試用期間で本採用しないと決めるとき|「簡単に辞めさせられる期間」ではない
公開: 2026年8月5日
Summary
本採用を見送る判断の手順を整理します。試用期間中も雇用契約が成立している点、理由にできることとできないこと、改善の機会を与える手順、期間を延ばす条件、事実と結論だけを伝える言い方、14日を超えた場合の解雇予告、契約書に書いておく3項目、判断を早める理由を扱います。
試用期間の3か月が終わります。技術は伸びていますが、遅刻が続いていて、注意しても変わりません。このまま本採用してよいのか、判断がつきませんでした。
試用期間は、様子を見る期間として置かれています。ただし「合わなければ簡単に辞めさせられる期間」ではありません。ここを誤解したまま運用すると、後で問題になります。
なお、育てる側の設計は新人スタッフの育成計画で扱っています。この記事は、本採用しないという判断に絞ります。

試用期間の性質
まず、制度としての位置づけを把握してください。ここが出発点になります。
試用期間中も、雇用契約は成立しています。「まだ正式には雇っていない」という状態ではないためです。
そのため、本採用しないことは解雇にあたります。通常の解雇より広く認められるとされていますが、自由にできるわけではありません。
つまり、理由が要ります。そして、その理由を説明できる必要があります。
判断に迷う場面が出たら、労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。ここは自己判断で進めない領域です。
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| まだ雇っていない期間 | 雇用契約は成立している |
| 理由なく終われる | 本採用しないことは解雇にあたる |
| 口頭で伝えれば済む | 理由を説明できる必要がある |
判断できる材料を作る
「なんとなく合わない」では、説明できません。材料を先に作ってください。
必要なのは、記録です。何をいつまでにできるようにと伝え、それがどうだったか。日付とともに残してください。
そして、注意した事実も残してください。いつ、何について、どう伝えたか。1度だけの注意で判断すると、根拠が薄くなるためです。
記録が無い状態で判断すると、後から説明できません。「印象が悪かった」は理由になりません。
なお、この記録は育成のためにも使えます。育てる側の記録がそのまま判断の材料になる、という形が理想です。
何を理由にできるか
すべてが理由になるわけではありません。ここを分けてください。
理由になりやすいのは、契約した内容を果たせない場合です。決められた時刻に来ない、指示に従わない、伝えた基準に達しない。
そして、繰り返し伝えても改善しない場合です。1度の失敗ではなく、改善の機会を与えたうえで変わらないこと。ここが判断を支える部分になります。
一方、理由にできないものもあります。妊娠、病気、思想や信条、労働組合への加入。これらを理由とした扱いは認められていません。
そして、「性格が合わない」も難しくなります。具体的に何が業務に支障をきたしたかを示せない限り、説明になりません。

改善の機会を与える
判断の前に、必要な手順があります。飛ばさないでください。
まず、問題を具体的に伝えてください。「もう少しがんばって」では、何を直せばよいか分かりません。「開始の10分前には来てください」といった形にします。
次に、期限を決めてください。いつまでに、どうなっていればよいか。曖昧なままだと、判断の時点で揉めることになります。
そして、伝えた内容を記録してください。口頭だけだと、伝えたかどうかが争いになります。
なお、面談の場を設けるほうが確実です。作業の合間に言っても、重さが伝わりません。
期間を延ばすという選択
判断を先送りする形も、条件つきで成り立ちます。
もう1か月見る、という判断はできます。ただし、契約書に延長できる旨が書かれている必要があります。
書かれていない場合は、本人の同意が要るため、一方的に延ばすことはできません。
そして、延ばすなら理由を伝えてください。「もう少し様子を見る」ではなく、「この項目が基準に達していないため」と具体的に示します。
なお、延ばしても変わらないことは多くあります。3か月で変わらなかったものが、1か月で変わる可能性は高くありません。
伝え方を決めておく
最も難しい場面です。決めておかないと、その場で言葉に詰まります。
伝えるのは、事実と結論です。「◯月◯日から◯回にわたってお伝えした点が、改善に至りませんでした。本採用は見送らせていただきます」。
長く説明しないでください。理由を並べるほど、反論の余地が生まれるためです。
そして、人格の話にしないでください。「あなたには向いていない」ではなく、「この基準に達していない」という形にします。
伝える場所と時間も選んでください。他のスタッフに聞こえる場所は避け、その後すぐ働かせないようにします。

手続きを守る
法令で定められた手順があります。ここは必ず確認してください。
働き始めて14日を超えている場合、解雇の予告が必要になります。30日前の予告か、予告手当の支払いです。
つまり、3か月の試用期間が終わる時点で伝えるのでは、遅い場合があります。逆算して、30日前に伝える必要があります。
そして、書面で伝えるほうが確実です。口頭だけだと、いつ伝えたかが争いになります。
なお、要件や例外は状況によって変わります。実際に行う前に、社会保険労務士や労働基準監督署に確認してください。
逆に、本人から辞めると言われた場合
試用期間中に、本人が辞める判断をすることもあります。ここも扱いを決めてください。
引き止めるかどうかは、状況によります。ただし、こちらの環境に原因がある場合は、それを聞いてください。
「何が合わなかったか」を聞ければ、次の採用に使えます。責める形にせず、教えていただく姿勢で聞いてください。
そして、辞める場合も手続きは同じです。書類を速やかに出し、離職の理由を事実に沿って記載してください。
なお、試用期間中に辞める方が続くなら、それはこちらの側の問題です。採用の説明か、入った後の受け入れかを見直してください。
本人にも先を用意する
こちらの都合だけで終わらせないでください。ここは実務でもあります。
離職の理由をどう記載するかで、その方が受けられる給付が変わる場合があります。事実に沿って、正確に記載してください。
そして、離職の手続きを速やかに行ってください。書類が遅れると、その方の次の手続きが止まります。
なお、紹介できる先があるなら伝えても構いません。ただし、義務ではありません。
引き継ぎの実務は、スタッフが辞めるときの引き継ぎで整理しています。
他のスタッフへの伝え方
店の空気が変わる場面です。扱いを決めておいてください。
理由を、他のスタッフに説明しないでください。個人の評価に関わる情報です。
伝えるのは、事実と体制の変更だけで足ります。「◯月◯日をもって退職されました。シフトは◯◯のようにします」。
そして、憶測が広がる前に伝えてください。何も言わないと、それぞれが理由を想像します。
なお、他のスタッフは「自分も同じ扱いを受けるのか」と考えます。基準が明確で、記録に基づいていたなら、そこは説明できます。
| 決めること | 内容 |
|---|---|
| 記録 | 伝えた内容・日付・その後どうだったか |
| 理由 | 契約した内容を果たせない/改善の機会を与えても変わらない |
| 理由にできない | 妊娠・病気・思想信条・組合加入 |
| 手順 | 具体的に伝える → 期限を決める → 記録する |
| 予告 | 14日超なら30日前の予告か予告手当 |
| 伝え方 | 事実と結論だけ。人格の話にしない |
VANNAでできること
VANNAでは、スタッフごとの予約と売上を確認できます。件数や指名の推移は、事実として記録に残ります。カレンダー予約はMaxプランの機能で、スタッフごとの受付時間も設定できます。
一方で、育成の記録や注意した内容を管理する機能はありません。この部分は、紙や別の方法で残すことになります。
料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。
判断を早める
期限ぎりぎりまで悩まないでください。早いほうが、双方のためになります。
1か月の時点で、方向は見えていることが多くあります。そこで手を打てば、改善の時間も残ります。
そして、早く判断すれば、相手も次を探せます。3か月使い切ってから伝えると、その分だけ相手の時間を奪うことになります。
判断を先延ばしにする理由は、たいてい伝えたくないという気持ちです。ただし、遅らせても伝える内容は変わりません。
なお、早い段階で伝えるのは「見送る」ではなく「このままだと難しい」です。この違いは大きく、まだ改善の余地を残せます。
そもそも起きにくくする
判断が要る状況を減らすほうが、双方にとって良い結果になります。
採用の段階で、確かめることを決めてください。何を見て採るかが曖昧だと、入ってから食い違います。面接の設計は、サロンの採用面接で整理しています。
そして、条件を先に明示してください。勤務時間、休日、給与、求める水準。入ってから知ることが多いほど、離れやすくなります。
見学や体験を挟む方法もあります。実際の空気を知ってから決めていただけば、食い違いは減ります。
なお、試用期間中に辞める方もいます。その場合は、こちらの伝え方や環境に原因が無かったかを見てください。
契約書に何を書いておくか
判断が要る場面に備えて、最初の書面で決めておいてください。
試用期間の長さを書いてください。書かれていないと、そもそも試用期間として扱えません。
そして、延長できる旨と、その条件も書いてください。ここが無いと、一方的には延ばせません。
さらに、本採用の基準も示せる形にしておいてください。何ができていれば本採用か。ここが曖昧だと、判断のときに根拠が無くなります。
なお、契約書の書式は、社会保険労務士に見てもらうほうが確実です。最初の1本を作っておけば、以後は使い回せます。
自分の側を確認する
判断の前に、1つ見てください。ここを飛ばさないでください。
教える時間を、実際に取っていましたか。忙しさを理由に放置していたなら、伸びないのは当然です。
そして、伝えた内容は具体的でしたか。「見て覚えて」で済ませていたなら、基準を示していないことになります。
さらに、他の人と比べていませんでしたか。以前いた方の速度を基準にすると、判断が歪みます。
これらを整えたうえで、それでも達しないなら判断してよい場面です。順番を守ってください。
今日やる一つ
いま試用期間中の方がいるなら、これまでに伝えた内容を1枚に書き出してください。日付とともに書けないなら、記録が足りていません。今日から残し始めてください。
よくある質問
試用期間なら簡単に辞めさせられますか
できません。試用期間中も雇用契約は成立しており、本採用しないことは解雇にあたります。通常より広く認められるとされていますが、理由が要り、それを説明できる必要があります。
何を理由にできますか
契約した内容を果たせない場合(決められた時刻に来ない、指示に従わない、伝えた基準に達しない)で、かつ改善の機会を与えても変わらない場合です。妊娠、病気、思想信条、組合加入は理由にできません。
「性格が合わない」は理由になりますか
難しくなります。具体的に何が業務に支障をきたしたかを示せない限り、説明になりません。記録が無い状態での「印象が悪かった」も理由になりません。
改善の機会はどう与えますか
問題を具体的に伝え(「開始の10分前には来てください」)、期限を決め、伝えた内容を記録してください。面談の場を設けるほうが確実です。作業の合間に言っても、重さが伝わりません。
期間は延ばせますか
契約書に延長できる旨が書かれていれば可能です。書かれていない場合は本人の同意が要り、一方的には延ばせません。延ばすなら、どの項目が基準に達していないかを具体的に伝えてください。
いつ伝えればよいですか
働き始めて14日を超えている場合、30日前の予告か予告手当が必要になります。3か月の試用期間が終わる時点で伝えるのでは遅い場合があるため、逆算してください。要件は状況で変わるため、事前に確認を。
どう伝えますか
事実と結論だけです。「◯月◯日から◯回にわたってお伝えした点が、改善に至りませんでした」。長く説明すると反論の余地が生まれます。「向いていない」ではなく「この基準に達していない」という形にしてください。
本人から辞めると言われたら
引き止めるかは状況によりますが、「何が合わなかったか」は聞いてください。次の採用に使えます。試用期間中に辞める方が続くなら、それはこちらの側の問題です。採用の説明か、入った後の受け入れを見直してください。
いつ判断しますか
1か月の時点で方向は見えていることが多く、そこで手を打てば改善の時間も残ります。早く判断すれば相手も次を探せます。先延ばしにする理由はたいてい伝えたくないという気持ちですが、遅らせても伝える内容は変わりません。
契約書には何を書いておきますか
試用期間の長さ、延長できる旨とその条件、本採用の基準。この3つです。長さが書かれていないとそもそも試用期間として扱えず、延長の条項が無いと一方的には延ばせません。最初の1本を社会保険労務士に見てもらえば、以後は使い回せます。
他のスタッフには何を言いますか
理由は説明しないでください。個人の評価に関わる情報です。事実と体制の変更だけを、憶測が広がる前に伝えてください。基準が明確で記録に基づいていたなら、その点は説明できます。



