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税務・開業手続き

税務調査の連絡が来たら|当日までにやるのは、書類を揃えることだけ

公開: 2026年8月27日

Summary

個人サロンに税務調査の連絡が来たときの動き方を整理します。電話口で日程を即答しないこと、揃える書類、聞かれやすい項目(現金売上・家事按分・家族への支払い)、分からないときの答え方、指摘されたときの受け止め方、終わった後の直し方までを扱います。

税務署から電話がかかってきました。「一度、帳簿を確認させていただきたいのですが」。その場で日程を聞かれ、頭が真っ白になりました。何か悪いことをしたのだろうか、と考えてしまいました。

税務調査は、不正を疑われたから来るとは限りません。連絡が来ること自体は、事業をしていれば起こりうることです。

そして、その日までにやることは決まっています。慌てて何かを作り替えることではありません。

電話が来た日の対応を左右に分けた図。やることは、確認して折り返すと伝える、何年分か聞く、当日の人数と所要時間を聞く、税理士がいれば連絡する。やってはいけないことは、帳簿を書き換える、領収書を作り直す、心当たりを探して先回りする、当日に予約を入れる。
電話が来た日の対応を左右に分けた図。やることは、確認して折り返すと伝える、何年分か聞く、当日の人数と所要時間を聞く、税理士がいれば連絡する。やってはいけないことは、帳簿を書き換える、領収書を作り直す、心当たりを探して先回りする、当日に予約を入れる。

電話が来たら、その場で決めない

まず、日程です。

その場で即答しなくて構いません。「予約が入っているので、確認して折り返します」で足ります。

日程は相談できることが一般的です。営業に支障が出る日を避けたいことを伝えてください。

そして、聞いておくことがあります。何年分を見るのか、当日は何人来るのか、どのくらいの時間がかかるのか。この3つは、その場で聞けます。

なお、税理士に依頼している場合は、まずそちらへ連絡してください。以後のやり取りを代わってもらえる場合があります。

何を疑われているかを、想像しない

不安になると、心当たりを探し始めます。ここで動かないでください。

過去の帳簿を書き換えることは、絶対にしないでください。修正が必要な点は、調査の中で整理されます。

領収書を「見つからないから」と作り直すことも、してはいけません。

そして、当日までに準備するのは、書類を揃えることだけです。内容を変えることではありません。

用意する書類

言われた年分について、まとめておいてください。

用意するのは、帳簿(会計ソフトの出力で構いません)、通帳、領収書とレシート、請求書と納品書、そして売上の記録です。

あわせて、契約に関する書類も出しておいてください。賃貸借契約、リース、借入の書類。これらは質問の中で出てきます。

そして、現金で受け取っている売上がある場合は、その記録の付け方を説明できるようにしてください。日々の売上をどう記録し、どこに入れているか。

書類が年ごとに分かれていない場合は、この機会に分けてください。探す時間が減ります。

揃える書類と、見られるつながりを並べた表の図。帳簿は通帳の入出金と合っているか、通帳とカードの明細は私用と分かれているか、領収書は帳簿の科目と対応しているか、売上と予約の記録は予約が入った日に売上があるか、契約の書類は経費の額と合うか。
揃える書類と、見られるつながりを並べた表の図。帳簿は通帳の入出金と合っているか、通帳とカードの明細は私用と分かれているか、領収書は帳簿の科目と対応しているか、売上と予約の記録は予約が入った日に売上があるか、契約の書類は経費の額と合うか。

当日の場所と時間

自宅を兼ねている場合は、先に考えておいてください。

施術のスペースで行うのか、別の場所を使うのか。営業日と重ならないほうが落ち着きます。

生活の場と分かれていない場合は、その旨を伝えてください。見られる範囲について、事前に確認できます。

そして、その日は予約を入れないでください。途中で施術に入る形は、双方にとってよくありません。

聞かれやすいこと

個人のサロンで話題になりやすい項目があります。

現金の売上をどう記録しているか。予約の台帳と売上の記録が合っているか。

家事按分の割合を、どういう根拠で決めているか。自宅を兼ねている場合は、必ず出てきます。

家族に支払っているものがある場合、その内容。実際に働いているかどうかを含めて聞かれます。

自分や家族が使った分(自家消費)をどう扱っているか。店販の商品を自分で使った場合などです。

そして、生活費との区別です。事業用と私用の口座が分かれていれば、説明が早く済みます。分け方は事業用と私用を分けるで扱っています。

答え方を決めておく

その場で分からないことは、必ず出てきます。

分からないときは「確認して、後日お答えします」と言ってください。推測で答えないでください。

そして、事実と記憶を分けて話してください。「たしか」で始まる話は、後から食い違います。

聞かれていないことを、こちらから説明しないでください。不安から話しすぎると、話が広がります。

なお、態度で心証が変わることを恐れないでください。丁寧に、事実だけを述べれば足ります。

人に払っているものがある場合

雇用や外注がある店では、ここが話題になります。

まず、支払いの形を整理してください。給与として払っているのか、業務委託として払っているのか。書類の上でどちらになっているかを確認します。

そのうえで、実際の働き方がその形と合っているかを見てください。時間や場所を指定しているのに業務委託として扱っている場合、実態と書類が食い違っていると見られることがあります。

判断の分かれ目は個別の事情によるため、こちらで決めきらないでください。考え方の整理はスタッフを雇うときの労働保険と業務委託で扱っています。

そして、支払いの記録を残してください。誰に、いつ、いくら、何に対して。この4つがあれば説明できます。

予約や会計のデータも見られる

紙の帳簿だけではありません。

予約の記録と、売上の記録がつながっているかを確認してください。予約が入っているのに売上が無い日があると、理由を聞かれます。

キャンセルや無断キャンセルの扱いも、記録に残しておいてください。「入っていたが来なかった」ことが分かる形にします。

そして、データを出せる形にしておいてください。画面を見せるだけでなく、印刷か書き出しができると早く進みます。

なお、予約の記録には顧客の情報が含まれます。何をどこまで見せるかは、その場で確認しながら進めてください。

1日で終わらないこともある

見通しを持っておくと、落ち着きます。

当日で終わらず、後日、追加の資料を求められることがあります。求められたものは、期限を確認して出してください。

やり取りが続く間も、営業は通常どおり行ってください。止める必要はありません。

そして、途中のやり取りも記録してください。いつ、何を求められ、いつ出したか。後から経緯を追えます。

記録がないと、説明できない

調査で効いてくるのは、日頃の記録です。

予約の記録、売上の記録、経費の記録。この3つがつながっていれば、大半の質問に答えられます。

つながっていない場合、口頭で説明することになります。説明できないものは、認められない場合があります。

記帳の習慣はサロンの経費管理を月末30分で回すで扱っています。調査のためではなく、日常のために作るものです。

指摘を受けたとき

その場で全部に同意しなくて構いません。

納得できる指摘は、受け入れてください。間違いは誰にでもあります。

納得できない場合は、その理由を述べてください。感情ではなく、根拠を出す形にします。

そして、判断に迷う場合は、その場で結論を出さないでください。専門家に相談してから答える、と伝えられます。

なお、意図的でない誤りと、そうでないものでは扱いが違うとされています。詳細は制度によるため、税務署か専門家に確認してください。

当日と事後の対応を3つに分けた図。分からないときは「確認して、後日お答えします」と答える。指摘されたときは納得できるものを受け、できないものは根拠を述べる。終わった後は来年から起きない形に直し、直した内容を書き留める。
当日と事後の対応を3つに分けた図。分からないときは「確認して、後日お答えします」と答える。指摘されたときは納得できるものを受け、できないものは根拠を述べる。終わった後は来年から起きない形に直し、直した内容を書き留める。

終わった後にやること

調査が終わったら、そこで終わりにしないでください。

指摘された点を、来年から起きない形に直してください。記録の付け方、保管の仕方、按分の根拠。

そして、直した内容を書き留めてください。次に同じ質問が来たときに、そのまま答えられます。

なお、修正が必要になった場合の手続きは、期限や方法が決まっています。税務署の案内に従ってください。

税理士がいない場合

一人で受けることもできます。

ただし、立ち会いを頼めるかどうかを、この機会に検討してください。調査だけを依頼できる場合があります。

依頼する場合は、早いほうがよくなります。日程が決まってからでは、資料を見る時間が足りません。

そして、依頼しないと決めた場合も、事前に一度相談してください。何を聞かれやすいかを知っているだけで、当日が変わります。

開業したばかりの場合

売上が小さいから来ない、とは限りません。

赤字であっても、申告の内容について確認が入ることはあります。1年目の申告で迷った点があるなら、記録を残しておいてください。

考え方は開業したばかりで売上が少ない場合の確定申告で扱っています。

経費の線引きで迷っているなら

調査を待たずに、確認しておいてください。

判断に迷う支出は、なぜ事業に必要かを1行で書いておく方法があります。書けないものは、説明できません。

何が経費になるかの整理は確定申告で経費にできるもの一覧で扱っています。

そして、迷ったまま毎年同じ処理を続けないでください。毎年続けたぶんだけ、指摘の対象が増えます。

消費税の申告をしている場合

見られる範囲が増えます。

計算の方法をどう選んでいるか、その根拠を説明できるようにしておいてください。

インボイスの登録がある場合、受け取った請求書の保存も対象になります。保存の方法が要件を満たしているかを、先に確認しておいてください。

不安が大きいときに

最後に、心構えの話をします。

調査は、事業をしていれば起こりうることです。来たこと自体を、後ろめたく感じる必要はありません。

一人で抱えると、実際より重く感じます。専門家でも、家族でも、話せる相手を作ってください。

そして、当日までにできることは限られています。書類を揃え、記録を整え、分からないことは調べる。それで十分です。

場面やることやってはいけないこと
電話が来たとき折り返すと伝える。年分・人数・所要時間を聞くその場で日程を確定させる
当日まで書類を年ごとに揃える。税理士がいれば連絡帳簿を書き換える。領収書を作り直す
当日事実だけを述べる。予約は入れない推測で答える。聞かれていないことを話す
指摘されたら納得できるものは受け入れるその場で全部に同意する/感情で反論する
終わった後来年から起きない形に直すそのままにする

今日やる一つ

去年の帳簿、通帳、領収書が、それぞれどこにあるかを紙に書いてください。3つとも即座に出せないなら、まずそこが準備です。調査の連絡が来てから探すことになります。

よくある質問

電話が来たら、その場で日程を決めますか

即答しなくて構いません。「確認して折り返します」で足ります。あわせて、何年分を見るのか、当日は何人来るのか、どのくらいかかるのかを聞いておいてください。

疑われているということですか

不正を疑われたから来るとは限りません。事業をしていれば起こりうることです。心当たりを探して過去の帳簿を書き換えることは、絶対にしないでください。

何を用意しますか

言われた年分の帳簿、通帳、領収書とレシート、請求書と納品書、売上の記録です。あわせて賃貸借契約やリース、借入の書類も出しておいてください。年ごとに分かれていないなら、この機会に分けてください。

自宅を兼ねている場合は

場所を先に考えてください。施術のスペースで行うのか、別の場所を使うのか。生活の場と分かれていない場合は、その旨を伝えて見られる範囲を事前に確認できます。その日は予約を入れないでください。

何を聞かれやすいですか

現金売上の記録のしかた、予約の台帳と売上の突き合わせ、家事按分の根拠、家族への支払い、自家消費の扱い、生活費との区別です。事業用と私用の口座が分かれていれば、説明が早く済みます。

分からないことを聞かれたら

「確認して、後日お答えします」と言ってください。推測で答えないでください。事実と記憶を分け、「たしか」で始まる話は避けてください。

聞かれていないことも説明すべきですか

こちらから広げないでください。不安から話しすぎると、話が広がります。丁寧に、聞かれたことだけを述べれば足ります。

指摘されたら、その場で同意しますか

納得できるものは受け入れてください。納得できない場合は、感情ではなく根拠を述べます。迷う場合は「専門家に相談してから答えます」と伝えて構いません。

税理士がいませんが、大丈夫ですか

一人で受けることもできます。ただし、調査だけを依頼できる場合があります。頼むなら早いほうがよく、日程が決まってからでは資料を見る時間が足りません。依頼しない場合も、事前に一度相談しておくと当日が変わります。

開業したばかりでも来ますか

売上が小さいから来ない、とは限りません。赤字であっても、申告の内容について確認が入ることはあります。1年目の申告で迷った点は、記録を残しておいてください。

スタッフや外注に払っている場合は

支払いの形(給与か業務委託か)と、実際の働き方が合っているかを見られます。時間や場所を指定しているのに業務委託として扱っていると、実態と食い違うと見られることがあります。誰に、いつ、いくら、何に対して払ったかの記録を残してください。

予約システムのデータも見せますか

予約の記録と売上の記録がつながっているかを確認されることがあります。印刷か書き出しができる形にしておくと早く進みます。予約の記録には顧客の情報が含まれるため、どこまで見せるかはその場で確認しながら進めてください。

1日で終わりますか

終わらず、後日に追加の資料を求められることがあります。期限を確認して出してください。やり取りが続く間も営業は通常どおりで構いません。いつ何を求められ、いつ出したかを記録しておいてください。

終わった後は何をしますか

指摘された点を、来年から起きない形に直してください。記録の付け方、保管の仕方、按分の根拠。直した内容を書き留めておくと、次に同じ質問が来たときにそのまま答えられます。

修正が必要になったら

手続きの期限や方法は決まっています。税務署の案内に従ってください。意図的でない誤りとそうでないものでは扱いが違うとされていますが、詳細は制度によるため、税務署か専門家に確認してください。