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資金・融資・補助金

複数の借入をひとつにまとめる|条件を変えるのとは、別の道です

公開: 2026年8月25日

Summary

借入が三本、四本と増えて毎月が窮屈になった個人サロン向けに、ひとつにまとめるという選択肢を整理します。返せなくなってから別口で借りるのとの違い、毎月は下がるが総額は増えうること、条件変更とは同時に選べないこと、個人の借入は混ざらないこと、保証人の付け直し、審査と時間、まとめないほうがよい場合までを扱います。

通帳の引き落としを、月初に順番に見ていきます。

一つ目は、開業のときに借りたぶん。二つ目は、三年目に設備を入れ替えたときのもの。三つ目は、去年、材料の支払いが重なったときに借りたもの。

それぞれの額は、そこまで大きくありません。

ただ、三つ合わせると、毎月出ていく額はまとまったものになります。しかも、引き落とされる日がばらばらです。月の初めと、半ばと、終わり。そのたびに残高を気にすることになります。

返せています。滞ってもいません。

ただ、毎月がずっと窮屈です。

こういうときに、いくつかの借入をひとつにまとめるという方法があります。

「返せなくなってから」の話ではありません

先に、はっきり分けておきます。

返済が苦しくなって、別の会社から借りて、そのお金で返す。これは危ない形です。条件の悪いところから借りることになりやすく、月々は一時的に楽になっても、総額は増えます。

この記事が扱うのは、それとは別の話です。

返せているうちに、複数の借入を整理して、ひとつにし直す。公的な保証の枠組みの中に、そういう仕組みが用意されています。

同じ「借りて返す」でも、中身がまったく違います。前者は先送りで、後者は組み直しです。

判断が分かれるのは、いま自分がどちらの状態にいるかです。滞っていないなら、選べる道は多く残っています。

先送りと組み直しを対比した図。返せなくなってから別口で借りる形は、条件の悪いところから借りることになりやすく、月々は一時的に楽になっても総額は増える。返せているうちに一本に組み直す形は、公的な保証の枠組みの中にあり、返す期間を取り直すので毎月の額は下がることが多い。効くのは毎月の資金繰りで、総額ではない。
先送りと組み直しを対比した図。返せなくなってから別口で借りる形は、条件の悪いところから借りることになりやすく、月々は一時的に楽になっても総額は増える。返せているうちに一本に組み直す形は、公的な保証の枠組みの中にあり、返す期間を取り直すので毎月の額は下がることが多い。効くのは毎月の資金繰りで、総額ではない。

まとめると、何が変わるのか

一本になると、返す期間を組み直すことになります。

残っている期間がばらばらの借入を、あらためて一つの返済計画にまとめるからです。期間を取り直すぶん、毎月の額は下がることが多くなります。

つまり、効くのは毎月の資金繰りです。

引き落としの日が一つになることも、思っている以上に効きます。月に三回、残高を気にしていたのが一回になります。小さいことに見えますが、毎月続くと違います。

資金繰りをどう見るかはサロンの資金繰り表を5行で作る|利益が出ているのに払えない理由にまとめてあります。まとめる前と後を、この形で並べてみてください。

総額が減るとは限りません

ここは、誤解しないでください。

毎月が下がるのは、多くの場合、返す期間が延びるからです。期間が延びれば、その分の利息はかかります。

ですから、毎月は軽くなっても、最後まで払う総額は増えることがあります。

条件によっては、利率が下がって総額も減る場合もあります。ですが、それは結果であって、目的ではありません。

まとめる目的は、毎月を回るようにすることです。総額の得を期待して動くと、思っていたのと違う、ということになります。

条件を変えるのとは、別の道です

返済が厳しいときに、いまの借入の条件そのものを変えてもらう方法もあります。毎月の額を下げてもらう、しばらく元本を待ってもらう、という形です。

まとめるのと、条件を変えるのは、別の道です。

そして、両方を同時に選ぶことはできません。まとめて一本にし直せば、それは新しい借入ですから、条件を変えている状態ではなくなります。

この違いは、そのあとに効いてきます。条件を変えた状態が続いていると、新しく借りるときの見え方に影響することがあります。まとめて組み直せば、その状態からは抜けることになります。

実際、条件を変えた事業者が前へ進みにくくなるのを解きほぐすための枠も用意されています。ですから、いま条件を変えてもらっている最中の人ほど、この選択肢を知っておく価値があります。

どちらが自分に合うかは、滞っているかどうか、事業が上向いているかどうかで変わります。窓口で両方を並べて聞いてください。

二つの道を対比した図。条件を変えてもらう形は、いまの借入はそのままで毎月の額や期間を変えるが、その状態が続くと新しく借りるときの見え方に影響する。一本にまとめる形は、いまの借入をいったん終わらせて新しく借り直すため、条件を変えている状態からは抜けることになる。両方を同時に選ぶことはできない。
二つの道を対比した図。条件を変えてもらう形は、いまの借入はそのままで毎月の額や期間を変えるが、その状態が続くと新しく借りるときの見え方に影響する。一本にまとめる形は、いまの借入をいったん終わらせて新しく借り直すため、条件を変えている状態からは抜けることになる。両方を同時に選ぶことはできない。

追加で借りることも、同時にできます

まとめるときに、必要な資金を上乗せして借りる形も選べる場合があります。

たとえば、設備の入れ替えが近い。まとめるだけでなく、その資金も一緒に組み込む。こうすると、手続きが一度で済みます。

ばらばらに借り足していくより、全体の返済計画を一度に見直せる利点もあります。

ただし、当然ながら借りる額は増えます。毎月を軽くするために動いたのに、上乗せしすぎて元の木阿弥、ということが起こりえます。

上乗せするなら、その使い道を先に決めてください。「あったら安心だから」で増やすと、必ず使います。

相談する先は、いま借りている金融機関です

どこへ行けばよいか。

まずは、いま借りている金融機関です。複数のところから借りているなら、いちばん残高の大きいところ、あるいは付き合いの長いところから相談してください。

保証を付けて借りている場合は、信用保証協会がこの仕組みを持っています。制度の全体像は信用保証協会の制度融資・自治体の創業助成金とは?サロン開業で使える組み合わせの考え方で確認できます。

公的な金融機関から借りているぶんについては、そちらに直接聞くことになります。仕組みの前提は日本政策金融公庫 創業融資 完全ガイド(仕組み・審査基準・自己資金・創業計画書の書き方・面談対策・入金までのスケジュール)で整理しています。

借り先が分かれている場合、すべてを一本にできるとは限りません。まとめられる範囲がどこまでかは、聞いてみないと分かりません。

個人で借りたものは、混ざりません

ここでつまずく人がいます。

事業のために借りたものと、個人として借りたものは、別の枠です。カードでの分割払い、キャッシング、生活のために組んだローン。これらは、事業の借入をまとめる仕組みには入りません。

一人でやっていると、財布が一つに感じられます。ですが、制度の側から見れば別のものです。

そして、個人の借入があること自体が、事業の審査で不利に働くことはあります。ここは切り離せません。

もし個人の借入のほうが重いなら、順番が違うかもしれません。事業の借入をまとめても、家計のほうが回らなければ同じことになるからです。

自分の店のお金と、自分の生活のお金。まず、その二つを紙の上で分けてください。分けないまま相談に行くと、話が噛み合いません。

保証人や担保は、どうなるか

一本にまとめるということは、いまの借入をいったん終わらせて、新しく借り直すということです。

ですから、保証や担保も付け直しになります。

家族が保証人になっている借入が混ざっているなら、新しい借入でも同じ人に頼むことになるかもしれません。逆に、保証の仕組みが変わることで、その人が外れる形になる場合もあります。

どちらになるかは、組み方によります。

大事なのは、勝手に決めないことです。名前を書いてもらう相手には、先に話してください。手続きが進んでから「もう一度お願いします」と言うのは、いちばん気まずい形です。

担保に入れている不動産がある場合も、設定の付け替えが必要になることがあります。その手続きにも費用と時間がかかります。

思っているより、時間がかかります

来月の引き落としに間に合わせたい。そう思って相談に行っても、たいてい間に合いません。

相談してから実行まで、書類を揃え、審査を経て、契約をして、という段取りが要ります。数週間では収まらないことも珍しくありません。

しかも、まとめる対象が複数の金融機関にまたがっていれば、そのぶん調整が増えます。

ですから、「今月が厳しい」という状態で相談に行くと、間に合わないまま滞ってしまいます。

滞ってから動くと、選べる道は一気に減ります。まだ数か月は回る、という段階で動いてください。余裕があるうちに相談することが、この手続きでは有利に働きます。

審査があります

まとめるといっても、新しく借りることに変わりはありません。

ですから、あらためて審査があります。通らないこともあります。

見られるのは、いまの事業の状態です。売上がどうなっているか、利益が出ているか、返せる見込みがあるか。

つまり、状態が悪くなってから動くほど、通りにくくなります。

まだ返せているうちに動くほうがよい、というのはこのためです。苦しくなってからでは、選べる道が減ります。

持っていくもの

相談に行くときは、次のものを揃えてください。

  • 借入ごとの返済予定表。全部です
  • 直近の確定申告書の控え
  • 年の途中までの試算表があれば、それも
  • 通帳。入出金の流れが分かるもの
  • これから予定している支出があれば、その見積もり

とくに一つ目が要ります。自分でも把握できていないことが多いからです。

紙で並べると、どれが重くて、どれがいつ終わるのかが一目で分かります。まとめるべきかどうかの見当も、その時点でつきます。

相談に持っていくものと、まとめないほうがよい場合を並べた図。揃えるのは、借入ごとの返済予定表を全部、確定申告書の控え、年の途中までの試算表、通帳、予定している支出の見積もり。あと一年で終わる借入が混ざっている場合は、もうすぐ消える支払いを何年も先まで引き延ばすことになる。
相談に持っていくものと、まとめないほうがよい場合を並べた図。揃えるのは、借入ごとの返済予定表を全部、確定申告書の控え、年の途中までの試算表、通帳、予定している支出の見積もり。あと一年で終わる借入が混ざっている場合は、もうすぐ消える支払いを何年も先まで引き延ばすことになる。

まとめないほうがよい場合

いつでも有効な手ではありません。

あと一年で終わる借入が混ざっているなら、それを長い期間の中に取り込むのは、もったいない話です。もうすぐ消える支払いを、わざわざ何年も先まで引き延ばすことになります。

残りが少ないものは外して、重いものだけをまとめる。そういう組み方ができるかも聞いてください。

また、まとめること自体に費用がかかる場合もあります。保証料や、事務の手数料です。毎月が下がる額と、かかる費用を並べて比べてください。

そのあと、しばらくは借りにくくなります

組み直した直後に、また借りるのは難しくなります。

まとめたということは、その時点での必要額を見積もって借りたということです。すぐにまた足りないとなれば、その見積もりが甘かったことになります。

ですから、まとめるときには、これから一年か二年で必要になるものを先に洗い出しておいてください。設備、税金、保険料、季節の落ち込み。

必要な運転資金の考え方は開業後の運転資金はいくら必要か?サロンが軌道に乗るまでの生活費・固定費の考え方が参考になります。

借入が増えた理由を、先に見る

最後に、いちばん大事なことを書きます。

借入が三本、四本と増えているなら、その理由があるはずです。

売上が落ちているのか。仕入れの条件が変わったのか。設備が続けて壊れたのか。あるいは、生活費として引き出す額が増えているのか。

まとめても、その理由は消えません。毎月が軽くなったぶん、また借りることになるだけです。

入りと出のずれについては開業直後のキャッシュフロー管理|入金サイクルと支払サイクルのズレにどう備えるかの考え方が、続けている店にもそのまま使えます。

まとめるのは、時間を買う手段です。買った時間で何を直すのかを、先に決めておいてください。

今日やる一つ

返済予定表を全部出して、一枚の紙に書き出してください。

借り先、残高、毎月の額、いつまで。この四つだけでかまいません。

書き出した時点で、まとめるべきかどうかは、だいたい見えます。あと一年で終わるものが混ざっているなら、まとめる話ではないかもしれません。何年も先まで並んでいるなら、相談する価値があります。

よくある質問

返済に困っていなくても相談できますか

できます。むしろ、返せているうちのほうが選べる道は多く残っています。まとめるのも新しく借りることに変わりはなく、審査では事業の状態が見られるためです。

毎月の返済は下がりますか

下がることが多くなります。返す期間を組み直すためです。ただし期間が延びるぶん、最後まで払う総額は増えることがあります。

総額も減りますか

条件によっては減りますが、それは結果であって目的ではありません。まとめる目的は、毎月を回るようにすることです。総額の得を期待して動くと、思っていたのと違うことになります。

条件を変えてもらうのと、どちらがよいですか

別の道で、同時には選べません。まとめて一本にし直せば、条件を変えている状態からは抜けることになります。滞っているかどうか、事業が上向いているかどうかで変わりますので、窓口で両方を並べて聞いてください。

いま条件を変えてもらっている最中ですが、使えますか

条件を変えた事業者が前へ進みにくくなるのを解きほぐすための枠も用意されています。ですから、そういう状態の人ほど知っておく価値があります。当てはまるかどうかは、借りている先に確認してください。

追加で借りることもできますか

まとめるときに必要な資金を上乗せする形を選べる場合があります。手続きが一度で済む利点もありますが、借りる額は増えます。上乗せするなら、使い道を先に決めてください。

どこに相談すればよいですか

まずは、いま借りている金融機関です。複数あるなら、残高の大きいところか、付き合いの長いところから。保証を付けて借りているなら、信用保証協会がこの仕組みを持っています。

全部を一本にできますか

借り先が分かれている場合、すべてをまとめられるとは限りません。どこまでが対象になるかは、聞いてみないと分かりません。

何を持っていけばよいですか

借入ごとの返済予定表を全部、直近の確定申告書の控え、年の途中までの試算表、通帳、これから予定している支出の見積もりです。とくに返済予定表は、自分でも把握できていないことが多いので必ず揃えてください。

カードローンやキャッシングもまとめられますか

まとめられません。事業のために借りたものと、個人として借りたものは別の枠です。ただし、個人の借入があること自体が事業の審査で不利に働くことはあります。まず、店のお金と生活のお金を紙の上で分けてください。

保証人はどうなりますか

一本にまとめるのは、新しく借り直すことです。ですから保証や担保も付け直しになります。同じ人に頼むことになるか、外れる形になるかは組み方によります。名前を書いてもらう相手には、手続きが進む前に必ず話してください。

どのくらい時間がかかりますか

書類を揃え、審査を経て、契約をする段取りが要るため、数週間では収まらないこともあります。複数の金融機関にまたがればさらに増えます。来月の引き落としに間に合わせたい、という段階では間に合いません。

審査に落ちることはありますか

あります。新しく借りることに変わりはないためです。見られるのは、いまの事業の状態です。状態が悪くなってから動くほど通りにくくなります。

まとめないほうがよい場合はありますか

あと一年で終わる借入が混ざっている場合です。もうすぐ消える支払いを、何年も先まで引き延ばすことになります。残りが少ないものは外して、重いものだけをまとめられるかを聞いてください。

費用はかかりますか

保証料や事務の手数料がかかる場合があります。毎月が下がる額と、かかる費用を並べて比べてください。

まとめたあと、また借りられますか

しばらくは難しくなります。まとめた時点で必要額を見積もって借りたことになるためです。これから一年か二年で必要になるものを、先に洗い出しておいてください。

まとめれば、資金繰りは解決しますか

しません。借入が増えた理由は残るためです。売上が落ちているのか、仕入れの条件が変わったのか、引き出す額が増えているのか。まとめるのは時間を買う手段なので、買った時間で何を直すかを先に決めてください。