サロンの口コミ・紹介はステマ規制(景表法・2023年10月)に抵触しない?|事業者明示の正しいやり方とNG例【サロン向け】
公開: 2026年6月29日最終更新: 2026年7月27日
Summary
美容サロンの口コミ・紹介・モニター・インフルエンサー施策がステマ規制(景表法/2023年10月施行)に触れないやり方を、事業者明示の基準・NG例・媒体別対応・公開前チェックリストまで実務目線で解説。
「口コミは増やしたい。でも『ステマ』と言われるのが怖くて、お客様に感想をお願いする手が止まる」。多くのサロンオーナーの本音です。
この記事が引き受けるのは、お客様に刺さる依頼文の書き方ではありません。口コミ・紹介・モニター・インフルエンサー施策を合法に運用するための法ルールを1ページで整えることです。何が違反で何が大丈夫か、どう明示すれば安全かだけを、サロン実務のシーンに即して解き切ります。
先に結論をお伝えします。
- 規制対象は事業者、つまりサロンです。依頼を受けた第三者であるお客様やインフルエンサー本人は規制の対象外です
- お客様が自分の判断で書いた自然な口コミ、自発的な紹介は、そもそもステマではありません
- 問題になるのは、対価を払って投稿内容を依頼しその関与を隠すこと、サロンや従業員や身内が一般客になりすまして投稿すること、自社サイトに口コミを載せて広告だと分からせないことです
- 対価関係があるなら「#PR」「○○サロンから提供」などで、事業者が関与している事実を消費者が容易に分かる形で明示します
- 「個人差があります」といった打ち消し表記だけでは、別問題である誇大表示は解決しません
- 法人か個人かは関係ありません。一人サロン・個人事業主も対象です

なお、口コミ依頼の言い方やタイミングはGoogleクチコミ依頼のコツ、紹介の特典設計は紹介を仕組み化、低評価への対応は悪い口コミ・低評価への対応、表現の言い換えはエステ・痩身のHP表現、配信の法務は特定電子メール法対応で扱っています。本記事は法ルール、各記事は運用という粒度の違いがあります。
ステマ規制とは
ステマ規制は、景品表示法第5条第3号に基づく指定告示で、2023年10月1日に施行されました。一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示を、不当表示として禁止するものです。所管は消費者庁で、規制対象は事業者です。罰則は、措置命令が出され、さらに課徴金等の対象になり得る二段構造で、いきなり罰金ではありません。
美容サロンが当事者になり得る典型シーンは、お客様への口コミ依頼、無料や割引と引き換えのモニター募集、施術の無償提供を含むインフルエンサーの来店PR、自社サイトへの「お客様の声」転載、スタッフの個人アカウントでの投稿です。
これら全部が射程に入り得ます。ただし入り得ることと即アウトは違います。境界を理解すれば、過度に萎縮する必要はありません。
規制されるのは事業者。お客様本人は対象外
最重要の構造です。規制を受けるのは広告主である事業者であって、依頼を受けて書いたお客様やインフルエンサー本人ではありません。
だからこそ、お客様に感想を書いてもらうこと自体は悪ではありません。問題になるのは、事業者が表示内容に関与しているのに、その関与を隠すことです。ここを取り違えると、本来やってよい施策まで止めてしまいます。
景品規制と表示規制は別物
紹介特典の金額上限の話と、ステマつまり表示の偽装の話は、別の規制です。混同しないでください。本記事が扱うのは、表示が事業者の表示だと分かるかどうかです。
措置命令の重み
違反はまず措置命令が出され、悪質性等によってはさらに課徴金等の対象になり得ます。いきなり罰金ではありませんが、措置命令は公表されるため、それ自体がサロンの信用を大きく毀損します。

事業者の表示になる2つの軸
ある表示が事業者の表示に当たるかは、運用基準上おおむね2つの軸で判断されます。
- 関与。事業者がその表示内容の決定に関与したか。どう書くかを指定・誘導したか
- 関係性。表示した人が事業者と一体とみなされる関係か。対価を受け取ったか、従業員か、家族や身内か

お客様が自分の判断で感想を書いた、友人を自発的に連れてきた。これは第三者の自主的な行為で、事業者が内容をコントロールしていません。対象外です。依頼すること自体を過度に恐れる必要はありません。
一方、次の行為は事業者の表示と評価され得ます。現金・割引・商品などの対価と引き換えに投稿内容を指定・依頼すること。サロン本人・家族・スタッフが一般のお客様を装って投稿すること。明らかに有利な内容だけを書くよう誘導したり、不利な点に触れないよう求めたりすることです。
見落としやすいグレーゾーンもあります。従業員の個人アカウント投稿は、身内として一体とみなされ得ます。一般客を装った投稿は避け、社員であることが分かる前提にしてください。★5特典や投稿と引き換えの特典は、投稿への対価と評価され得ます。低評価を載せず高評価だけ見せる操作は、表示の歪曲としてリスクになり得ます。
迷ったら安全側に倒し、対価があるなら明示するを原則にしてください。
パターン別の判定
| 施策 | 判定 | 必要な対応 |
|---|---|---|
| 来店後に感想を依頼。対価なし・内容指定なし | 自然な口コミ | 明示不要 |
| 「★5で○○プレゼント」 | 要注意 | 投稿への対価と評価され得る。内容を縛らず、特典は投稿の有無に依らない設計に。プラットフォームの規約にも抵触し得る |
| モニター。無料や割引と引き換えに投稿依頼 | 対価あり | 「○○サロンのモニターです」等の明示が必須 |
| インフルエンサー来店PR。無償提供含む | 対価あり | 「#PR」「提供:○○」を投稿に明瞭表示。依頼主であるサロンが明示を担保する責任を負う |
| お客様の声をサイトやSNSに転載 | 状況次第 | 自社サイト上の表示は事業者の表示。広告と分かる体裁なら可。中立な第三者の感想を装うと不可。対価付き投稿はPR表記ごと転載 |
| スタッフ個人アカウントで一般客風に投稿 | 不可 | 身内のなりすまし |
| 低評価だけ非表示にして高評価を演出 | リスク | 表示の歪曲 |
プラットフォームの規約は別レイヤー
ここが他記事で抜けやすい重要点です。景品表示法のステマ規制と、各プラットフォームの規約は別の規制です。
国の規制は、事業者の関与を隠した表示を禁止するものです。一方Googleビジネスプロフィールの規約などの民間ルールでは、報酬や特典と引き換えのレビュー依頼を原則禁止しています。さらに、低評価を付けそうな客には頼まず高評価客にだけ依頼する選別も禁止されています。具体的な仕様は変わりうるため公式でご確認ください。

つまり「★5でプレゼント」は、法の規制とプラットフォーム規約の両方に触れ得る二重リスクです。また口コミ依頼は、全来店客に等しく呼びかけるのが原則で、低評価が予想される客を外す選別は規約上も認められません。
明示の正しいやり方
明示はあるだけでは足りません。一般消費者が容易に認識できる明瞭性が要件です。
表記には「広告」「PR」「プロモーション」「○○サロンから提供」「タイアップ」など、関与が伝わる語を使います。
明瞭性の基準
PR表記が形式的に存在しても、消費者が気づけなければ不十分です。次は明瞭性を欠くとされ得る例です。
- 大量のハッシュタグの末尾に紛れ込ませる
- 文字が小さい、薄い、背景と同化して読み取りにくい
- 「続きを読む」の折りたたみの中にあり、最初の画面で見えない
- 本文全体が自分で見つけた中立な感想という印象なのに、PR表記だけ申し訳程度に添える
逆に望ましいのは、投稿の冒頭や本文の先頭で、はっきり読める大きさと色で示すことです。
媒体別の置き場所
InstagramやTikTokでは、投稿の冒頭・本文先頭で明示し、プラットフォームのタイアップ投稿ラベル機能も併用します。Googleクチコミの投稿はお客様本人の表示です。サロンが代筆したり投稿内容を指定したりしないでください。指定すれば事業者の表示になります。自社サイトの「お客様の声」は、店が掲載している事業者の表示と分かる体裁にし、対価のある声はその旨を併記します。
明示の雛形
そのまま使わず、公開前に監修を受けることを前提としてください。
モニター案内文の例 本投稿は、○○サロンのモニター企画として、施術料金の割引提供を受けて投稿しています。
インフルエンサーへの明示指定文の例 投稿の本文先頭に「#PR」および「提供:○○サロン」を、読み取れる大きさで明記してください。
サイト掲載時の注記文の例 本ページはサロンが掲載する「お客様の声」です。一部、モニター企画で割引提供を受けた方の声を含みます。
紹介はステマになるのか
純粋な紹介、つまりお客様が自発的に友人を連れてくることは、第三者の自主的行為でステマの対象外です。一方、紹介者に「こう書いて」と投稿内容を指定して対価を出すと関与があり、明示が必要な局面になります。
事故らないコツは、紹介と口コミ投稿の依頼を混ぜない設計にすることです。紹介特典は来店という行動に紐づけ、投稿内容には紐づけないのが安全です。特典の上限金額は紹介を仕組み化で扱っています。
他法令との重なり
事業者の表示と分かるように書けば中身は何を書いてもいい、わけではありません。
誇大表示
ステマでなくても、内容が誇大なら問題です。「絶対」「No.1」「最安」「シミが消える」といった根拠なき表示は、第三者の声を借りても許されません。
薬機法
口コミやお客様の声でも、効能効果の断定を転載することはできません。第三者の声を借りた効能標榜も規制対象になり得ます。「シミが完全に消えました」「○回で痩せました」をお客様の声として掲載するのは避けてください。言い換えはエステ・痩身のHP表現で扱っています。
配信と個人情報
口コミ依頼メールやモニター連絡の配信は、特定電子メール法により事前同意・送信者表示・配信停止が必要です。連絡先取得時は個人情報保護法上の利用目的の明示と同意が必要です。
民事のリスク
見落とされがちな交点です。ステマ的な誤認表示は、行政の問題にとどまらず民事リスクにも波及し得ます。表示によってお客様が誤認して契約した場合、消費者契約法第4条の不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知にあたるとして、契約の取消しを主張される可能性があります。
つまり行政処分は受けなくても、お客様個人から契約を取り消される、返金を求められるという民事の入口があるということです。
口コミ管理機能での運用
口コミの依頼・収集・掲載・明示・配信を、法を守りながら一元管理したい。この課題に対してVANNAの口コミ管理機能が一案になります。誇張せず事実だけ書きます。
口コミ機能はMax以上、来店後の口コミ依頼の自動メールもMax以上、口コミの掲載と非掲載の管理、LINE連携とブログ・お知らせもMax以上です。来店前メールリマインドはProから利用できます。
口コミ依頼メールと特定電子メール法
主力機能だからこそ正直に書きます。来店後の口コミ依頼メールは、同法上の広告宣伝目的の特定電子メールに寄る可能性があります。
予約確認やリマインドのような取引付随通知と、口コミや販促を促すメールでは、扱いが変わり得ます。口コミ依頼メールを送る場合は、事前同意・送信者の氏名や名称の表示・配信停止の導線を整える前提で運用してください。
明示と関与の責任はサロン側
VANNAは依頼・収集・掲載する箱を提供しますが、対価設計や明示文の適法性を自動で肩代わりするものではありません。
また、掲載と非掲載の機能を、都合の悪い口コミを恣意的に隠す使い方をすると、かえって表示の歪曲リスクになります。低評価への向き合い方は悪い口コミへの対応にまとめています。機能の有無と仕様は契約前に実画面でご確認ください。
便益は控えめにお伝えします。依頼から掲載までを同じ台帳上で回せると、対価の有無の記録や明示の運用を一元管理しやすくなる可能性があります。効果を保証するものではありません。
よくある質問
「★5でプレゼント」はステマですか
投稿への対価として関与と評価され得ます。さらにプラットフォーム規約上のインセンティブ付きレビュー禁止にも触れ得る二重リスクです。特典は投稿の有無や内容に紐づけない設計にしてください。
モニターはどうですか
無料や割引は対価です。「○○サロンのモニターです」と明示すれば問題ありません。明示なしは認められません。
インフルエンサーへの無償提供は
無償提供も対価です。「#PR」「提供:○○」を投稿の本文先頭に明瞭表示します。明示の担保はサロンの責任です。
お客様の声をサイトに載せていいですか
載せて構いません。ただし店が掲載している事業者の表示と分かる体裁にし、中立な第三者の感想を装わないでください。効能効果の断定はできません。
スタッフの個人投稿は
社員と分かる前提なら問題ありません。一般客になりすますことはできません。
悪い口コミを消していいですか
恣意的な非表示はリスクです。対応の考え方は関連記事にまとめています。
一人サロン・個人事業主でも対象ですか
対象です。法人か個人かではなく、広告宣伝の主体であるかで判断されます。
依頼されて書いた口コミはステマですか
規制対象は事業者です。書いた方自身は対象外で、自分の言葉で書いた感想なら問題ありません。特典を受けて書く場合は、その事実が分かる状態が望ましいです。
まとめ
公開前のチェックリストです。
- 各施策について、現金・割引・無償提供・特典といった対価の有無を棚卸しした
- 対価があるものは、明示文を用意した
- 明示が冒頭で読み取れる大きさになっており、末尾に紛れ込んでいないか確認した
- 投稿内容を指定・誘導していない
- 店・身内・スタッフによるなりすまし投稿がない
- 自社サイトへの転載が事業者の表示と分かる体裁になっている
- 低評価の恣意的な非表示をしていない
- 効能効果の断定転載がない
- 口コミ依頼メールの配信が事前同意と配信停止に対応している
- プラットフォームの規約も確認した
法ルールを満たしたうえで、口コミの依頼から掲載までを1か所で回したい場合は、VANNAとは・料金プランやVANNAの評判・口コミ、サロン予約システム比較もご覧ください。
注記
- 本記事は、美容サロン向けサービスVANNAを運営する事業者による広告記事です。当社サービスの紹介を含みます。この明示自体が、本記事で解説するステマ規制への配慮を実演したものです。
- 景品表示法とステマ規制の所管は消費者庁、特定電子メール法は総務省、個人情報保護は個人情報保護委員会と分かれるため、弁護士1名で全範囲を担保できない場合があります。本記事中の雛形やチェックリストはそのまま公開せず、必ず公開前に弁護士等の監修を受けてください。
- 本記事中の数値や効果はあくまで目安であり、特定の成果を保証するものではありません。
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