本文へスキップ
美容室(ヘア)運営ガイド

妊娠中のお客様への施術|店が判断できる範囲と、決めておく運用

公開: 2026年8月4日

Summary

体調の申告があったときの運用を整理します。医学的な可否を店が判断しない線引き、姿勢・時間・空気で調整できること、踏み込みすぎない確認のしかた、記録の扱い、断り方、伝え方の型、広告での表現、産後の来店、施術中に体調が変わったときの動きを扱います。

「妊娠中でもカラーはできますか」と聞かれました。答えに迷って、その場で曖昧に返しました。

この質問に、店が医学的な答えを出すことはできません。決めておくのは、運用と伝え方です。

店が答えられる範囲と答えられない範囲
店が答えられる範囲と答えられない範囲

店が判断できない領域がある

まず、線を引いてください。妊娠中の体に薬剤がどう影響するかは、医療の領域です。

「大丈夫です」と答えると、その根拠を店が持っていることになります。逆に「危険です」と答えるのも、同じく根拠のない断定です。どちらも、言うべきではありません。

答えられるのは、店で行う施術の内容と、店として受けられる条件です。この2つに絞ってください。

医学的な可否を尋ねられたら、主治医への確認を案内します。これは、責任を逃れるための言い方ではありません。判断できる人が別にいる、という事実の説明です。

何を決めておくか

決めるのは、店の運用です。項目は4つで足ります。

決めること内容
受ける条件主治医の了解があるか、本人の意思を確認したか
施術の調整姿勢・時間・薬剤の扱いで変えられること
断る場合どういう状態なら受けないか
伝え方誰が、どの段階で、どう伝えるか

これを紙1枚にしておくと、その場で迷いません。決めていない状態が、最も曖昧な受け答えを生みます。

姿勢と時間の負担

薬剤の話とは別に、施術そのものの負担があります。ここは店で調整できる部分です。

長時間、同じ姿勢でいることが負担になります。とくに仰向けで髪を洗う場面は、時期によってつらくなる方がいます。

だから、時間を短くする組み方を用意してください。カットだけにする、カラーの範囲を絞る、洗う場面を減らす。どれも、その場で提案できます。

途中で休める形にもしてください。「いつでも言ってください」と伝えるだけでなく、こちらから声をかける場面を作ります。我慢される方が、多くいます。

においと換気

もう一つ、店で調整できるのが空気です。においに敏感になる時期があります。

薬剤のにおいが強い場所を、避けてください。席の位置を変える、換気を強める、においの弱い薬剤を選ぶ。できることは、いくつもあるはずです。

来店の時間帯も、提案の材料になります。他の方の施術が重なる時間を外すことで、においが薄くなるためです。

空気の管理は、サロンの匂いと空気で整理しています。

姿勢・時間・空気で調整できること
姿勢・時間・空気で調整できること

確認のしかた

聞き方で、受け止められ方が変わります。踏み込みすぎない形にしてください。

こちらから体調について尋ねる必要は、ありません。ただし、施術に関わる範囲では確認が要ります。「体調で気になる点はありますか」という開いた聞き方が、負担になりません。

申告があった場合は、そこから具体を聞きます。「長く同じ姿勢でいるのはつらいですか」「においは気になりますか」。答えられる範囲で構いません。

妊娠しているかどうかを、こちらから断定的に尋ねないでください。見た目で判断するのは、避けます。事情は人それぞれです。

記録の扱い

体調に関わる申告は、通常の記録より慎重に扱う必要があります。

記録すること自体は、必要です。次回の来店で同じ確認を繰り返さずに済み、施術の調整も引き継げます。

ただし、見える場所に置かないでください。他の方の目に触れる状態は、避けます。共有する範囲も、施術に関わる人だけにしてください。

期間が過ぎたら、更新も必要です。出産の後も同じ記録が残っていると、実態と合わなくなります。扱いの考え方は、アレルギーと既往の記録で整理しています。

断る判断を持つ

すべてを受ける必要は、ありません。ただし断り方には、注意が要ります。

「妊娠中の方はお断りしています」という一律の掲示は、勧められません。時期も状態も人によって違い、施術の内容によっても変わるためです。

断るなら、理由を具体的にしてください。「この施術は◯時間かかるため、負担が大きいと考えます」「換気の条件がこの席では整いません」。店の事情として説明できる形にします。

代わりの提案も、あわせて出してください。断るだけで終わると、その方の行き場がなくなります。

伝え方を固定する3つの順番
伝え方を固定する3つの順番

伝え方の型を作る

その場で考えると、言い方がぶれます。型を用意しておいてください。

答えるのは3つです。店で行う施術の内容、店として調整できること、そして医学的な判断は主治医にご確認いただきたいという案内。この順で伝えると、曖昧になりません。

避けるのは、断定と憶測です。「大丈夫だと思います」「みなさんやっています」も、根拠のない安心を与えます。

分からないことは、分からないと伝えて構いません。曖昧に答えるほうが、後で問題になるためです。

予約の段階で伝える

当日に確認すると、そこから調整することになります。予約の画面に書いておけば、先に相談していただけます。

「体調に不安のある方は、ご予約の際にお知らせください」と一行あるだけで違います。妊娠に限らず、体調の申告全般に使える形です。

問い合わせで聞かれた場合も、同じ型で答えてください。文面だけで可否を判断しないでください。文言の作り方は、予約時の注意事項テキスト例文を参考にしてください。

スタッフがいる場合

答え方を、統一してください。人によって言うことが違うと、そこが不信になります。

新人ほど、その場で答えてしまいます。「大丈夫ですよ」と言われた後に責任者が別のことを言うと、店として一貫しません。

判断が要る場面では責任者に回す、という線を引いてください。新人が答えてよいのは、店で行う施術の内容までです。

なお、スタッフ自身が妊娠する場面もあります。そのときの働き方も、別に決めておくことです。考え方は、サロンの労働時間と休暇の管理で整理しています。

家族から聞かれる場合

本人ではなく、家族から問い合わせが来ることがあります。ここも、扱いを決めておいてください。

答える範囲は、本人に対するときと同じです。店で行う施術の内容と、調整できること。医学的な可否は、主治医への確認を案内します。

ただし、予約の変更や個別の記録については、本人の確認なしに答えないでください。家族であっても、その方の情報になります。

来店の当日に付き添われる場合の扱いも、決めておいてください。席の広さや動線によっては、待っていただく場所が必要になります。

時期による違いを断定しない

「安定期に入れば大丈夫」といった言い方も、避けてください。時期で一律に線を引ける話ではありません。

体調は、時期だけで決まりません。同じ週数でも、その日によって違います。だから、来店のたびに確認する形にしてください。

前回できたことが、今回もできるとは限りません。記録を見て「前回と同じで」と進めず、その日の状態を聞いてから決めてください。

なお、こちらから時期を尋ねる必要もありません。必要なのは、その日に施術を受けられる状態かどうかだけです。

同じ考え方が使える他の場面

この扱いは、妊娠中に限りません。医学的な判断が絡む申告すべてに、同じ型が使えます。

持病がある、服薬している、治療の途中である。いずれも、店が可否を判断する領域ではありません。答えるのは施術の内容と調整できること、判断は主治医へ。この3つの型は変わりません。

高齢の方や、体力に不安のある方も同じです。姿勢と時間の負担は、こちらで調整できます。

つまり、妊娠中の方への運用を作ることは、体調に不安のある方全般への運用を作ることになります。1枚の紙が、多くの場面で使えます。

施術中に体調が変わったとき

始めてから、気分が悪くなる場面もあります。ここでの動きも、決めておいてください。

まず、中断してください。「あと少しで終わります」と続けないことです。薬剤が付いている状態なら、流してから休んでいただきます。

横になれる場所と、水を用意しておいてください。座ったまま休むより、回復が早い場合があります。

その日の施術をどこまでで止めるかは、本人の意思を確認して決めます。料金の扱いも、先に決めておいてください。途中で終わった場合にいくらいただくかを、その場で考えると迷うためです。緊急時の動きは、サロンで急に具合が悪くなったときの対応で整理しています。

VANNAでできること

VANNAでは、顧客の記録に体調の申告や施術の調整をメモとして残せます。次回の来店で同じ確認を繰り返さずに済むため、担当が変わっても引き継げる形です。予約の画面には注意事項を掲載でき、事前の相談を促せます。カレンダー予約はMaxプランの機能で、来店前のメールリマインドは全プランで使えます。

一方で施術の可否を判定したり、医学的な情報を提供したりする機能は、ありません。判断は、本人と主治医、そして店の運用で行うことになります。この点は把握しておいてください。

料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。

広告の文面での扱い

集客の文面で、この領域に触れるときも注意が要ります。「妊娠中でも安心」といった書き方は、根拠を示せません。

書けるのは、店の設備と対応です。「換気の設備があります」「所要時間の短いメニューがあります」「事前のご相談を承ります」。事実の説明にとどめてください。

安心を約束する言葉と、条件を説明する言葉は別のものです。表現の線引きは、美容サロンの効果表現とコンプライアンスで整理しています。

産後の来店

出産の後に戻ってこられる方も、多くいます。ここも、店で用意できることがあるはずです。

まとまった時間が取りにくくなるため、所要の短いメニューが選ばれやすくなります。来店の間隔も、以前とは変わります。

子どもを連れて来られる場合の方針も、決めておいてください。受けるか、時間帯を限るか、受けないか。決めていないと、その場で判断することになります。考え方は、サロンの子ども連れ来店をどう扱うかで整理しています。

一度離れた方が戻りやすい状態を作っておくと、長い付き合いになります。

今日やる一つ

「妊娠中でもカラーはできますか」と聞かれたときの答えを、いま紙に書いてください。書けないなら、その場でも答えられません。施術の内容、調整できること、主治医への案内。この3つで組み立てます。

よくある質問

妊娠中の方に施術してよいですか

医学的な可否は、店が判断できる領域ではありません。答えられるのは、店で行う施術の内容と、店として受けられる条件です。医学的な判断は主治医への確認を案内してください。

「大丈夫ですか」と聞かれたら

「大丈夫です」とも「危険です」とも答えないでください。どちらも根拠のない断定になります。施術の内容、調整できること、主治医への案内。この3つで組み立ててください。

店で調整できることは何ですか

姿勢と時間、そして空気です。所要を短くする、洗う場面を減らす、席の位置を変える、換気を強める、他の方の施術が重ならない時間帯を提案する。どれもその場でできます。

体調はこちらから聞くべきですか

妊娠しているかを断定的に尋ねないでください。見た目で判断するのも避けます。「体調で気になる点はありますか」という開いた聞き方が、負担になりません。

断ってもよいですか

構いませんが、「妊娠中の方はお断り」という一律の掲示は勧められません。時期も状態も人によって違うためです。断るなら店の事情として具体的に説明し、代わりの提案も出してください。

記録はどう扱いますか

記録は必要ですが、見える場所に置かないでください。共有する範囲も施術に関わる人だけにします。出産の後も同じ記録が残っていると実態と合わないため、更新も必要です。

広告に「妊娠中でも安心」と書けますか

根拠を示せないため、避けてください。書けるのは設備と対応です。「換気の設備があります」「所要時間の短いメニューがあります」「事前のご相談を承ります」といった事実の説明にとどめてください。

スタッフにはどう伝えますか

判断が要る場面は責任者に回す、という線を引いてください。新人が答えてよいのは、店で行う施術の内容までです。人によって言うことが違うと、そこが不信になります。

家族から問い合わせが来たら

答える範囲は本人に対するときと同じです。ただし予約の変更や個別の記録については、家族であっても本人の確認なしに答えないでください。

「安定期なら大丈夫」と言ってよいですか

避けてください。時期で一律に線を引ける話ではありません。同じ週数でもその日によって違うため、来店のたびに状態を確認する形にしてください。

妊娠中以外にも同じ扱いをしますか

持病・服薬・治療中、高齢の方、体力に不安のある方。いずれも同じ型が使えます。施術の内容と調整できることを答え、判断は主治医へ案内する。1枚の紙が多くの場面で使えます。

施術中に体調が悪くなったら

まず中断してください。薬剤が付いているなら流してから休んでいただきます。横になれる場所と水を用意し、どこまでで止めるかは本人の意思を確認します。料金の扱いも先に決めておいてください。