は、雇用契約では原則として使えません。労働基準法により、出来高払いであっても労働時間に応じた一定額の保障が求められるためです。完全歩合を前提にするなら、それは業務委託の設計であり、前述の実態判断を満たす必要があります。

求人票に書くこと注意点
固定給のみ月給の下限と上限、その差が何で決まるか幅を出すなら決定要素を書く
固定給+歩合保障される月給、歩合の基準額、料率基準額を書かないと不信を招く
完全歩合雇用では原則採用できない業務委託とする場合は実態要件を満たす必要がある

社会保険料の労使折半分や、材料費をどちらが負担するかも、入社後に食い違いやすい点です。求人票に書ききれない場合は、面接で必ず口頭で説明してください。

応募が来ない求人票の共通点

書式を満たしていても応募が来ないことがあります。読み手の立場に立つと理由が見えてきます。

一つ目は、待遇の幅が広すぎることです。「月給20万円〜40万円」と書くと、読み手は下限で計算します。幅を出すなら、何によって決まるのかを添えてください。

二つ目は、店の情報が足りないことです。一人サロンへの応募は、オーナーと2人きりで働くことを意味します。どんな考えで店をやっているのか、どんな客層が来るのか、そこが分からないと応募のハードルは下がりません。

三つ目は、良いことしか書いていないことです。「アットホームな職場」だけでは何も伝わりません。一人が抜けると回らない規模であること、繁忙期は忙しいこと、そうした事実を書いたほうが、条件を理解した人が来ます。

四つ目は、応募方法が電話だけであることです。働きながら転職先を探す人は、営業時間中に電話をかけられません。フォームやメッセージでも受け付ける導線を用意してください。

応募から入社までの進め方

応募が来てから慌てないよう、順序を決めておきます。

  1. 応募を受けた当日か翌営業日に返信する。返信が遅いと辞退される
  2. 面接の日時と場所、所要時間、持ち物を伝える
  3. 面接で、求人票に書いた条件を口頭でも確認する
  4. 技術職の場合、施術を見る機会を設ける
  5. 採用を決めたら、労働条件通知書を書面で交付する
  6. 入社日までに雇用保険・社会保険の手続きを準備する

5番目の労働条件通知書は法律上の義務です。求人票の内容と実際の労働条件が異なる場合、変更した点を明示する必要があります。求人票と違う条件で採用すること自体が禁じられているわけではありませんが、説明せずに変えるのは避けてください。

応募から入社までの6ステップ
応募から入社までの6ステップ

面接で聞くこと、聞いてはいけないこと

面接では、業務に必要な能力と適性を確認します。一方で、本人の責任ではない事項や、思想信条に関わる事項を聞くことは適切ではないとされています。

聞いてよいこと避けるべきこと
これまでの施術経験と得意な技術本籍地、家族の職業や収入
勤務可能な曜日と時間結婚や出産の予定
通勤手段と所要時間支持政党、信条、宗教
保有資格と取得時期住宅の状況(持ち家か賃貸か)

一人サロンの場合、「長く働けるか」を確認したくなるのは自然ですが、それを結婚や出産の予定を聞く形で確認するのは避けてください。勤務の継続可能性は、働き方の希望を聞く形で確認できます。

入社前に用意しておくもの

採用が決まってから慌てないよう、入社日までに揃えるものを挙げます。

用意するもの目的
労働条件通知書法定の交付義務。求人票との差異があれば明示する
雇用契約書通知書と兼ねることもできる。署名した控えを双方で持つ
労働者名簿と賃金台帳事業主が備え付ける義務がある
出勤簿またはタイムカード労働時間の記録。手書きでも構わないが必ず残す
就業規則常時10人以上を使用する場合に作成と届出の義務がある
秘密保持の取り決め顧客情報を扱うため。誓約書として取り交わす例が多い

このうち見落とされやすいのが労働時間の記録です。一人サロンから2人になった段階では「だいたい把握している」で済ませがちですが、記録がないと残業代の計算根拠が示せません。開店準備と閉店作業の時間を労働時間に含めるかどうかも、あらかじめ決めて伝えてください。

顧客情報の扱いについては、個人情報保護法上の安全管理措置として、従業者の監督が求められます。スタッフが顧客の連絡先を私物の端末に控える、退職時にデータを持ち出す、といったことが起きない運用を先に作ってください。

2人体制になると予約と顧客管理が変わる

スタッフが増えると、それまで頭の中で回していたことが回らなくなります。とくに変わるのが次の3点です。

第一に、予約の空き枠が「時間」だけでは決まらなくなります。誰が空いているか、どの席が空いているかを同時に見る必要が出てきます。

第二に、指名が発生します。指名予約を受けるなら、指名した人の空き時間だけを提示する仕組みが要ります。

第三に、顧客情報を誰がどこまで見られるかを決める必要が出てきます。スタッフ全員が全顧客の情報を自由に閲覧・編集できる状態は、個人情報の安全管理という観点で望ましくありません。

VANNAでは、メニューごとに所要時間を登録すると、カレンダー予約で空き枠が自動計算されます。指名と時間枠、事前決済に対応しており、これらはMaxプランの機能です。来店前のメールリマインドは全プランで使えます。管理画面に入るユーザーはプランごとに上限があり、Proは2名、Max以上はより多くの人数を登録できます。顧客台帳は予約と同じ画面にあるため、スタッフが増えても記録の置き場所が分かれません。

料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。決済を使う場合のStripe決済手数料は店舗負担で別途かかります。

現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。申し込みにはクレジットカードの登録が必要で、無料期間の終了後は選択したプランへ自動的に移行します。期間中の解約は無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。

よくある質問

個人事業主でもスタッフを雇えますか

雇えます。法人であることは要件ではありません。ただし人を雇うと、労働保険の加入手続きが必要になります。健康保険と厚生年金については、個人事業で常時5人以上を使用するかどうか、業種が何かによって扱いが変わるため、年金事務所に確認してください。

業務委託にすれば社会保険の手続きは不要ですか

実態が労働者であれば、契約の名称にかかわらず労働者として扱われうるため、手続きが不要になるとは限りません。出退勤の指定や業務の具体的な指示があるかどうかで判断されます。実態を整理したうえで社会保険労務士に確認してください。

求人票に書いた給与と違う額で採用してもよいですか

求人票は募集条件の提示であり、面接を経て条件が変わること自体はありえます。ただし変更した点は明示し、労働条件通知書に確定した内容を記載してください。説明せずに下げることは、後の紛争につながります。

試用期間を設けられますか

設けられます。ただし試用期間中であっても労働契約は成立しており、自由に解雇できるわけではありません。期間の長さと、その間の賃金が本採用後と異なる場合はその旨を、あらかじめ明示してください。

求人はどこに出すのがよいですか

美容業界に特化した求人サイト、ハローワーク、自店のホームページとSNSが主な選択肢です。一人サロンの場合、自店のホームページに募集ページを置き、SNSからそこへ誘導する形が費用を抑えやすくなります。応募フォームを用意し、電話以外でも受け付けられるようにしてください。

採用してすぐ辞められた場合、何を見直すべきですか

多くの場合、求人票と実態の差が原因です。任せる仕事の範囲、実際の拘束時間、繁忙期の忙しさが、募集時にどこまで伝わっていたかを振り返ってください。伝えにくい事実こそ、先に伝えたほうが定着します。

出典

本記事は2026年7月時点の一般的な情報の整理であり、個別の法的助言ではありません。雇用契約の設計、業務委託との区分、社会保険の加入義務については、社会保険労務士・弁護士等の専門家、または労働基準監督署・年金事務所にご確認ください。VANNAの料金・機能・キャンペーン条件は変更される場合があります。