時間を延ばさずに単価を上げる|分数で売ると1時間あたりが下がる
公開: 2026年8月4日最終更新: 2026年8月6日
Summary
リラク・整体の価格設計を整理します。時間で売る形の構造的な問題、価格の根拠を内容に移す方法、内容を足す・対象を絞る・費用を減らすの3方向、1時間あたりでの判断、長い枠と短い枠の使い分け、値上げの進め方、費用からの逆算を扱います。
60分5,000円で始めて、90分7,000円を足しました。長い枠ばかりが出て、1時間あたりは下がりました。
時間を売る形には、上限があります。延ばさずに単価を上げる方法を、先に考えてください。

時間で売ると何が起きるか
この業態は、分数で価格を示す形が定着しています。ここに、構造的な問題があるためです。
まず、比べられる軸が時間だけになります。近隣と並べたとき、同じ60分でどちらが安いかで選ばれるためです。
次に、延ばすほど1時間あたりが下がります。90分7,000円は、時間あたり4,667円。60分5,000円より、低くなります。
さらに、体力の上限が売上の上限になります。1日に施術できる時間には限りがあり、そこで頭打ちになるためです。
つまり時間を延ばす方向は、続けるほど苦しくなる。別の軸を持ってください。
| 型 | 1時間あたり | 上限 |
|---|---|---|
| 60分 5,000円 | 5,000円 | 1日の施術時間 |
| 90分 7,000円 | 4,667円 | 同じ。しかも体力を多く使う |
| 60分 7,000円 | 7,000円 | 同じ時間で上がる |
何に対して払っているか
延ばさずに上げるには、価格の根拠を変える必要があります。
時間ではなく、受けた後の状態に対して払っていただく形です。ただし、効果を約束することはできません。ここが難しいところになります。
言えるのは、何をするかまでです。だから、価格の根拠は「内容」に置いてください。使う道具、扱う範囲、丁寧さ。ここを説明できる状態にします。
「同じ60分でも、うちは◯◯をします」と言える形を作ってください。言えないなら、時間でしか比べられません。
内容を足す
最も分かりやすい方法です。ただし、時間を増やさずに足してください。
前後の時間の使い方を、変える方法があります。カウンセリングを丁寧にする、終わった後の説明を足す。施術の時間は変えずに、体験が変わります。
道具や環境を変える方向も、あります。温める工程を加える、使うものを変える。ここも、時間の中で完結させられます。
ただし、足したものを説明できる状態にしてください。何が増えたか伝わらないと、値上げにしか見えません。
なお、内容を足す具体的な形として、ヘッドスパなどの組み合わせがあります。設計はヘッドスパなどの組み合わせメニューで扱っています。
対象を絞る
もう一つの方向が、こちらです。全員に向けた店から、特定の悩みに応える店へ。
母数は減りますが、その分の価格が付きます。「肩と首だけを60分」という形にすれば、時間は同じでも位置づけが変わるためです。
絞ることで、説明も具体になります。「◯◯の方が多く来られます」と言える状態は、それ自体が選ばれる理由になるためです。
絞る対象は、いまの顧客から見つけてください。想像で決めると、来ない層に向けることになります。客層の見方は、サロンの客層を変えるにはで整理しています。

数字で確かめる
感覚で決めず、実測してください。見るのは1時間あたりです。
売上を、拘束された時間で割ります。施術の時間だけでなく、準備と片づけも含めてください。
メニューごとに出すと、どれが足を引っ張っているかが見えます。長い枠が繁忙の時間を占めていれば、そこが直す場所です。
計算のしかたは、カット単価を上げるか、回転を上げるかで整理しています。業種は違いますが、時間あたりで判断する考え方は共通して使えます。
長い枠を残すかどうか
すべてを短くする必要は、ありません。判断の材料を持ってください。
長い枠を求める方は、実際にいます。その方たちにとっては、時間そのものが価値になります。
ただし、置く時間帯を選んでください。埋まりにくい時間に寄せれば、繁忙の枠を圧迫しません。
料金も、時間あたりが下がらない形にしてください。「90分は60分の1.5倍」ではなく、それ以上にする判断があります。長い枠は、こちらの負担も大きくなります。
回数券という選択
前払いで受ける形も、あります。ただし、扱いに注意が要ります。
回数券は、値引きになりやすい形です。「10回で1回分無料」とすると、1回あたりの単価が下がります。
そもそも、前払いを受けると法令上の扱いが関わる場面があります。金額や期限によって、必要な対応が変わります。判断に迷う場合は、専門家に確認してください。
考え方は、回数券(5回・10回)と都度払いのどちらを軸にすべきかで整理しています。業種は違いますが、判断の軸は共通です。

値上げの進め方
決めたら、実行の手順が要ります。ここを飛ばすと、離れる方が増えます。
1か月前に、伝えてください。予約の画面、店内の掲示、来店時の口頭。この3つで出します。
理由も添えてください。「内容を◯◯に変えたため」と言えるなら、そう伝えます。言えないなら、そもそも上げる根拠が薄い場面です。
すでに予約が入っている方には、予約時の金額を適用してください。取り直しを求めると、そこで離れます。
進め方は、サロンの値上げで整理しています。
離れる方を見込む
上げれば、一定数は離れます。ここを見込んだうえで判断してください。
何割まで減っても成り立つかを、先に計算します。10%上げて10%減れば、売上は変わりません。ただし件数が減る分、時間は空きます。
空いた時間をどうするかも、決めておいてください。埋めるのか、休むのか。決めていないと、不安から値下げに戻す場面が起きます。
3か月は、判断を保留してください。1か月では、季節の影響と区別できません。
場所の費用から逆算する
価格の下限は、費用で決まります。ここを知らないまま上げ下げしないでください。
家賃を、1時間あたりに直してください。月20万円の家賃で、月200時間営業しているなら、1時間あたり1,000円です。
そこに、材料と光熱費が乗ります。さらに、自分の時間の対価。この合計を下回る価格は、続けるほど減ることになります。
計算のしかたは、サロンの損益分岐点の計算方法で整理しています。業種は違いますが、固定費から逆算する考え方は同じです。
一人で営業する場合
上限が、はっきりしています。ここを先に計算してください。
1日に施術できる件数と、営業日数。掛け合わせた数が、月の上限になります。その上限に単価を掛けたものが、いまの形での天井です。
天井が生活に必要な額に届かないなら、単価を上げるしかありません。件数を増やす余地は、もうありません。
上限の計算は、一人サロンの上限で整理しています。先に天井を知ると、追う方向が決まります。
短いメニューを持つ
長い枠の逆も、検討の対象です。ここは、見落とされがちです。
30分の枠を作ることで、通いやすくなります。時間が取れない方でも、間に入れられるためです。
1時間あたりで見ると、短いほうが高くなる場合もあります。準備と片づけの時間が同じなら、施術が短いほど効率は下がりますが、価格の付け方次第で逆転します。
来店の頻度が上がる利点も、あります。90分を月1回より、30分を月2回のほうが、忘れられません。周期の設計は、次の判断につながります。
同業と比べすぎない
近隣の価格を気にしすぎると、下げる方向にしか動けません。
比べる相手を、間違えないでください。安さで来る方を取り合っても、その方は次に安い店へ移ります。
自店に通い続けている方が、なぜ通っているか。ここを聞くほうが、価格の根拠になります。
「近くにもっと安い店があるのに、なぜここに来られるんですか」。この質問への答えが、上げられる幅を教えてくれます。
VANNAでできること
VANNAでは、メニューごとに料金と所要の時間を設定でき、予約の内訳を管理画面で確認できます。どのメニューがどれだけ出ているかが見えるため、1時間あたりを計算する材料になります。カレンダー予約はMaxプランの機能で、来店前のメールリマインドは全プランで使えます。
一方で1時間あたりの利益を自動で計算する機能は、ありません。拘束時間を含めた集計は、別に行うことになります。この点は把握しておいてください。
料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。
表示のしかたを変える
同じ内容でも、見せ方で受け取られ方が変わります。ここも工夫の余地があります。
分数を前面に出す形は、比較を招きます。「肩と首を中心に整える」といった内容の名前を先に置くと、時間は補足になります。
ただし、所要の時間を書かないのは避けてください。予定が立てられません。書く位置を変える、という話です。
メニューを減らすことも、効きます。選択肢が多いと、安いものが選ばれます。考え方は、サロンのメニューを減らすで整理しています。
スタッフがいる場合
説明の型を、渡してください。なぜその金額なのかを言えないと、上げた価格が保てません。
「うちは◯◯をするので」と言える内容を、全員で共有します。人によって説明が違うと、そこで疑われます。
延長を勧める形も、統一してください。その場で「延ばしますか」と聞く運用は、押し売りに近くなる場面があります。
評価の基準も、選んだ型に合わせてください。延長の件数で評価すると、時間を売る方向に戻ります。基準の作り方は、サロンのスタッフ評価と昇給の決め方で整理しています。
| 決めること | 内容 |
|---|---|
| 価格の根拠 | 時間ではなく、内容で説明できる形に |
| 長い枠 | 置く時間帯を選ぶ。時間あたりを下げない |
| 説明の型 | 全員で共有。人によって変えない |
| 評価 | 延長の件数で評価しない |
費用の側も見る
単価を上げる以外にも、残る金額を増やす方法があります。
家賃、光熱費、道具の利用料。ここを見直すと、売上を変えずに利益が増えます。とくに使っていない月額の費用は、見落とされがちです。
棚卸しの方法は、毎月払っている道具の棚卸しで整理しています。1時間かければ、その場で減らせるものが見つかります。
ただし、削れる額には限りがあります。費用の削減だけで伸ばすことは、できません。
今日やる一つ
いまのメニューをすべて書き出し、料金を所要の時間で割ってください。最も低いものが、繁忙の時間を占めていないか。占めているなら、そこが最初に直す場所です。
よくある質問
時間を延ばして単価を上げるのは
1時間あたりが下がります。90分7,000円は時間あたり4,667円で、60分5,000円より低くなります。体力も多く使うため、続けるほど苦しくなります。
延ばさずに上げるには
価格の根拠を「内容」に置いてください。前後の時間の使い方を変える、道具や環境を変える。施術の時間は変えずに、体験を変える方法があります。
対象を絞るとは
全員に向けた店から、特定の悩みに応える店へ変える形です。母数は減りますが、その分の価格が付きます。絞る対象は、いまの顧客から見つけてください。
何を測ればよいですか
1時間あたりです。売上を拘束された時間で割ります。準備と片づけも含めてください。メニューごとに出すと、どれが足を引っ張っているかが見えます。
長い枠はやめるべきですか
すべてを短くする必要はありません。長い枠を求める方は実際にいます。ただし埋まりにくい時間帯に寄せ、料金は時間あたりが下がらない形にしてください。
回数券はどうですか
値引きになりやすい形です。「10回で1回分無料」とすると、1回あたりの単価が下がります。前払いは法令上の扱いが関わる場面もあるため、専門家に確認してください。
値上げはどう進めますか
1か月前に、予約の画面・店内の掲示・口頭の3つで伝えてください。理由も添えます。言えないなら、そもそも上げる根拠が薄い場面です。既存の予約は、予約時の金額を適用します。
離れる方が心配です
何割まで減っても成り立つかを、先に計算してください。10%上げて10%減れば売上は変わりません。空いた時間をどうするかも決めておくと、不安から値下げに戻すことがなくなります。
価格の下限はどう決めますか
家賃を1時間あたりに直し、材料と光熱費、自分の時間の対価を足してください。この合計を下回る価格は、続けるほど減ることになります。
一人サロンでの上限は
1日の件数×営業日数が月の上限で、そこに単価を掛けたものが天井です。天井が必要な額に届かないなら、単価を上げるしかありません。件数を増やす余地はもうありません。
短いメニューは作るべきですか
30分の枠があると、時間が取れない方でも間に入れられます。来店の頻度が上がる利点もあります。90分を月1回より、30分を月2回のほうが忘れられません。
30分の枠は割に合いますか
準備と片づけの時間が同じなら効率は下がりますが、価格の付け方次第で1時間あたりは逆転します。通いやすさと来店の頻度も、判断に入れてください。
近隣より高くしてよいですか
安さで来る方を取り合っても、その方は次に安い店へ移ります。通い続けている方がなぜ通っているかを聞くほうが、価格の根拠になります。



