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美容室(ヘア)運営ガイド

カラー履歴の記録の残し方|「前と同じ色で」に応えるために何を書くか

公開: 2026年8月1日最終更新: 2026年8月6日

Summary

ヘアカラーの施術記録を再現できる形で残す方法を整理します。薬剤のレシピと塗り分け、施術前の状態、写真の撮り方、退色の速さ、白髪の位置、他店やセルフの履歴の聞き方、スタッフ間の表記の統一、個人情報としての扱いを扱います。

3か月ぶりに来た方から「前と同じ色で」と言われました。カルテには「アッシュ系」とだけ書いてあります。

同じ色は、記憶では再現できません。何を残すかを決めていないと、毎回やり直しです。

カラーの記録で残す5項目の一覧
カラーの記録で残す5項目の一覧

「同じ色で」に応えられない理由

カラーは、その日の結果だけで決まりません。前回の薬剤が髪に残っている状態に、今回の薬剤が重なるためです。だから同じ薬剤を使っても、前回と同じ仕上がりにはならないことがあります。

さらに、退色の速さも人によって変わります。3週間で明るくなる方と、2か月保つ方がいる。この違いは髪質と生活で生じるため、記録がなければ次の設計ができません。

記憶に頼ると、担当した本人でも3か月後には思い出せません。まして担当が変わると、一から聞き直すことになります。

最低限、何を残すか

項目を増やすほど、書かれなくなります。まず、この5つに絞ってください。

残す項目書き方の例
薬剤のレシピ「◯◯6/◯◯8を1:1、OX6% 30g」
塗り分け「根元1cmは◯◯、中間から毛先は◯◯」
放置時間「20分・自然放置」
施術前の状態「前回から10週・根元3cm・毛先は退色して黄み」
仕上がりの評価「やや明るく出た。次は1トーン落とす」

最後の1行が、最も価値を持ちます。事実だけを書いても、次の判断は変わりません。「次はどうするか」を書いた記録だけが、次回に使えます。

施術前の状態を先に書く

仕上がりだけを記録すると、再現できません。同じ薬剤でも、土台が違えば結果が変わるためです。

前回から何週間空いたか。根元の伸びは何センチか。毛先はどこまで退色しているか。ブリーチや縮毛矯正の履歴があるか。この4つを先に書いてください。

とくにブリーチの履歴は、年単位で影響が残ります。「2年前に毛先だけブリーチ」という一行が、薬剤選びを変えます。本人が申告しないことも多いため、こちらから聞いて記録してください。

写真を一緒に残す

文字だけでは、色は伝わりません。「アッシュ系」と書いても、10人が読めば10通りの色を思い浮かべます。

施術の前と後を、同じ場所・同じ明かりで撮ってください。窓際で撮る日と店内の照明で撮る日が混ざると、比べられません。撮る位置を決めておくと、比較に耐える記録になります。

背面全体と、毛先の寄り。この2枚があれば足ります。枚数を増やすと、撮る手間で続かなくなります。

写真を残すには、本人の同意が要ります。撮ることと使うことは別なので、記録として保管するだけなのか、SNSに載せるのかを分けて確認してください。同意の取り方は、サロンの写真と同意で整理しています。

事実と所見を分けたカルテの並び順
事実と所見を分けたカルテの並び順

退色の速さを記録する

次回の提案は、ここから作れます。来店の間隔と、そのときの退色の状態。この2つを並べることで、その方の周期が見えてきます。

3週間で黄みが出る方には、はじめから沈む配合にする判断があるでしょう。逆に2か月保つ方に濃い配合を使うと、暗いまま残ります。

退色は髪質だけでなく、生活でも変わります。屋外の仕事、プールや温泉に通う習慣、家での洗い方。聞き取れた範囲で、一行添えてください。次に「なぜ早く抜けたか」を考える材料になります。

なお、退色の速さは断定できません。「この配合なら◯週間保ちます」と約束すると、そのとおりにならなかったときに不満になります。目安として伝えてください。

手書きか、画面か

紙のカルテには、その場で書ける速さがあります。ただし、探せません。3か月前の記録を引き出しから探す時間が、毎回かかります。

画面で管理すると、名前で引けます。写真も同じ場所に置けるため、文字と画像が離れません。担当が変わっても、同じものが見られます。

どちらを選ぶにしても、置き場所は一つに決めてください。紙と画面に分かれると、両方を見ないと分からなくなります。移行の手順は、サロンの顧客管理デジタル化ガイドで整理しています。

書く時間を作る

続かない最大の原因は、時間です。施術が終わって次の方が待っている状態では、書けません。

塗布の放置時間に書く形が、現実的です。その場で薬剤のレシピを残せば、記憶が新しいうちに済みます。仕上がりの評価だけ、会計の後に足してください。

まとめて書こうとすると、その日のうちに終わりません。1件2分を超える形にしないでください。

比較に耐える写真の撮り方4条件
比較に耐える写真の撮り方4条件

スタッフがいる場合

書き方を揃えてください。同じ薬剤でも、人によって書き方が違うと読めなくなります。

薬剤名の書き方、比率の書き方、時間の単位。この3つを決めて、紙1枚にしてください。略号を使うなら、その一覧も残します。辞めた人の略号が読めなくなる事故が、実際に起きます。

アシスタントが塗布した場合は、誰が塗ったかも記録してください。仕上がりに差が出たとき、原因を探せます。ただし責める材料にはしないでください。記録されなくなります。

決めること内容
薬剤の表記メーカー名と番号の書き方を統一する
比率と分量「1:1」「30g」など単位を揃える
略号使うなら一覧を残す
担当塗布した人も残す

引き継ぎで使う

記録の価値が最も出るのは、担当が変わるときです。退職や産休で担当が替わると、その方が離れやすくなります。

引き継ぐ側は、レシピだけでなく「その方が何を嫌がるか」を渡してください。「赤みが出るのを嫌う」「明るくしすぎると職場で言われる」。この種の一行が、初回の失敗を防ぎます。

引き継ぎの手順は、サロンでスタッフが辞めるときで整理しています。

個人情報として扱う

カラーの記録には、体質に関わる情報が含まれます。かぶれた履歴、妊娠中である旨、服薬の状況。これらは、通常の連絡先より慎重に扱う必要があります。

見える場所に、置かないでください。写真も同じです。端末に保存する場合は、画面の共有設定を確認してください。

保存する期間も決めてください。いつまでも持ち続けると、漏れたときの被害が大きくなるためです。考え方は、顧客情報をいつまで持つかで整理しています。

他店で染めた履歴を聞き出す

初めての方ほど、土台が読めません。前にどこで何をしたかが分からないまま薬剤を選ぶと、思わぬ色が出るためです。

ただし「他店でどうされました?」と聞くと、答えにくくさせます。聞き方を、事実に寄せてください。「最後に染めたのは、いつ頃ですか」「そのとき、明るくしましたか、暗くしましたか」。この2問なら、責める調子になりません。

セルフカラーの履歴も、同じように聞いてください。市販の薬剤は残留の仕方が違うため、仕上がりが読みにくくなります。答えにくい方もいるので、「よくあることです」と添えると出てきます。

聞き取れた内容は、その日の記録に「本人の申告」と分けて書いてください。確認できた事実と、聞いた話を混ぜると、後で判断を誤ります。

白髪の割合を残す

白髪染めでは、割合が設計を決めます。生え際に3割ある方と、全体に1割ある方では、選ぶ薬剤が変わるためです。

数字で書く必要は、ありません。「生え際に多い」「つむじ周りだけ」といった位置の記録で足ります。むしろ位置のほうが、次回の塗り分けに使えます。

割合は年単位で増えるため、来店のたびに上書きしないでください。前の記録を残したまま、日付を付けて足していきます。変化の速さが見えると、頻度の提案が変わります。

なお、白髪を「治す」「減らす」といった表現は使わないでください。染めることと、生えてくることは別です。

なお、白髪の割合が増えてきた方には、染め方そのものを変える選択もあります。判断は白髪ぼかしを導入するかで扱っています。

読まれない記録になっていないか

書いていても使われない記録には、共通点があります。長すぎることです。

10行の所見より、3行の要点のほうが読まれます。次に担当する人は、施術の直前に読みます。そのとき目に入るのは、上から3行だけです。

だから、順番を決めてください。上に「次回どうするか」、中に「前回のレシピ」、下に「経緯」。この順にすると、急いでいても必要なところに当たります。

半年に一度、自分の書いた記録を読み返してください。読んで再現できないものは、書き方が足りていない印です。

かぶれの申告があったとき

体質に関わる申告は、他の記録と分けてください。埋もれると、次に見落とします。

「前に染みた」「赤くなった」と言われたら、その日付と、どの薬剤のときかを残します。染みただけなのか、後日まで腫れたのか。程度も書いてください。次の判断が変わります。

なお、原因を店で断定しないでください。かぶれの原因を特定するのは医療の領域です。症状が続いている場合は、受診を案内してください。パッチテストの運用は、ヘアカラーのパッチテストで整理しています。

記録は、目に入る場所に置いてください。カルテの一番上か、名前の横に印を付ける形です。奥のページに書くと、忙しい日に見落とします。

記録を見せてほしいと言われたら

顧客本人から、開示を求められることがあります。「前回の薬剤を教えてほしい」という形で、引っ越し先の店に伝えるためです。

断る理由は、ありません。求められたら、その方に関する記録は渡せます。ただし社内の評価やスタッフの所見が混ざっていると、そのまま出せなくなります。

だから、事実と所見を分けて書いてください。上に事実、下に所見。この形にしておけば、求められたときに上だけを渡せます。手続きの考え方は、顧客から情報の開示や削除を求められたらで整理しています。

VANNAでできること

VANNAでは顧客ごとの施術の記録を管理画面に残せ、来店の履歴と同じ場所に置けるため、前回からの間隔と施術の内容を並べて確認できます。カレンダー予約はMaxプランの機能で、来店前のメールリマインドは全プランで使えます。

一方で薬剤のレシピを計算したり、色を判定したりする機能は、ありません。記録の中身は、施術者が判断して書くことになります。この点は把握しておいてください。

料金はPro月額3,300円、Max月額5,500円、Max+月額11,000円で、いずれも税込です。初期費用は0円、予約や販売に対するVANNA側の手数料も0円です。現在はプレオープン期間として、2026年7月31日までの申し込みで2か月無料、以降の申し込みは1か月無料です。条件は変更される場合があるため、最新の内容はVANNA公式 料金でご確認ください。

記録から次回を提案する

残す目的は、提案です。前回の評価に「次は1トーン落とす」と書いてあれば、次の来店で迷いません。

来店の周期が分かっていれば、その時期に合わせて連絡もできます。ただし売り込みにしないでください。「そろそろ根元が気になる時期かと思います」で足ります。次回予約の取り方は、次回予約をその場で取るで整理しています。

今日やる一つ

直近に担当した1人ぶんの記録を、見返してください。3か月後の自分が、それだけで同じ色を作れるか。作れないなら、足りない項目がその方の記録の欠けです。

よくある質問

何を書けば「同じ色」を再現できますか

薬剤のレシピ、塗り分け、放置時間、施術前の髪の状態。この4つが揃うと再現の土台になります。ただし前回の薬剤が残っている状態は毎回変わるため、完全に同じにはなりません。

写真は必要ですか

文字だけでは色が伝わらないため、あったほうが確実です。前と後を、同じ場所・同じ明かりで撮ってください。背面全体と毛先の寄りの2枚で足ります。

記録を書く時間が取れません

塗布の放置時間に書いてください。薬剤のレシピはその場で残し、仕上がりの評価だけ会計の後に足します。1件2分を超える形にすると、続きません。

紙とデジタルのどちらがよいですか

紙はその場で書ける速さがあり、画面は名前で引ける速さがあります。どちらでも構いませんが、置き場所は一つに決めてください。分かれると両方を見ることになります。

退色の速さは伝えてよいですか

目安として伝えてください。「◯週間保ちます」と約束すると、そのとおりにならなかったときに不満になります。髪質と生活で変わる旨を添えてください。

スタッフ間で書き方が揃いません

薬剤の表記、比率と分量の単位、略号の3つを決めて紙1枚にしてください。略号を使うなら一覧を残します。辞めた人の略号が読めなくなる事故が起きます。

ブリーチの履歴はいつまで残しますか

年単位で影響が残るため、消さないでください。本人が申告しないことも多いので、こちらから聞いて記録してください。薬剤選びが変わります。

記録の保管で気をつけることは

かぶれた履歴や服薬の状況は、通常の連絡先より慎重に扱ってください。見える場所に置かず、保存する期間も決めてください。写真も同じ扱いになります。

他店やセルフの履歴はどう聞きますか

「最後に染めたのはいつ頃ですか」「そのとき明るくしましたか」の2問にしてください。責める調子にならず、答えが出てきます。聞いた話は、確認できた事実と分けて書いてください。

白髪の記録は数字が必要ですか

位置で足ります。「生え際に多い」「つむじ周りだけ」のほうが、次回の塗り分けに使えます。上書きせず日付を付けて足すと、変化の速さが見えます。

かぶれたと言われた記録はどう残しますか

日付、どの薬剤のときか、程度の3つを、他の記録と分けて目に入る場所に残してください。原因を店で断定せず、症状が続く場合は受診を案内してください。

記録の開示を求められたら渡せますか

その方に関する記録は渡せます。ただしスタッフの所見が混ざっていると出しにくくなるため、事実と所見を分けて書いておいてください。