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取材の依頼が来たら|最初に費用の有無を聞く

公開: 2026年8月27日

「地域の情報誌で、お店を紹介させていただきたいのですが」と電話がありました。うれしい話です。取材を受けるなんて初めてで、その日は少し浮き足立ちました。ところが話を聞いていくうちに、掲載には費用がかかると分かりました。

取材と、広告の営業は違います。そして厄介なことに、どちらも「取材」という言葉で始まります。悪意があるとはかぎりません。相手にとっては、取材のような形で作る広告を売っているだけ、ということもあります。

ただ、こちらにとっては判断の種類がまったく変わります。見分ける方法は簡単です。そして、受けると決めたあとにも、決めておくことがいくつかあります。

「掲載に費用はかかりますか」という質問から分岐する図。かからなければ取材で、客層が合うかで受けるかを決める。かかる場合は広告で、費用に見合うか、1人あたりいくらまで払えるかで判断する。はっきり答えない相手には注意と添えられている。
「掲載に費用はかかりますか」という質問から分岐する図。かからなければ取材で、客層が合うかで受けるかを決める。かかる場合は広告で、費用に見合うか、1人あたりいくらまで払えるかで判断する。はっきり答えない相手には注意と添えられている。

最初に、費用の有無を聞く

遠回しにしないでください。

「掲載に費用はかかりますか」。この一言で足ります。聞くこと自体は、まったく失礼にあたりません。

無料の取材であれば、その場ではっきり「かかりません」と答えが返ってきます。相手も慣れています。

費用がかかる場合、それは広告です。悪いものではありませんが、判断の種類が変わります。うれしい話として受けるのではなく、広告として、費用に見合うかを考えることになります。

そして、はっきり答えない相手には気をつけてください。「詳しくはお会いしてから」という返しが来たときは、そこで一度立ち止まってください。あとから請求が来る形が、いちばん困ります。

相手を確かめる

電話やメールだけで判断しないでください。

聞くのは3つです。

  • 媒体の名前
  • 発行や配信の範囲
  • 担当の方の連絡先

そのうえで、その媒体を実際に見てください。過去の号があるなら、どういう店が載っているかが分かります。自分の店が並んでいる姿を想像できるかどうか。それが、いちばん確かな判断材料になります。

見つからない媒体、実物を確認できない媒体は、慎重に扱ってください。営業の断り方はサロンへの営業電話と飛び込み訪問で扱っています。判断に迷うなら、その形で断ってかまいません。

受けるかどうかは、客層で決める

載ること自体を目的にしないでください。ここが分かれ目です。

まず、その媒体を見ている人が、自分の店に来られる範囲にいるか。どれだけ立派な媒体でも、読者が遠方にいるのであれば来店にはつながりません。

次に、その層が自分の店に合うか。安さを探している方が見る媒体に載れば、そういう問い合わせが増えます。忙しくなったのに単価が下がる、ということが起こります。

そして、載ったあとに対応できるかも見てください。予約が集中したときに、いま通ってくださっている方の枠を圧迫しないか。新規のために既存の方が入れなくなるのでは、本末転倒です。

なお、断ることは失礼ではありません。「今回は見送らせていただきます」で足ります。

受けると決めた後に詰める4項目の表。日時は定休日か開店前で所要時間も確認、写真はお客様が写らない範囲、話す範囲は自店のことに限る、掲載前の確認を頼む。確認するのは店名・住所・電話番号・営業時間・料金の5つ。
受けると決めた後に詰める4項目の表。日時は定休日か開店前で所要時間も確認、写真はお客様が写らない範囲、話す範囲は自店のことに限る、掲載前の確認を頼む。確認するのは店名・住所・電話番号・営業時間・料金の5つ。

当日までに決めておく4つ

受けると決めたら、ここを詰めてください。

1つめは、日時です。営業に影響しない時間を選んでください。定休日か、開店前が確実です。

2つめは、写真です。店内のどこを撮るか、こちらが写るかどうか。

3つめは、話す範囲です。これはあとで詳しく述べます。

4つめは、掲載前に内容を確認できるかどうかです。これは、必ず聞いてください。

そして、所要時間も確認してください。1時間と言われて3時間かかることがあります。悪気なく話が弾んでしまう、というだけのことも多いのですが、こちらの1日は潰れます。次の予定を入れておけば、こちらから自然に区切れます。

お客様が写らないようにする

いちばん気をつける点です。

営業中に撮影する場合、他のお客様が背景に入ります。同意なく写り込んだ写真が世に出てしまうと、取り返しがつきません。紙であれば回収できませんし、web であっても一度出たものは残ります。

ですから、営業時間外にしてください。それが難しいのであれば、撮る範囲を限定してください。

そして、お客様に協力していただく場合は、必ず同意を取ってください。何に使われるか、どこに出るかを伝えたうえでです。「ちょっと写ってもいいですか」だけでは足りません。

撮影と同意の考え方はサロンの写真と同意で整理しています。取材でも、原則は同じです。

話す範囲を、先に決める

聞かれるままに答えないでください。

答えてよいのは、自分の店のことです。始めた理由、大事にしていること、メニューの内容。このあたりは、いくら話しても困りません。

避けたほうがよいのは、売上や客数といった数字です。載ってしまうと、取引先にも同業にも見られます。相手は場を和ませるつもりで聞いてきますが、記事には数字だけが残ります。

他店との比較も避けてください。「あそこより安い」「うちのほうが技術がある」。こうした発言は、そのまま載ります。そして、地域は狭いものです。

そして、効果を語らないでください。取材の場は雰囲気がよく、つい話が広がりますが、記事になると断定として読まれます。表現の考え方はサロンの口コミ・紹介はステマ規制に抵触しないかでも触れています。

掲載前の確認を、必ず頼む

言い忘れると、あとから直せません。

「掲載前に、原稿を見せていただけますか」。この一言を、受けると決めた時点で伝えてください。あとから頼むより、最初に言っておくほうが自然です。

すべての媒体が応じるわけではありません。編集の方針として断られることもあります。ただし、事実の誤りだけは直していただけることが多くあります。

そして、確認できる場合は、見る箇所を絞ってください。店名、住所、電話番号、営業時間、料金。この5つの誤りが、もっとも実害になります。読んだ方が来られなかったり、違う金額を期待して来られたりするからです。

なお、表現の好みまで直そうとしないでください。相手の記事です。

掲載後にやることを3つに分けた図。保管する(実物と画像、店内に置くなら1冊だけ)、紹介するときは誌面をそのまま載せず文字で触れる、効果は1か月の新規の人数とリピートで数える。
掲載後にやることを3つに分けた図。保管する(実物と画像、店内に置くなら1冊だけ)、紹介するときは誌面をそのまま載せず文字で触れる、効果は1か月の新規の人数とリピートで数える。

掲載されたあとにできること

出て終わりにしないでください。

まず、掲載された号を保管してください。実物と、写真に撮ったものの両方です。実物は劣化しますし、数年経つと行方が分からなくなります。

そして、店内に置くかどうかを決めてください。置く場合は、掲載号を1冊だけにしてください。古いものが何冊も並んでいると、かえって時間の経過が見えてしまいます。年が変わったら、下げるかどうかを考えてください。

自分のサイトやSNSで紹介したい場合は、権利の範囲を確認してください。誌面をそのまま載せることは、多くの場合できません。

「◯月号に掲載していただきました」と文字で書くだけなら、問題になりにくい形です。迷うのであれば、媒体に聞いてください。聞かれて怒る担当者はいません。

事実と違う内容で載ったとき

起こりえます。慌てないでください。

まず、どこが違うかを具体的に書き出してください。このとき、感想ではなく、事実の誤りに絞ります。「思っていた雰囲気と違う」は、直せる話ではありません。

そして、担当の方に連絡してください。「営業時間が実際と違っています」。責める形にせず、事実だけを伝えます。

紙の媒体では、出てしまったものは直せません。次号での訂正か、配信版の修正が現実的な落としどころになります。

そのうえで、こちらでも手当てをしてください。自分のサイトや店頭で、正しい情報を出しておけば実害は減ります。読んだ方が最終的に見るのは、たいてい店の側の情報です。

掲載後に問い合わせが増えたら

想定していないと、対応で崩れます。

まず、電話が増えます。施術中で取れない時間帯が続くと、せっかくの機会を逃すことになります。

ですから、掲載の時期が分かっているのであれば、その週は枠に余裕を持たせてください。予約の受付をネットに寄せておく方法もあります。

そして、問い合わせの内容が偏ることがあります。記事に載った部分に引かれて来られるためです。よく聞かれることには、答えを決めておいてください。同じ説明を1日に何度もすることになります。

費用がかかる場合の判断

広告として見るなら、見方が変わります。

見るのは、掲載料と、そこから来ると見込める人数です。そして、1人あたりいくらまで払えるかを、先に決めてください。この数字がないまま話を聞くと、金額の印象だけで判断することになります。

そして、1回で判断しないでください。1号だけ載せても、多くの場合は反応が出ません。続けるなら何号までか、上限を決めてから始めます。

なお、「今なら安くなります」という勧め方には気をつけてください。急がせる相手とは、その場で決めないでください。本当に良い話であれば、来月でも良い話のはずです。

反応を数える

効果を感覚で判断しないでください。

数えるのは、掲載後1か月の新規のうち、その媒体を見て来られた方の数です。予約のときに一言聞けば分かります。

そして、その方々がリピートしたかも見てください。1回で終わる媒体と、続く媒体があります。人数より、こちらのほうが判断の材料になります。10人来て誰も戻らない媒体より、3人来て2人が続く媒体のほうが、店にとっては価値があります。

有料の掲載なら、この数字が次の判断になります。無料の取材であっても、費やした時間に見合ったかどうかは見ておいてください。

断り方を決めておく

すべてを受ける必要はありません。

断るときは、理由を長く述べないでください。「今回は見送らせていただきます」で足ります。理由を述べると、その理由への説得が始まります。

そして、断ったことで関係が悪くなる相手なら、そもそも組む相手ではありません。何度も食い下がってくる場合も同じです。

なお、費用の話が曖昧なまま進む場合は、その時点で止めてください。「書面でいただけますか」と伝えれば、多くはそこで終わります。

学生や地域からの依頼

商業媒体だけではありません。

学生の課題、地域の広報、学校の職場体験。こうした依頼が来ることがあります。

判断の枠は同じです。日時、写真の範囲、話す内容、お客様への配慮。決めることは変わりません。

ただし、無償である以上、こちらの負担が見えにくくなります。何時間かかるかを先に確認してください。善意で受けたつもりが、丸1日を使うことになった、ということが起こります。

そして、断ってもよいのは商業媒体と同じです。地域だから、子どもだから、という理由で無理に受けないでください。無理をして受けた回は、たいてい相手にも伝わります。

取材が来ない場合の考え方

そもそも、待っていても来ないことがほとんどです。

こちらから出すという方法があります。地域の媒体に向けた案内の書き方は開業プレスリリースの書き方で扱っています。

そして、出すなら「新しいこと」が必要です。開業、移転、新しい取り組み。何もない状態で出しても、記事にはなりません。媒体の側も、書く理由を探しています。

なお、取材が来ないことは、店の出来不出来とは関係ありません。媒体の側の都合がほとんどです。載ることを目標にすると、判断が鈍ります。

スタッフがいる場合

先に伝えてください。

当日に知らされると、身なりも心の準備も整いません。写真に残るものですから、そこを軽く扱われると、あとまで残る不満になります。

写るかどうかも、本人に選ばせてください。そして、写りたくない人を無理に写さないでください。断ることを不利に扱わない、と先に伝えておいてください。そう言われないかぎり、立場のある相手には断りにくいものです。

なお、退職後に写真が残るという問題もあります。掲載物は消せません。それも含めて、本人に判断していただいてください。

段階確認すること
最初の連絡掲載に費用がかかるか(この一言を必ず聞く)
相手の確認媒体名・発行の範囲・担当の連絡先。実物を見る
受けるかその媒体を見る人が来店できる範囲にいるか。客層が合うか
当日まで日時(営業時間外)・写真の範囲・話す内容・掲載前の確認
話す範囲自店のことは可。売上・客数・他店との比較・効果は避ける
掲載後保管する。SNSで触れるなら権利の範囲を確認
効果1か月の新規のうち何人か、リピートしたか

今日やる一つ

もし明日、取材の電話が来たら何と答えるかを、1文だけ決めておいてください。「掲載に費用はかかりますか」。この質問が最初に出るかどうかで、そのあとの展開がまったく変わります。うれしい気持ちのまま話が進んでしまうのを、この一言が止めてくれます。

よくある質問

取材と広告は、どう見分けますか

「掲載に費用はかかりますか」と最初に聞いてください。かかるなら広告です。悪いものではありませんが、費用に見合うかという別の判断になります。「詳しくはお会いしてから」という返しが来たときは、そこで一度立ち止まってください。

相手を確かめる方法は

媒体の名前、発行や配信の範囲、担当の連絡先の3つを聞いてください。そのうえで、その媒体を実際に見ます。どういう店が載っているかを見て、自分の店が並んでいる姿を想像できるかどうかが判断材料になります。

受けるかは何で決めますか

その媒体を見ている人が、来店できる範囲にいるか。その層が自分の店に合うか。載ったあとに対応できるか。この3つです。載ること自体を目的にしないでください。

営業中に撮影されるのは

避けてください。他のお客様が背景に入ります。一度出た写真は回収できません。営業時間外にするか、撮る範囲を限定してください。協力していただく場合は、何に使われるかを伝えて同意を取ります。

何を話してよいですか

自分の店のことは話してかまいません。売上や客数といった数字、他店との比較、効果に関する話は避けてください。取材の場は雰囲気がよく話が広がりますが、記事になると断定として読まれますし、数字だけが残ります。

掲載前に確認できますか

受けると決めた時点で「原稿を見せていただけますか」と伝えてください。あとから頼むより自然です。すべての媒体が応じるわけではありませんが、事実の誤りは直していただけることが多くあります。

確認するとき、どこを見ますか

店名、住所、電話番号、営業時間、料金の5つです。この誤りがもっとも実害になります。表現の好みまで直そうとしないでください。相手の記事です。

掲載された誌面をSNSに載せてよいですか

権利の範囲を確認してください。誌面をそのまま載せることは多くの場合できません。「◯月号に掲載していただきました」と文字で書く形なら、問題になりにくくなります。迷うなら媒体に聞いてください。聞かれて怒る担当者はいません。

効果はどう測りますか

掲載後1か月の新規のうち、その媒体を見て来られた方の数を数えてください。あわせて、その方々がリピートしたかも見てください。10人来て誰も戻らない媒体より、3人来て2人が続く媒体のほうが、店にとっては価値があります。

事実と違う内容で載ったら

どこが違うかを具体的に書き出し、事実の誤りに絞って担当の方に連絡してください。責める形にせず、事実だけを伝えます。紙の媒体は直せませんので、次号での訂正か配信版の修正が落としどころです。自分のサイトや店頭で正しい情報を出しておけば、実害は減ります。

掲載後に問い合わせが増えたら

その週は枠に余裕を持たせ、受付をネットに寄せておく方法があります。施術中で電話が取れない時間が続くと、せっかくの機会を逃します。よく聞かれることには、答えを決めておいてください。

有料の掲載を判断するときは

掲載料と、そこから見込める人数を並べ、1人あたりいくらまで払えるかを先に決めてください。1号だけでは反応が出ないことが多いため、続けるなら上限の号数も決めます。急がせる相手とは、その場で決めないでください。本当に良い話なら、来月でも良い話のはずです。

断ってもよいですか

かまいません。「今回は見送らせていただきます」で足ります。理由を長く述べると、その理由への説得が始まります。費用の話が曖昧なまま進む場合は、その時点で止めてください。

学生や地域からの依頼は

判断の枠は同じです。日時、写真の範囲、話す内容、お客様への配慮を決めてください。無償だと負担が見えにくくなりますので、何時間かかるかを先に確認します。地域だから、子どもだからという理由で無理に受けないでください。

スタッフが写る場合は

先に伝えてください。当日に知らされると、身なりも心の準備も整いません。写るかどうかは本人に選ばせ、断ることを不利に扱わないと伝えておいてください。そう言われないかぎり、立場のある相手には断りにくいものです。退職後も掲載物は消せない点も含めて判断していただきます。