サロンのスタッフ評価と昇給の決め方|基準の作り方と面談の進め方
公開: 2026年7月28日最終更新: 2026年8月7日
Summary
「どうすれば給料が上がりますか」に答えられないのは基準がないからです。技術・接客・運営の3領域、3段階の設計、数値項目の歪み、給与と結び付ける際の法的な注意、面談の進め方を整理します。
スタッフから「どうすれば給料が上がりますか」と聞かれて、答えに詰まったことはないでしょうか。基準を決めていなければ、答えられないのが当然です。
基準がない状態は、オーナーにとっても不利です。上げる理由も上げない理由も説明できず、そのときの感覚で決めることになるためです。

評価は「何を見るか」から決める
いきなり点数の付け方を考えると、行き詰まります。ですからまず、何を見るかを決めてください。
サロンの仕事は、次の3つに分けると整理しやすくなります。
一つは、技術。施術そのものです。できるメニュー、所要時間、仕上がりの安定。
二つ目は、接客。お客様との関わりです。カウンセリング、説明、次回の案内、指名の獲得。
そして、運営。店を回す仕事です。清掃、備品の管理、記録の入力、後輩への指導。
| 見るもの | 具体例 |
|---|---|
| 技術 | できるメニューの範囲、所要時間、仕上がりの安定 |
| 接客 | カウンセリング、次回予約の獲得、指名 |
| 運営 | 清掃、備品管理、記録の入力、指導 |
3つのどれを重く見るかは、店の方針で決めてください。技術だけを見る店もあれば、運営への貢献を評価する店もあります。正解はありませんが、決めて伝えることが必要です。
数えられるものと、そうでないもの
評価の項目には、数えられるものと判断が入るものがあります。両方を、使ってください。
数えられるものは、記録から出せます。担当した人数、指名の件数、次回予約の取得率、物販の売上。これらは客観的なため、説明しやすいという利点があります。
一方で数字だけで評価すると、歪みます。指名の数を評価すれば、指名を取りやすい時間帯を巡って揉めるためです。物販の売上を評価すれば、押し売りが起きます。
判断が入るものは、施術の丁寧さ、お客様への配慮、後輩への接し方といった項目になります。数値化できませんが、店の質を保つうえで重要です。

現実的な配分は、数えられるものを半分、判断が入るものを半分程度にすることです。数字だけでも印象だけでも、偏るためです。
段階を作る
「できる」「できない」の2択では、成長が見えません。ですから、段階を作ってください。
3段階が、扱いやすい単位になります。
一つは、補助が必要な段階。指示を受けながら、できる状態です。
二つ目は、一人でできる段階。指示なしで、決められた品質と時間でできる状態です。
そして、教えられる段階。他の人に教えられ、判断を任せられる状態です。
項目ごとにこの3段階で見ることで、いまどこにいて次に何をすればよいかが分かります。「もっと頑張って」ではなく、「この項目を一人でできる状態にする」という具体的な目標になります。
段階が上がったら、それを本人に伝えてください。伝えないと、認められていないと感じるためです。
給与との結び付け方
評価と給与を結び付けるときは、注意する点があります。
第一に、下げないことです。一度上げた基本給を評価が下がったからといって下げることは、原則としてできません。労働条件の不利益な変更にあたるため、本人の同意が必要になります。
第二に、変動させたいなら手当として設計することです。評価に応じて変わる部分は、基本給とは別の手当にします。ただし手当の減額であっても、その仕組みをあらかじめ明示しておく必要があります。
第三に、最低賃金を下回らないことです。歩合を含む場合も、労働時間に対して最低賃金以上になっているかを確認してください。
| 設計 | 注意点 |
|---|---|
| 基本給を上げる | 下げるのは原則できない |
| 手当として支給 | 仕組みを事前に明示する |
| 歩合を加える | 最低賃金を下回らないか確認 |
昇給の時期も、決めてください。年1回か、半年に1回か。時期が決まっていないと、いつ評価されるのか分からず本人が動機を保ちにくくなるためです。
なお、副業や掛け持ちを認めるかどうかは別に決めておく必要があります。整理はスタッフの副業・掛け持ちを認めるかで扱っています。
昇給以外で報いる方法
給与を上げられる余力が、常にあるとは限りません。ですから金額以外で報いる方法も、用意してください。
一つは、任せる範囲を広げること。仕入れの判断、後輩の指導、メニューの企画。ただし責任が増えることを負担と感じる人もいるため、本人の意向を聞いてから決めてください。
二つ目は、学ぶ機会を用意すること。講習の費用を店が負担する、参加する日を勤務として扱う。技術を伸ばしたい人には、給与より効くこともあります。ただし費用を負担した後に短期間で退職した場合の扱いを取り決める際は、労働者の退職の自由を制限しない範囲に限られる点に注意してください。
三つ目は、働き方を調整すること。希望の曜日に休めるようにする、勤務時間を選べるようにする。生活の都合を優先したい人には、価値があります。
そして、道具を用意すること。使いやすい道具、質のよい材料。日々の仕事のしやすさに、直結します。
| 報い方 | 向いている人 |
|---|---|
| 任せる範囲を広げる | 責任を持ちたい人 |
| 学ぶ機会 | 技術を伸ばしたい人 |
| 働き方の調整 | 生活の都合を優先したい人 |
| 道具の充実 | 仕事のしやすさを求める人 |
何を望んでいるかは、人によって違います。ですから、面談で聞いてください。全員に同じものを用意しても、響く人と響かない人が出るためです。
面談のやり方
評価は、面談で伝えてはじめて機能します。紙を渡すだけでは、伝わりません。
面談の要点を、挙げます。
まず、時間を確保してください。施術の合間に立ち話で済ませると、真剣に受け取られないためです。30分でも、別の時間を取ります。
話は、事実から始めてください。「最近頑張っているね」ではなく、「この3か月で、この項目が一人でできるようになった」という形です。
次にやることも、1つ決めてください。複数を挙げると、どれも進まないためです。次の期間で何を目指すかを、1つに絞ります。
本人の話も、聞いてください。評価を伝えるだけの場にせず、困っていることややりたいことを聞く時間にします。
記録も、残します。何を伝え、何を決めたか。そうすることで次回の面談で、前回の続きから話せます。

小規模だからこそ起きる問題
数人の店では、大きな組織とは違う難しさがあります。
一つは、比較する相手がいないこと。2人しかいなければ、相対的な評価はできません。ですから他人との比較ではなく、本人の前回との比較で見てください。
二つ目は、オーナーとの距離が近いこと。日々一緒に働いているぶん、印象が評価に入りやすくなります。だからこそ項目を決めて、記録に基づいて見る必要があります。
三つ目は、評価する人が1人しかいないこと。オーナーの見方が偏っていても、それを補正する人がいません。判断に迷ったら、他店を経営している人や社会保険労務士に相談する方法もあります。
そして、言いにくいことを言えないこと。関係が近いと、改善してほしい点を伝えづらくなります。しかし伝えないまま評価に反映すれば、本人は理由が分からないまま不満を持ちます。面談という場を設けるのは、このためでもあります。
逆に、小規模だからこその利点もあります。日々の様子を直接見ているため、実態に即した評価ができるためです。ですから制度を複雑にせず、見ていることを言葉にすることに時間を使ってください。
評価しないほうがよいこと
評価に入れるべきでない項目も、あります。
まず勤務時間の長さは、評価しないでください。長く働くことが評価されると、効率を上げる動機が失われるためです。
有給休暇の取得も、評価に響かせないでください。取得を理由に不利益に扱うことは、法律上問題になるためです。
私生活に関わることも、評価しないでください。休日の過ごし方、交友関係、家庭の事情。これらは、業務の評価とは無関係だからです。
年齢や性別も、当然ながら評価の対象になりません。
伝え方でつまずかないために
同じ内容でも、伝え方によって受け取られ方が変わります。面談で気をつける点を、挙げます。
まず、人格ではなく行動について話してください。「雑だ」ではなく「片付けの手順が抜けている日があった」という形にします。直せる対象を示すことが、目的だからです。
過去を、蒸し返さないでください。前の期間に指摘して改善された点を、再び持ち出す必要はありません。
他人とも、比べないでください。「◯◯さんはできている」という言い方は、比べられた側にも引き合いに出された側にも良い影響がないためです。
良い点は、先に伝えてください。改善点だけを並べると、聞く側が身構えるためです。できるようになったことを先に確認してから、次の課題に移ります。
最後に、本人の受け止めを聞いてください。伝えたつもりでも、違う意味で受け取られていることがあるためです。「いまの話でどう思ったか」を聞く一言で、行き違いが減ります。
記録がないと評価できない
評価の土台は、記録です。感覚で評価すると、印象の強い出来事に引きずられるためです。
必要な記録を、挙げます。
一つは、担当した人数とその内訳。誰がどのメニューを、何件担当したか。
二つ目は、指名の件数。指名で来店した方が、何人いたか。
そして、次回予約の取得。担当したお客様のうち、次回予約を取った割合です。
これらは、予約と顧客の記録が揃っていれば集計できます。逆に分かれていると集計のたびに突き合わせる作業が発生し、結局やらなくなります。
VANNAでは、予約が顧客と紐づき、担当者を記録できます。指名予約に対応しており、誰が担当したかが履歴として残ります。カレンダー予約はMaxプランの機能で、来店前のメールリマインドは全プランで使えます。管理画面に入るユーザーはプランごとに上限があり、Proは2名、Max以上はより多くの人数を登録できます。
スタッフごとの実績を自動で集計する機能はありません。担当と指名の記録は残るため、それを見て自分で数える形になります。この点は導入前に把握しておいてください。
料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。決済を使う場合のStripe決済手数料は店舗負担で別途かかります。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。
作った基準を運用に乗せる
基準を作っても、使わなければ意味がありません。ですから運用の流れを、決めてください。
期首には、その期間で目指すことを本人と決めます。項目と段階を見ながら、次にどこを上げるかを1つ選んでください。
期中は、月に一度10分程度で進み具合を確認します。ここで軌道修正できることで、期末に「できていなかった」と告げる事態を避けられます。
期末には、達成できたかを一緒に確認します。できていれば段階を上げて、そのことを記録してください。できていなければ、理由を一緒に考えます。本人の努力不足と決めつける前に、教える時間が足りていたか目標が現実的だったかを見ることです。
そのうえで、待遇に反映するかを決めます。反映する場合は、いつから変わるかを明確に伝えてください。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 期首 | 目指す項目を1つ決める |
| 期中(月1回) | 10分の確認。軌道修正する |
| 期末 | 達成の確認。段階の更新と記録 |
| 期末後 | 待遇への反映と、いつからかの明示 |
この流れを1年続けることで、評価が仕組みとして定着します。初年度は、完璧でなくて構いません。運用しながら、項目を足したり削ったりしてください。
一人サロンでも基準は要る
スタッフがいなくても、自分の基準を持つ意味はあります。
自分の技術が、どの段階にあるか。できるメニューが、増えているか。所要時間が、安定しているか。これを年に一度でも振り返ることで、次に学ぶことが決まります。
将来スタッフを雇う予定があるなら、雇う前に基準を作っておいてください。人が入ってから作ると、その人に合わせた基準になり公平さを欠くためです。
よくある質問
評価の基準は文書にすべきですか
してください。口頭だけだと、伝えたつもりの内容が伝わりません。項目と段階を書いた1枚があれば、面談でもそれを見ながら話せます。
評価と給与を必ず結び付けるべきですか
必ずしも結び付けなくてもよいですが、評価だけして待遇が変わらない状態は、本人の納得を得にくくなります。金額でなくても、任せる範囲を広げる、資格の取得を支援するといった形で報いる方法があります。
評価が下がった場合、給与を下げられますか
基本給を下げることは、労働条件の不利益な変更にあたり、原則として本人の同意が必要です。変動させたいなら、あらかじめ仕組みを明示した手当として設計してください。判断に迷う場合は社会保険労務士に確認してください。
面談はどれくらいの頻度で行いますか
昇給の時期に合わせて年1回か半年に1回が基本です。加えて、月に一度10分程度の短い面談を挟むと、問題が大きくなる前に気づけます。
指名の数で評価してよいですか
一部として使うのは構いませんが、それだけで評価しないでください。指名は勤務する曜日や時間帯にも左右されます。条件の違いを考慮せずに数だけを比べると、不公平になります。
業務委託の方も評価すべきですか
雇用ではないため、労働者に対する評価とは性質が異なります。業務の遂行に関する取り決めは契約の内容によります。指揮命令に及ぶ関与をすると、実態として雇用と判断されうるため注意してください。
出典
本記事は2026年7月時点の一般的な情報の整理であり、個別の法的助言ではありません。給与制度の設計、労働条件の変更、業務委託との区分については、社会保険労務士等の専門家にご確認ください。VANNAの料金・機能・キャンペーン条件は変更される場合があります。



