サロンを移転するときの手順|失うものの見積もりと6か月の逆算
公開: 2026年7月28日最終更新: 2026年8月1日
Summary
移転は開業と同等の手続きが必要で、しかも営業しながら準備します。失うものの見積もり方、6か月前からの逆算、届出の一覧、告知の内容、休業を短くする工夫を整理します。
手狭になった、家賃を下げたい、立地を変えたい。移転を考える理由はさまざまですが、開業と同じだけの手続きが必要になります。
しかも開業と違い、営業を続けながら準備することになります。段取りを誤ると休業の期間が延び、お客様が離れるためです。

移転で失うものを先に見積もる
移転は、場所を変えるだけではありません。失うものが、あります。
一つは、通っていた方の一部が離れること。距離が延びる、乗り換えが増える、駐車場がなくなる。これらが理由で、来なくなる方が出ます。
二つ目は、通りがかりの来店がなくなること。新しい場所での認知は、ゼロから作り直しになるためです。
三つ目は、検索での位置づけが変わること。地図での表示、地域名での検索。住所が変われば、これらも変わります。
そして、休業の期間が生じること。引っ越しと設営に数日から数週間かかり、その間の売上はありません。
これらを見積もったうえで、移転する価値があるかを判断してください。家賃が下がっても、客数が減れば意味がないためです。
| 失うもの | 見積もり方 |
|---|---|
| 離れるお客様 | 現在の来店者の居住エリアを確認する |
| 通りがかりの来店 | 現在の新規のうち、飛び込みの割合を見る |
| 検索での位置づけ | 現在の来店経路のうち、地図経由の割合を見る |
| 休業期間の売上 | 想定の休業日数 × 1日の平均売上 |
何か月前から動くか
移転には、開業と同等の手続きが必要です。ですから、逆算してください。
6か月前は、方針の決定です。移転するかどうか、どのエリアにするか、予算はいくらか。現在の物件の解約予告期間も、確認します。
4か月前は、物件の選定と契約です。候補を見て、条件を確認し、契約します。保健所への事前相談もこの時期です。
3か月前は、内装の設計と発注です。構造設備の基準を満たす設計になっているかを、工事の前に確認します。
2か月前は、届出の準備とお客様への告知です。
1か月前は、設備の移設と搬入の手配、新しい住所での各種の登録変更です。
移転の直前は、旧店舗の原状回復と、新店舗の最終確認です。

現在の物件の解約予告が6か月前なら、実質的にはその時点で決断していることになります。
手続きの一覧
移転に伴って必要な手続きを、挙げます。期限があるものから、確認してください。
美容所を廃止して新たに開設する形になる場合、旧店舗の廃止届と新店舗の開設届が必要になります。ただし自治体によって扱いが異なるため、所轄の保健所に確認してください。
税務署への届出も、必要です。納税地や事業所の所在地が変わる場合、所定の手続きがあるためです。
社会保険と労働保険についても、事業所の所在地の変更手続きが必要になることがあります。
消防への届出が、必要な場合もあります。これは建物の用途や規模に、よります。
賃貸借契約の解約と、新しい契約の締結。原状回復の範囲も、確認します。
そして、各種の登録の変更です。銀行口座、決済サービス、保険、リース、仕入先、電気とガスと水道、通信。
| 手続き | 提出先 |
|---|---|
| 美容所の廃止届と開設届 | 保健所 |
| 事業所の所在地の変更 | 税務署 |
| 社会保険・労働保険の変更 | 年金事務所・労働基準監督署 |
| 防火対象物の届出 | 消防署 |
| 賃貸借契約の解約と締結 | 貸主 |
なお期限と様式は、自治体や制度によって異なります。ですからそれぞれの窓口で、確認してください。
お客様への告知
移転の告知は、早すぎても遅すぎても問題があります。
早すぎると、まだ確定していない情報を伝えることになります。ですから物件の契約が済み、移転日が確定してから告知してください。
逆に遅すぎると、知らないまま旧店舗へ行く方が出ます。来店周期を考慮して、次回の来店までに知っていただける時期に告知してください。
伝える内容は、5つです。
一つは、いつ移転するか。最終営業日と、新店舗での営業開始日を明示します。
二つ目は、どこへ移転するか。住所と、最寄りの駅やバス停からの経路です。
三つ目は、なぜ移転するか。これは一言で、足ります。詳しく説明する必要は、ありません。
四つ目は、何が変わるか。営業時間、メニュー、料金。変わるものがあれば、明示します。
そして、何が変わらないか。担当者、施術の内容。変わらないことを伝えることで、安心されます。
休業の期間がある場合は、その期間も明示してください。予約が取れない期間が分かることで、前倒しで来ていただけます。
物件を選ぶときの基準が変わる
開業時と移転時では、物件を選ぶ基準が違います。
まず、いまのお客様がどこから来ているかを基準にしてください。開業時は想定でしたが、いまは実績があるためです。来店者の分布が分かるなら、その重心に近い場所を選びます。
現在の店からの距離も、基準になります。近ければ、通っていた方が続けやすくなるためです。ただし近すぎると商圏が重なり、移転の意味が薄れる場合もあります。
いまの店で困っていることを解消できるかも、見てください。手狭、駐車場がない、階段しかない。移転の理由になった問題が新しい場所で解消されるかを、確認します。
将来の変化も、考えてください。スタッフを増やす予定があるなら、その人数で回れる広さが要るためです。
なお家賃だけで、決めないでください。安い物件には、理由があるためです。人通り、視認性、設備の状態。総額で、比較してください。
| 見る点 | 確認方法 |
|---|---|
| 来店者の分布 | 顧客の記録から居住エリアを集計する |
| 現店舗からの距離 | 通っていた方が続けられるか |
| いまの問題の解消 | 移転の理由が解決するか |
| 将来の余地 | 増員や設備の追加に対応できるか |
移転後の集客
新しい場所では、認知をゼロから作る部分があります。
まず、地図での情報を更新してください。住所、電話番号、営業時間、写真。古い情報が残っていると、旧店舗に人が向かうためです。
ホームページと予約ページの住所も、更新します。地図の埋め込みも、忘れずに。
SNSのプロフィールも、更新してください。過去の投稿に旧住所が残っていても、プロフィールが新しければ大きな問題にはなりません。
ポータルサイトに掲載している場合は、そちらも更新します。
近隣への挨拶も、してください。新しい場所での、関係づくりになります。
旧店舗に案内を出せるかも、確認してください。貸主の許可が要りますが、掲示できれば知らずに来た方を誘導できます。
離れそうな方への働きかけ
移転で離れる可能性がある方には、事前に手を打てます。
まず、新しい場所からの距離を確認してください。来店の記録から、どのエリアの方が遠くなるかが分かります。
遠くなる方には、早めに個別に伝えてください。一斉の告知より、直接伝えるほうが受け止めが違うためです。
移転後の初回に来ていただく理由も、用意します。新しい場所を見ていただく、機会になります。
来られなくなる方には、その旨を伝えていただける関係を作ってください。無理に引き止めるより、感謝を伝えるほうが後味が良くなります。

設備を持っていくか、買い替えるか
移設には、費用がかかります。ですから買い替えたほうが安い場合も、あります。
まず、移設の費用を見積もってください。取り外し、運搬、設置、調整。専門の業者が必要な設備も、あります。
設備の残りの寿命も、確認します。あと数年で更新するものなら、この機会に買い替える判断もあります。
新しい場所に合うかも、確認してください。広さ、電気の容量、給排水の位置。いまの設備がそのまま置けるとは、限らないためです。
搬出と搬入の経路も、確認します。エレベーターに入らない、階段を通らない。大きな設備では、実際に起きるためです。
処分する場合の費用も、見てください。事業で使っていた設備は、産業廃棄物として扱われることがあります。
移設と買い替えの費用を並べて、寿命と手間を含めて判断してください。安く見える移設が、調整の費用で高くつくこともあるためです。
予約と顧客情報の引き継ぎ
移転しても、予約と顧客の記録は続きます。
VANNAでは、契約を継続したまま住所や店舗の情報を変更できます。顧客の記録と予約の履歴はそのまま残るため、移行の作業は生じません。ホームページと予約ページの住所も、管理画面から変更すると両方に反映されます。カレンダー予約はMaxプランの機能で、来店前のメールリマインドは全プランで使えます。
移転の告知を、登録されているお客様へ一斉に送る機能はありません。自動配信は誕生日と休眠の2つが標準です。告知は別の方法で行うことになります。この点は把握しておいてください。
料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。決済を使う場合のStripe決済手数料は店舗負担で別途かかります。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。
休業の期間を短くする
売上のない期間は短いほうがよいものの、無理をすると別の問題が起きます。
まず、内装の工事が終わってから搬入してください。並行して進めると養生が不十分になり、傷が付くためです。
設備の動作確認も、営業前に済ませます。初日に動かないと、予約を受けているお客様に迷惑がかかるためです。
初日から、満席にしないでください。慣れない場所では、想定より時間がかかるためです。数日は、余裕を持った枠にします。
旧店舗の原状回復と新店舗の準備を、同時に進めないでください。どちらも、中途半端になるためです。
休業の期間が読めない場合は、予約の受付開始日を後ろにずらしてください。準備ができてから受けるほうが、直前の変更より負担が少なくなるためです。
移転しない選択肢も検討する
移転を考える理由によっては、他の手立てもあります。
手狭が理由なら、レイアウトの変更で解決する場合があります。動線を見直す、収納を増やす、使っていない設備を処分する。工事なしで、広さが変わることもあります。
家賃が理由なら、貸主との交渉の余地があります。周辺の相場が下がっているなら、減額を相談できるためです。契約の更新の時期が、交渉の機会になります。
立地が理由なら、集客の方法で補える場合もあります。人通りが少ないなら、事前の予約で来ていただく形に寄せる。そうすることで、通りがかりに頼らない構造にできます。
設備が理由なら、設備だけを更新する選択があります。移転より、安く済むこともあります。
近隣との関係が理由なら、解決を試みてから判断してください。移転しても、新しい場所で同じ問題が起きる可能性があるためです。
移転は、費用も手間も大きい選択です。ですから他の手立てを検討したうえで、それでも必要なら進めてください。
よくある質問
移転で客数はどれくらい減りますか
一律の目安はありません。距離、交通の便、客層によって変わります。現在の来店者がどのエリアから来ているかを確認し、新しい場所からの距離で見積もってください。
美容所の登録は引き継げますか
自治体によって扱いが異なります。旧店舗の廃止届と新店舗の開設届が必要になる場合が一般的です。構造設備の基準を満たしているかの確認も改めて必要になります。所轄の保健所に確認してください。
告知はいつすればよいですか
物件の契約が済み、移転日が確定してからです。来店周期を考慮し、次回の来店までに知っていただける時期に告知してください。周期が2か月なら、2か月以上前が目安です。
旧店舗に案内を貼れますか
貸主の許可が必要です。原状回復の条件にも関わるため、契約の段階で確認してください。許可が得られれば、知らずに来た方を誘導できます。
休業の期間はどれくらい見込みますか
引っ越しと設営の日数に加え、動作確認と最終の準備の時間を見てください。想定より延びることが多いため、余裕を持って告知するほうが安全です。
移転と同時にメニューや料金を変えてよいですか
同時に変えると、何が変わったのかが伝わりにくくなります。移転を先に済ませ、落ち着いてから見直すほうが説明しやすくなります。
設備は持っていくべきですか、買い替えるべきですか
移設の費用と、買い替えの費用を並べて判断してください。設備の残りの寿命、新しい場所に合うか、搬出と搬入の経路も確認します。安く見える移設が、調整の費用で高くつくこともあります。
物件を選ぶ基準は開業時と同じですか
違います。開業時は想定でしたが、いまは実績があります。来店者がどこから来ているかを集計し、その分布を基準にしてください。現在の店からの距離と、いまの店で困っていることが解消されるかも見てください。
移転せずに解決できる場合はありますか
あります。手狭ならレイアウトの変更、家賃なら貸主との交渉、立地なら集客方法の変更、設備なら更新だけ。移転は費用も手間も大きい選択です。他の手立てを検討してから判断してください。
出典
本記事は2026年7月時点の一般的な情報の整理であり、個別の法的助言や税務上の助言ではありません。届出の要否と期限、賃貸借契約の解約条件については、所轄の窓口および専門家にご確認ください。VANNAの料金・機能・キャンペーン条件は変更される場合があります。



