スタッフの副業・掛け持ちを認めるか|禁止ではなく、条件を設計する
最終更新: 2026年7月29日
Summary
サロンのスタッフの副業への向き合い方を整理します。一律の禁止が難しい理由、制限できる四つの場面、同業と距離で範囲を絞る方法、顧客情報の持ち出しと誘導の禁止、労働時間の通算、申告の様式、支障が出た場合の手順、業務委託との違いを扱います。
「週末だけ、面貸しで働きたい」と相談されました。断ってよいのか、認めるならどんな条件を付けるのか。決めていないと、その場で答えられません。
副業を一律に禁じることは、難しくなっています。認めるかどうかではなく、条件をどう設計するかの話です。

一律の禁止は難しい
前提を確認してください。
働く時間の外は、本人の時間です。
その時間の使い方を、全面的に制限することは、原則としてできません。
制限できるのは、本業に支障が出る場合など、合理的な理由がある場合です。
「禁止」と書いてあるだけでは、根拠になりません。
考え方は、厚生労働省 副業・兼業で公開されています。
制限できる場合
四つが挙げられています。
本業に支障が出る場合。
企業の秘密が漏れる場合。
会社の名誉や信用を損なう場合。
競業により、利益が害される場合。
これらに該当する場合、制限が認められる可能性があります。
| 場面 | 判断 |
|---|---|
| 本業に支障が出る | 制限できる可能性がある |
| 秘密が漏れる | 制限できる可能性がある |
| 信用を損なう | 制限できる可能性がある |
| 同業で顧客が移る | 制限できる可能性がある |
| 無関係な業種で短時間 | 制限しにくい |

サロンで問題になるのは競業
最も現実的な論点です。
同じ業種で、近くの店で働く場合。
顧客が移る可能性があります。
技術や施術の内容が、外に出る可能性もあります。
この点は、制限の理由になり得ます。
ただし、無制限に禁じられるわけではありません。
距離と業種で条件を作る
具体的にしてください。
「同業で、店から〇キロ以内は認めない」
「同じ施術を扱う店では認めない」
このように、範囲を絞ってください。
「同業は一切禁止」より、認められやすくなります。
範囲は、実際の商圏に基づいて決めてください。
顧客の情報を持ち出さない
これは明確に禁じてください。
顧客の連絡先、施術の記録、来店の履歴。
これらを持ち出すことは、副業の可否と関係なく禁じられます。
雇用の契約に、明記してください。
退職後の扱いも、あわせて決めてください。
扱いは、サロンの顧客情報を安全に管理する完全ガイドで整理しています。
顧客を誘わない
線を引いてください。
自店の顧客を、副業先へ誘導する行為。
これは、認められません。
明確に禁じて、書面に含めてください。
来店された方から聞かれた場合の対応も、決めてください。
労働時間が通算される
見落とされやすい点です。
複数の事業所で雇用されている場合、労働時間が通算されます。
合計が法定の時間を超えると、割増の賃金が発生します。
どちらが負担するかは、契約の順序などで決まります。
計算が複雑になるため、社会保険労務士に確認してください。
申告を求める
把握が必要です。
副業を始める場合、事前に申告してもらう形にしてください。
働く場所、業種、時間帯、頻度。
これらを聞いてください。
申告がないと、労働時間の通算ができません。
申告を義務づけること自体は、認められる範囲です。
申告の様式を作る
口頭では管理できません。
紙1枚で足ります。
副業先の名称と業種。
働く曜日と時間帯。
月あたりの見込みの時間。
開始の予定日。
これを提出してもらってください。
変更があったら再度申告
一度で終わりにしないでください。
時間が増えた、場所が変わった、業種が変わった。
これらがあれば、再度申告してもらってください。
年に一度、内容を確認する形も有効です。
健康への影響を見る
最も現実的な懸念です。
副業で働く時間が長いと、本業の質が落ちます。
施術は、体力と集中を使う仕事です。
疲れた状態での施術は、事故につながります。
本人の様子を、定期的に確認してください。

本業に支障が出た場合
対応の順番があります。
まず、事実を確認してください。
遅刻が増えた、施術の質が落ちた、休みが増えた。
具体的な事実を示して、話してください。
「副業のせいだ」と決めつけないでください。
改善しない場合、副業の制限を検討する段階になります。
制限する場合の手順
一方的に決めないでください。
支障が出ている事実を、示してください。
改善の期間を、与えてください。
それでも改善しない場合、制限の内容を伝えてください。
書面で残してください。
判断の前に、社会保険労務士に相談してください。
社会保険の扱い
条件によって変わります。
複数の事業所で働く場合、社会保険の扱いが変わる場合があります。
一定の条件を満たすと、両方で加入が必要になる場合があります。
手続きが発生するため、確認してください。
雇用の保険についても、条件があります。
税務の説明をする
本人が困る部分です。
副業の収入がある場合、確定申告が必要になる場合があります。
年末調整だけでは済まない場合があります。
その旨を、伝えてください。
詳しい説明は不要です。「申告が必要になる場合があります」で足ります。
認めることの利点
制限だけを考えないでください。
収入が増えれば、生活が安定します。
別の場所での経験が、技術の幅を広げる場合があります。
認めることで、辞めずに続ける選択肢になる場合があります。
無関係な業種の副業は、制限する理由が乏しいものです。
業務委託で働く人の場合
扱いが違います。
面貸しや業務委託の相手は、雇用ではありません。
働く場所を、制限することは原則としてできません。
契約の内容で、顧客の扱いや秘密の保持を定めてください。
契約の形と実態がずれていると、別の問題になります。
判断は、サロンで初めてスタッフを雇うときの労働保険・社会保険手続きで整理しています。
方針を書面にする
口頭では機能しません。
認める範囲。
申告の方法。
禁じること。顧客の持ち出しと誘導。
支障が出た場合の対応。
これらを1枚にまとめて、全員に配ってください。
就業に関する規則に定める
根拠が必要です。
制限や手続きを求める場合、規則に定めが必要です。
一定の人数を雇っている場合、作成と届出が求められます。
人数が少ない場合も、作っておくと判断の根拠になります。
労働時間の管理は、サロンの労働時間と休暇の管理で整理しています。
他のスタッフへの説明
不公平感が出ます。
一人だけ認めると、他の人が不満を持つ場合があります。
基準を明示して、同じ条件で判断していることを示してください。
個別の事情は、本人の情報です。共有しないでください。
「申告があれば、同じ基準で判断します」と伝えてください。
自店で働く時間を減らす場合
条件の変更になります。
副業のために、シフトを減らしたいという申し出がある場合があります。
労働の条件の変更にあたるため、双方の合意が必要です。
一方的に減らすことも、増やすこともできません。
合意した内容を、書面に残してください。
独立の準備である場合
多くはこの形です。
将来独立するために、面貸しで経験を積む方がいます。
その意思を、否定しないでください。
いずれ辞めることを前提に、引き継ぎの準備を進めてください。
関係が悪くならなければ、辞めた後も紹介が続く場合があります。
採用のときに伝える
後から変えると、揉めます。
採用の段階で、方針を伝えてください。
求人に書いておく方法もあります。
副業を希望する方が、応募の判断をできます。
入ってから伝えると、条件が違うという話になります。
VANNAでできること
VANNAでは、顧客の情報と予約の記録が事業者の管理下に蓄積され、管理画面の利用者ごとに見られる範囲を分けられます。持ち出しの経路を絞る土台として使えます。カレンダー予約はMaxプランの機能で、来店前のメールリマインドは全プランで使えます。
副業の申告を管理したり、労働時間を通算したり、就業規則を作成したりする機能はありません。方針の設計と労務の管理は、別に行うことになります。この点は把握しておいてください。
料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。
相談されたときの三つ
その場で答えられる形にしてください。
申告してもらう内容を伝える。
顧客の持ち出しと誘導は認めないことを伝える。
本業に支障が出た場合の対応を伝える。
この三つを、紙にして渡してください。
よくある質問
副業を禁止できますか
一律の禁止は難しくなっています。働く時間の外は本人の時間です。制限できるのは、合理的な理由がある場合です。
制限できるのはどんな場合ですか
本業に支障が出る、秘密が漏れる、信用を損なう、競業により利益が害される。これらに該当する場合です。
サロンで問題になるのは
同じ業種で近くの店で働く場合です。顧客が移る可能性があり、施術の内容が外に出る可能性もあります。
どう条件を作りますか
「同業で、店から〇キロ以内は認めない」のように範囲を絞ってください。「同業は一切禁止」より認められやすくなります。
顧客の情報は
持ち出しは、副業の可否と関係なく禁じられます。雇用の契約に明記し、退職後の扱いもあわせて決めてください。
顧客を誘ってもよいですか
認められません。明確に禁じて、書面に含めてください。来店された方から聞かれた場合の対応も決めてください。
労働時間はどうなりますか
複数の事業所で雇用されている場合、通算されます。合計が法定の時間を超えると、割増の賃金が発生します。計算が複雑なため、確認してください。
申告を求めてよいですか
認められる範囲です。働く場所、業種、時間帯、頻度を聞いてください。申告がないと、労働時間の通算ができません。
申告の形式は
紙1枚で足ります。副業先の名称と業種、働く曜日と時間帯、月あたりの見込みの時間、開始の予定日。
一度申告すれば済みますか
時間が増えた、場所が変わった、業種が変わった。これらがあれば再度申告してもらってください。年に一度の確認も有効です。
健康への影響は
施術は体力と集中を使う仕事です。疲れた状態での施術は、事故につながります。本人の様子を定期的に確認してください。
支障が出たらどうしますか
まず事実を確認してください。遅刻が増えた、質が落ちた。具体的な事実を示して話し、「副業のせいだ」と決めつけないでください。
制限する場合の手順は
支障が出ている事実を示し、改善の期間を与え、それでも改善しない場合に制限を伝えてください。書面で残し、専門家に相談してください。
社会保険はどうなりますか
一定の条件を満たすと、両方で加入が必要になる場合があります。手続きが発生するため、確認してください。
税務の説明は必要ですか
「申告が必要になる場合があります」と伝えれば足ります。詳しい説明は不要です。
認める利点はありますか
収入が増えれば生活が安定し、別の経験が技術の幅を広げる場合があります。辞めずに続ける選択肢になる場合もあります。
業務委託の相手は
雇用ではないため、働く場所を制限することは原則としてできません。契約の内容で、顧客の扱いや秘密の保持を定めてください。
方針はどう作りますか
認める範囲、申告の方法、禁じること、支障が出た場合の対応。1枚にまとめて全員に配ってください。
規則に定めが要りますか
制限や手続きを求める場合、根拠が必要です。人数が少なくても、作っておくと判断の根拠になります。
他のスタッフに説明しますか
基準を明示して、同じ条件で判断していることを示してください。個別の事情は本人の情報です。共有しないでください。
シフトを減らしたいと言われたら
労働の条件の変更にあたるため、双方の合意が必要です。一方的に減らすことも増やすこともできません。合意した内容を書面に残してください。
独立の準備の場合は
意思を否定しないでください。いずれ辞めることを前提に、引き継ぎの準備を進めてください。関係が悪くならなければ、辞めた後も紹介が続く場合があります。
いつ伝えますか
採用の段階です。求人に書いておく方法もあります。入ってから伝えると、条件が違うという話になります。
相談されたら何を伝えますか
申告してもらう内容、顧客の持ち出しと誘導は認めないこと、本業に支障が出た場合の対応。この三つを紙にして渡してください。
出典
本記事は2026年7月時点の一般的な情報の整理です。副業の制限の可否、労働時間の通算、社会保険の扱いは、個別の事情と契約の内容によって変わります。社会保険労務士などの専門家にご確認ください。VANNAの料金・機能・キャンペーン条件は変更される場合があります。



