美容室の指名料の決め方|目的・段階・配分を決めてから金額を置く
公開: 2026年8月1日最終更新: 2026年8月4日
Summary
指名料を仕組みとして設計する方法を整理します。混雑の調整・スタッフへの還元・価格の階層づくりという3つの目的の切り分け、段階の付け方、取らない選択、予約の入口への反映、表示と値上げの伝え方、配分、面貸しと業務委託での扱いを扱います。
スタッフが2人になり、片方に予約が集中しています。もう片方は空いているのに、指名の待ち時間が伸びています。
指名料は、腕の差に付ける値段ではありません。集中した枠をどう配分するかの仕組みです。

何のために付けるのか
目的を決めないまま金額だけ決めると、機能しません。指名料には、性質の違う3つの目的があります。
一つは、混雑の調整です。特定の担当に予約が寄ると、その人の枠だけが埋まり、店全体では空きが残ります。指名に費用がかかると、こだわりのない方が空いている枠へ流れます。
二つ目は、スタッフへの還元です。指名を取れるようになった人に、その分が戻る形にすると、目標が具体になります。
三つ目は、価格の階層づくりです。同じメニューでも担当によって価格が変わる形にして、上位の枠を作ります。
どれを狙うかで、金額も配分も変わります。3つを同時に満たそうとすると、中途半端になります。
| 目的 | 効く場面 | 金額の考え方 |
|---|---|---|
| 混雑の調整 | 特定の人に予約が寄っている | 迷う人が動く程度(数百円) |
| スタッフへの還元 | 育成の目標を作りたい | 本人の取り分を明示する |
| 価格の階層づくり | 上位の枠を作りたい | メニュー価格の1〜2割 |
金額の決め方
相場から入ると、自店の事情に合いません。まず、何人が動けば意味があるかを考えてください。
混雑の調整が目的なら、金額は低くて足ります。数百円で、こだわりのない方は動きます。逆に高くすると、指名が減りすぎて、還元の目的が壊れます。
還元が目的なら、本人に渡る額から逆算してください。1件あたり300円が本人に渡るなら、月に何件で意味のある金額になるか。ここが小さすぎると、目標として機能しません。
階層づくりが目的なら、メニューの価格と並べて考えます。カット5,000円に対して500円と2,000円では、意味が変わります。
誰から取るか
全員一律にすると、育成が止まります。新人を指名した方にも同じ額がかかると、新人に予約が入りません。
段階を付けてください。入って間もない人は無料、一定の水準に達したら500円、店長は1,000円。この形なら、指名料そのものが評価の見える化になります。
段階を上げる基準も、先に決めてください。「指名の件数が月◯件を超えたら」「入店から◯年」。曖昧にすると、上げるたびに説明が必要になります。基準の作り方は、サロンのスタッフ評価と昇給の決め方で整理しています。

取らない選択もある
一人サロンでは、指名料は成立しません。全員が同じ人に当たるためです。
2人でも、腕に差がない段階では取らない判断があります。取ると、指名しない方が「劣る担当」に当たったと感じるためです。この誤解は、店全体の印象を下げます。
代わりに、指名を無料のまま受けて、予約の枠で調整する方法があります。指名の枠を人数で区切り、埋まったら他の担当を案内する形です。金額を動かさずに、集中だけを緩められます。
取らないと決めたなら、その旨も明示してください。書いていないと、聞かれるたびに説明することになります。
逆指名という考え方
指名が少ない担当を選んでいただく形に、特典を付ける方法もあります。空いている枠に流したいとき、指名料を上げるより効きます。
「担当をお任せいただくと◯◯」という形です。値引きにするか、時間を長くするか、店販の割引にするかは、利益への影響で選んでください。
ただし、常態化させないでください。安いから選ばれる担当という位置づけが固定すると、その人が育ちません。混雑する時期に限る、といった条件を付けてください。
予約の受け方に落とす
決めても、予約の入口に反映しないと機能しません。指名の有無を、予約の段階で選べる形にしてください。
電話だけで受けていると、その場で説明することになります。「指名は◯◯円かかります」と口頭で言う場面が毎回発生し、言いにくさから省略されるためです。画面で選ぶ形にすれば、金額が先に見えます。
指名ごとに枠を分けて管理する必要も出てきます。担当ごとの空きが見えないと、二重に受ける事故が起きるためです。設計の考え方は、指名予約をネットで受ける設定で整理しています。

表示の仕方
料金表に、必ず書いてください。会計のときに初めて知る形は、不満の元になります。
書く場所は、メニューの近くです。欄外の小さな注記にすると、読まれません。「カット5,000円(指名料500円)」のように、並べて示す形が確実です。
税込か税抜かも、統一してください。メニューは税込で指名料だけ税抜、という状態が実際に起きます。
予約の画面と店内の掲示、両方を同じにしてください。片方だけ直すと、食い違います。
上げるときの伝え方
一度決めた金額を上げる場面が、必ず来ます。担当が育ったとき、店の価格を改定したとき。
事前に伝えてください。当日に会計で知ると、値上げそのものより、伝えられなかったことが問題になります。1か月前を目安に、予約の画面と店頭に出します。
理由も添えてください。「担当の技術の段階が上がったため」で足ります。値上げの進め方は、サロンの値上げで整理しています。
既に予約が入っている方には、予約時の金額を適用してください。取り直しを求めると、そこで離れます。
スタッフに渡す分を決める
集めた指名料をどう配分するかを、先に決めてください。全額を店が取る形だと、本人に動機が生まれません。
配分の方法は3つあります。全額を本人に渡す、一定の割合を渡す、月ごとの合計に応じて渡す。どれを選んでも構いませんが、途中で変えないでください。
給与としての扱いになるため、支払いの方法も確認が要ります。現金でその場で渡す形は、記録が残らず後で困ります。判断に迷う場合は、社会保険労務士か税理士に確認してください。
| 決めること | 内容 |
|---|---|
| 段階 | 誰がいくらか。上げる基準も決める |
| 配分 | 本人に渡る割合。途中で変えない |
| 支払い | 給与としての扱いを確認する |
| 表示 | 料金表・予約の画面・店内で揃える |
指名が固定化したときの困りごと
指名が育つと、別の問題が出ます。その担当が休むと、予約そのものが消えることです。
「◯◯さんがいる日でないと行かない」という状態は、売上が個人に紐づいた形です。本人が辞めれば、その顧客も動きます。
これを緩めるには、店として担当を2人体制にする方法があります。主担当と副担当を決め、施術の一部を副担当が受け持つ。顔と名前が結びついた相手が2人いれば、片方が休んでも来ていただけます。
記録の共有も欠かせません。担当が替わったときに前回の内容が分からないと、その1回で離れます。引き継ぎの考え方は、サロンでスタッフが辞めるときで整理しています。
指名を断る場面
枠が埋まっているのに指名を受け続けると、その担当が壊れます。休憩が消え、施術の質が落ちます。
上限を、先に決めてください。1日に受ける指名の件数、連続で施術する時間の上限。決めていないと、断る判断が本人任せになります。
断り方も用意しておいてください。「◯◯は本日いっぱいです。近い日でしたら◯日が空いています」と代案を出す形です。ただ断ると、他店へ流れます。
なお、上限を超えて受けた分を評価に含めないでください。無理をした人が報われる仕組みにすると、全員が無理をします。
面貸しの場合
席を借りて働く形では、指名料の考え方が変わります。集客を自分で行っているため、店が指名料を取る根拠が薄いためです。
契約で、どちらが集客するかを確認してください。店の客を回してもらっているなら、その分の条件が契約に書かれているはずです。書かれていなければ、後で食い違います。
自分の顧客を自分で集めているなら、指名という概念そのものが要りません。価格は自分で決める形になります。考え方は、フリーランス美容師の価格の決め方で整理しています。
業務委託の店の場合
歩合で働く形では、指名料が取り分に影響します。指名の有無で歩合の率が変わる契約もあります。
契約書を、先に確認してください。指名料が売上に含まれるのか、別枠なのか。ここが曖昧だと、毎月の計算で揉めます。
条件を変えるときは、書面で合わせてください。口頭の合意は、担当者が替わると消えるためです。記録の残し方は、「言った・言わない」を防ぐで整理しています。
VANNAでできること
VANNAでは、担当ごとに予約の枠を分けて受け付けられます。指名の有無を予約の段階で選べる形にできるため、金額を先に示せます。カレンダー予約はMaxプランの機能で、来店前のメールリマインドは全プランで使えます。
一方で指名料の配分を計算したり、給与として処理したりする機能は、ありません。集計と支払いは、別に行うことになります。この点は把握しておいてください。
料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。
効果を測る
決めた後、狙いどおりになったかを確認してください。見るのは、担当ごとの稼働の偏りです。
指名料を導入する前と後で、空いている担当の枠がどれだけ埋まったか。ここが動いていなければ、金額が低すぎるか、予約の入口で見えていません。
指名の件数そのものも、追ってください。減りすぎていれば、還元の目的が壊れています。3か月見て動かないなら、金額ではなく別の要因です。
導入したのに偏りが直らないとき
金額を上げる前に、原因を切り分けてください。多くは、金額以外にあります。
一つは、予約の入口です。特定の担当だけがSNSで発信していれば、そこに集まります。これは指名料では動きません。
もう一つは、枠の出し方です。人気の担当の枠を多く開放していれば、当然そこが埋まります。開放する枠を揃えているかを、先に確認してください。
三つ目は、施術の時間です。同じメニューでも人によって所要が違えば、受けられる件数が変わります。時間を測ってから、枠を組み直してください。
決める順番
金額から入ると、必ず迷います。順番を守ってください。
まず、目的を一つに決める。次に、誰から取るかの段階を決める。そのうえで金額を置き、最後に配分を決める。この順なら、途中で矛盾しません。
決めた内容は、紙1枚にまとめてください。スタッフに説明する場面と、顧客に聞かれる場面の両方で使います。口頭で伝えると、人によって説明が変わります。
半年に一度、見直してください。担当が育てば段階が変わり、混雑の形も変わります。一度決めて固定すると、実態と合わなくなります。
今日やる一つ
先月の予約を、担当ごとに数えてください。件数の差が2倍を超えているなら、指名料より先に枠の出し方を見てください。差が小さいなら、いまは仕組みが要らない段階です。
よくある質問
指名料はいくらが妥当ですか
目的で変わります。混雑の調整なら数百円で足り、価格の階層づくりならメニュー価格の1〜2割が目安です。相場から決めず、何人が動けば意味があるかで決めてください。
全員から同じ額を取るべきですか
段階を付けてください。新人まで一律にすると、新人に予約が入らず育ちません。無料・500円・1,000円のように分けると、指名料そのものが評価の見える化になります。
一人サロンでも必要ですか
成立しません。全員が同じ人に当たるためです。2人でも腕に差がない段階では、取らない判断があります。
取らない場合、集中はどう緩めますか
指名の枠を人数で区切り、埋まったら他の担当を案内する形にしてください。金額を動かさずに集中だけを緩められます。
集めた指名料はスタッフに渡しますか
全額を店が取ると、本人に動機が生まれません。全額・一定割合・月ごとの合計に応じる、のいずれかを選び、途中で変えないでください。給与としての扱いは専門家に確認してください。
金額を上げるときは
1か月前を目安に、予約の画面と店頭で伝えてください。既に予約が入っている方には、予約時の金額を適用します。取り直しを求めると、そこで離れます。
導入しても偏りが直りません
金額を上げる前に、予約の入口・枠の出し方・施術の時間を確認してください。特定の担当だけが発信している、その人の枠を多く開放している、といった原因は指名料では動きません。
どこに表示すればよいですか
メニューの近くに、並べて書いてください。欄外の注記は読まれません。予約の画面と店内の掲示を同じにし、税込か税抜かも揃えてください。
指名が特定の人に固定して困ります
主担当と副担当の2人体制にする方法があります。顔と名前が結びついた相手が2人いれば、片方が休んでも来ていただけます。記録の共有が前提になります。
指名を断ってよいですか
1日に受ける件数と連続で施術する時間の上限を、先に決めてください。断る判断を本人任せにすると、その担当が壊れます。断るときは代案を添えてください。
面貸しでも指名料は要りますか
自分で集客しているなら、指名という概念そのものが要りません。店の客を回してもらっている場合は、その条件が契約に書かれているかを確認してください。
業務委託だと何を確認しますか
指名料が売上に含まれるのか別枠なのかを、契約書で確認してください。ここが曖昧だと毎月の計算で揉めます。条件を変えるときは書面で合わせてください。
決める順番はありますか
目的を一つに決める、段階を決める、金額を置く、配分を決める。この順です。金額から入ると途中で矛盾します。決めた内容は紙1枚にまとめてください。



