シェービングをメニューにする|独占業務を、時間と料金に落とす
公開: 2026年8月6日
Summary
理容師にしかできない施術を、メニューとして成立させる設計をまとめます。範囲と付帯と売り方を先に決める手順、準備・施術・片づけを分けた実測、カットの時間あたりを下限とする料金、断る基準と問診の4項目、傷をつけた場合の動き、刃とタオルの原価、設備、頻度の考え方を扱います。
シェービングを看板にしたいのですが、1件にどれだけ時間をかけ、いくらにすればよいのかが決まりません。技術は学んできたのに、メニューとして組む段になって止まりました。
理容師にしかできない施術です。だからこそ差になりますが、時間も道具も消毒も、カットとは別の設計が要ります。
なお、理容師免許と美容師免許の違いそのものはバーバー開業の手順で扱っています。この記事は、メニューとして成立させる側に絞ります。

何を売るのかを決める
まず、範囲を決めてください。ここが曖昧だと、時間も料金も決まりません。
顔全体を剃るのか、襟足と耳周りだけなのか。この2つは、かかる時間がまったく違うためです。
そして、蒸しタオルやマッサージを含めるかどうかも決めてください。含めると時間は伸びますが、そのぶん体験としての価値は上がります。
カットに含める形にするか、別メニューにするかも判断が要ります。含めると単価は上げにくくなり、分けると選ばれない回が出るためです。
この3つを決めてから、時間と料金の話に進んでください。
| 決めること | 選択肢 |
|---|---|
| 範囲 | 顔全体/襟足と耳周りのみ |
| 付帯 | 蒸しタオル・マッサージを含めるか |
| 売り方 | カットに含める/別メニューにする |
時間を実測する
想定で組まないでください。必ず計ってください。
準備、施術、片づけ。この3つを分けて計ってください。片づけを含めないと、次の予約に食い込むことになります。
そして、3回ほど計って平均を取ってください。1回目は慣れていないため、長めに出ます。
顔全体なら、準備と片づけを含めて30分前後になることが多くあります。ただし、これは自分の店で計った数字ではないので、必ずご自身で測ってください。
なお、初めての方は説明の時間が加わります。常連の方より5分は多く見てください。
料金の決め方
時間が出れば、料金は計算できます。ここは他店を見るより先に、自分の数字から出してください。
まず、カットの時間あたりの額を計算してください。60分5,000円なら、時間あたり5,000円になります。
シェービングが30分なら、同じ時間あたりで2,500円です。ここが下限の目安になります。
そして、独占業務であることを加味してください。他店にできない施術なら、時間あたりを上げる根拠があるためです。
ただし、上げすぎると出ません。近隣で同じ施術を出している店の水準は、確認しておいてください。相場から大きく外れると、選ぶ理由の説明が要ります。

断る基準を決める
すべての方に提供できるわけではありません。ここは先に決めてください。
肌に傷や炎症がある場合は、その部分を避けるか、日を改めていただいてください。無理に剃ると、悪化させることになります。
そして、皮膚の疾患について申し出があった場合は、こちらで判断しないでください。判断できる立場にないので、主治医に確認していただく形になります。
血が止まりにくくなる薬を飲んでいる方も、確認が要ります。ここも判断はせず、主治医に確認していただいてください。
なお、断ることを恐れないでください。剃ってから問題になるより、その日に断るほうがはるかに軽く済みます。
事前に確認すること
問診として聞く項目を、決めておいてください。毎回同じ内容を聞く形にします。
聞くのは、4つで足ります。肌の状態、これまでに剃って荒れたことがあるか、服薬しているか、避けたい部位があるか。
そして、聞いた内容は記録してください。次回に同じ確認を繰り返さずに済みます。
なお、こちらが原因を判断しないでください。「それなら大丈夫でしょう」は言わないでください。記録の考え方は、アレルギーと既往の記録で整理しています。
傷をつけてしまった場合
起こりうることなので、動き方を決めておいてください。
まず、止血してください。清潔なもので押さえ、出血が止まるまで待ちます。
そして、隠さないでください。「切ってしまいました」と伝え、状態を確認していただくほうが確実です。
深い場合や止まりにくい場合は、受診を案内してください。ここでも、こちらで判断しないでください。
その日の状況を記録に残してください。使った道具、どこを切ったか、どう対応したか。後から必要になる場合があります。
なお、賠償が必要になる場面もあります。加入している保険で対応できるかは、サロン向け施術者賠償責任保険で確認してください。

道具の費用を計算する
シェービングを始めると、費用が増えます。ここも数字で見てください。
刃は消耗品です。1件あたり何枚使うかを決めて、月の件数を掛ければ額が出ます。
そして、タオル、シェービング剤、消毒に使うもの。これらも積み上がるので、まとめて数えてください。
1件あたりの原価を出してから、料金と比べてください。時間あたりの額が高く見えても、原価が高ければ残りません。
なお、刃を使い回さないでください。ここは費用を惜しむ場所ではありません。
場所と設備を整える
シェービングには、カットとは別の設備が要ります。ここも確認してください。
倒せる椅子が必要になります。角度が足りないと、こちらの姿勢に無理が来ます。
そして、湯を使える場所も要ります。蒸しタオルを毎回作るなら、その手間と時間も枠に入れてください。
道具を置く場所も決めてください。使う前のものと使った後のものを分けないと、混ざります。
なお、既存の設備で始められる範囲から試す方法もあります。いきなり椅子を入れ替えると、出なかったときの損失が大きくなります。
誰に向けて出すか
需要は、層によって違います。ここを見てから広げてください。
もともと通っている男性のお客様には、追加として勧めやすくなります。カットのついでという形が取れるためです。
一方、シェービング目的だけで来られる方を増やすには、別の集客が要ります。この施術があること自体を知られていない場合が多いためです。
そして、女性の需要もあります。ただし、扱いが大きく変わるため、別に設計してください。
なお、需要が読めないうちは、既存のお客様に案内するところから始めてください。反応を見てから広げるほうが、費用の失敗が小さくて済みます。
| 決めること | 内容 |
|---|---|
| 時間 | 実測。3回計って平均。片づけを含める |
| 料金 | カットの時間あたりを下限に、独占業務の分を加味 |
| 断る基準 | 傷・炎症・皮膚疾患・服薬。判断はしない |
| 問診 | 肌の状態/過去の荒れ/服薬/避けたい部位 |
| 傷をつけたら | 止血 → 伝える → 受診案内 → 記録 |
| 原価 | 刃・タオル・剤・消毒を1件あたりで出す |
VANNAでできること
VANNAでは、メニューごとに所要時間を設定できます。シェービングを別メニューにする場合も、カットに追加する場合も、枠として管理できます。カレンダー予約はMaxプランの機能で、来店前のメールリマインドは全プランで使えます。
顧客の記録には、問診の内容や避けた部位を残せます。次回に同じ確認を繰り返さずに済みます。
一方で、施術の可否を判定する機能はありません。判断は店で行うことになります。
料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。
女性のお客様を受けるか
需要はありますが、同じ設計では回りません。別に考えてください。
まず、目的が違います。男性は身だしなみとして受けられることが多い一方、女性は化粧の乗りや式の前という目的が中心になります。
そのため、頻度も変わります。定期的に来られる形にはなりにくく、行事に合わせた単発が多くなります。
そして、産毛を扱うぶん、範囲と時間も変わります。同じ料金では合いません。
受けると決めるなら、別メニューとして立ててください。詳しい設計はレディースシェービングを受けるかで扱います。
説明のしかた
初めての方には、何をするかを先に伝えてください。想像と違うと、その場で止まります。
伝えるのは、順番と時間です。「蒸しタオルで温めてから剃り、最後に整えます。30分ほどです」。
そして、痛みや刺激について聞かれた場合は、事実だけを答えてください。「肌の状態によって感じ方は変わります」で足ります。
効果を語らないでください。肌が良くなる、といった説明は根拠を示せません。表現の範囲は、美容サロンの効果表現とコンプライアンスで整理しています。
頻度をどう考えるか
続けて来ていただく設計も、あわせて考えてください。
カットの周期に合わせる形が、最も自然になります。毎回付けるか、2回に1回か。相手に選んでいただけます。
そして、こちらから頻度を決めないでください。「毎回受けてください」は押しつけになりますし、断りにくくさせます。
なお、周期が決まると枠の見通しも立ちます。予約の設計が楽になる、という利点もあります。
技術を保つ
出す頻度が低いと、腕が落ちます。ここも見ておいてください。
月に1件しか出ないなら、上達しません。そして、上達しないものを看板にするのは難しくなります。
そのため、出ないなら価格か案内を見直してください。それでも出ないなら、外す判断もあります。
一方、出るようになったら別の課題が生まれます。時間が読めるようになると、詰めたくなる場面が来るためです。安全に関わる工程は、詰めないでください。
スタッフがいる場合
任せるなら、揃えることがあります。ここは事故に直結します。
まず、免許を確認してください。理容師免許を持っていない方には、行わせられません。
そして、断る基準を共有してください。判断が人によって違うと、店として一貫しません。
道具の扱いも揃えてください。刃をいつ替えるか、使った後どう処理するか。ここは個人の裁量にしないでください。
なお、傷をつけた場合の動きも決めておいてください。新人ほど、その場で隠そうとします。隠さず報告することが正しい、と先に伝えてください。
今日やる一つ
次にシェービングを行うとき、準備・施術・片づけの3つを別々に計ってください。その数字が無いと、料金も枠も決められません。1回計れば、そこから全部が決まります。計るのはスマートフォンのタイマーで足ります。
よくある質問
何から決めますか
範囲(顔全体か襟足と耳周りか)、付帯(蒸しタオルやマッサージを含めるか)、売り方(カットに含めるか別メニューか)。この3つです。決めてから、時間と料金の話に進んでください。
時間はどう決めますか
実測してください。準備・施術・片づけを分けて計り、3回ほどの平均を取ります。1回目は慣れていないため長く出ます。初めての方には、説明の時間が5分ほど加わります。
料金はどう出しますか
カットの時間あたりの額を下限にしてください。60分5,000円なら時間あたり5,000円で、シェービングが30分なら2,500円です。独占業務である分を加味できますが、上げすぎると出ません。
どういうときに断りますか
肌に傷や炎症がある場合、皮膚の疾患について申し出があった場合、血が止まりにくくなる薬を飲んでいる場合です。こちらで判断せず、主治医に確認していただいてください。
何を確認しますか
肌の状態、これまでに剃って荒れたことがあるか、服薬しているか、避けたい部位があるか。この4つで足ります。聞いた内容は記録し、次回に繰り返さずに済むようにしてください。
傷をつけてしまったら
止血してから、隠さずに伝えてください。深い場合や止まりにくい場合は受診を案内し、こちらで判断しないでください。使った道具・場所・対応を記録に残します。
原価はどう見ますか
刃、タオル、シェービング剤、消毒に使うもの。1件あたりに割り戻してから料金と比べてください。時間あたりの額が高く見えても、原価が高ければ残りません。刃は使い回さないでください。
設備は何が要りますか
倒せる椅子と、湯を使える場所です。角度が足りないとこちらの姿勢に無理が来ますし、蒸しタオルを毎回作るならその手間も枠に入れてください。いきなり椅子を入れ替えず、既存の設備で始められる範囲から試す方法もあります。
女性のお客様も受けられますか
需要はありますが、同じ設計では回りません。目的が違い(身だしなみではなく化粧の乗りや式の前)、頻度も単発が中心になります。産毛を扱うぶん範囲と時間も変わるため、別メニューとして立ててください。
スタッフに任せる場合は
まず理容師免許を確認してください。持っていない方には行わせられません。断る基準と道具の扱い(刃をいつ替えるか、使った後どう処理するか)も揃え、個人の裁量にしないでください。傷をつけた場合は隠さず報告することが正しい、と先に伝えてください。
出る件数が少ない場合は
月に1件では上達しません。価格か案内を見直し、それでも出ないなら外す判断もあります。上達しないものを看板にするのは、難しくなります。



