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接客・カウンセリング

お客様が店内で撮るとき|断る場面を、作らない

公開: 2026年8月25日

Summary

お客様が店内で写真を撮り、SNSに投稿する場面への方針を整理します。3つの場面の分け方、他のお客様が写り込む問題、自宅サロンでの位置情報、撮り始める前に伝える一言、掲示に頼らない理由、施術中の扱い、スタッフが写る場合、動画との違い、投稿内容が違ったときまでを扱います。

仕上がりを鏡でお見せしたところ、「写真を撮ってもいいですか」と言われました。うれしい申し出です。もちろんどうぞ、と答えました。

そのあと、その方は席を立って、店内も撮り始めました。待合、棚、窓際。そして、少し離れた席に、別のお客様が座っていました。

投稿されたのは、その日の夜でした。仕上がりの写真と、店内の写真。位置情報も付いていました。悪気は一つもありません。むしろ、好意で書いてくださっています。

店が撮ることについては、同意の取り方も使い方も決めてありました。ところが、お客様が撮ることについては、何も決めていませんでした。この記事では、そこを整理します。

撮影を3つの場面に分けた図。ご自分の仕上がりは基本的に問題なし、店内は他のお客様が写るため方針が要る、施術中は集中が切れ手が止まるため「終わってから」と伝えてよい。下段に、いちばんの問題は他のお客様の写り込みであること、写された側は気づいておらず、何かあったときに問われるのは店であることが書かれている。
撮影を3つの場面に分けた図。ご自分の仕上がりは基本的に問題なし、店内は他のお客様が写るため方針が要る、施術中は集中が切れ手が止まるため「終わってから」と伝えてよい。下段に、いちばんの問題は他のお客様の写り込みであること、写された側は気づいておらず、何かあったときに問われるのは店であることが書かれている。

3つの場面に分けて考える

「撮影」とひとくくりにすると、判断できません。分けてください。

1つめは、ご自分の仕上がりを撮る場面です。鏡の前で、自分の髪や爪を撮る。これは基本的に問題になりません。

2つめは、店内を撮る場面です。待合、内装、飾ってあるもの。ここから、他のお客様が写る可能性が出てきます。

3つめは、施術中を撮る場面です。作業しているところ、こちらの手元。ここには、また別の論点が入ります。

多くの店が困るのは、2つめと3つめです。そして、1つめだけを想定して「どうぞ」と答えてしまうと、そのまま2つめに移ります。

いちばんの問題は、他のお客様

ここが核心です。

店内を撮れば、他の方が写り込みます。後ろ姿でも、鏡越しでも、写っています。そして、写された側は撮られたことに気づいていません。

その方にも事情があります。ここに来ていることを知られたくない場合もありますし、施術中の姿を見られたくない方もいます。

そして、何かあったときに責任を問われるのは、撮った方ではなく店です。「なぜ止めなかったのか」という話になります。

ですから、店内の撮影については方針を決めておいてください。撮ってよいのか、条件付きなのか、断るのか。決めていない状態が、いちばん危ういのです。

自宅サロンでは、位置情報が実害になる

自宅で営業している場合、これは軽く見ないでください。

投稿に位置情報が付くと、住所が特定されます。そして、その情報は消しても残ります。

自宅サロンでは、住所を公開せず、予約が確定してからお伝えする運用にしている店が多くあります。その運用が、お客様の1回の投稿で崩れます。

住所の扱いそのものは自宅サロンの住所と予約で整理しています。撮影の方針は、その運用と必ずセットで決めてください。

そして、お願いのしかたも決めておいてください。「位置情報は付けずにお願いできますか」と、撮る前に伝える形になります。撮ったあとでは遅くなります。

断る場面を作らない方法を示した図。鏡でお見せするときにこちらから「ご自分の分はどうぞ。店内は、他のお客様が写ることがありますので」と添える。全員に言うこと、掲示に頼りすぎず禁止ではなく案内の形にすること。下段に、自宅サロンでは位置情報が実害になり、予約確定後に住所を伝える運用が1回の投稿で崩れることが書かれている。
断る場面を作らない方法を示した図。鏡でお見せするときにこちらから「ご自分の分はどうぞ。店内は、他のお客様が写ることがありますので」と添える。全員に言うこと、掲示に頼りすぎず禁止ではなく案内の形にすること。下段に、自宅サロンでは位置情報が実害になり、予約確定後に住所を伝える運用が1回の投稿で崩れることが書かれている。

断り方より、先に伝える形にする

その場で断るのは、気まずいものです。相手は好意で撮っているからです。

ですから、断る場面を作らないでください。撮り始める前に、こちらから伝える形にします。

「ご自分の分はどうぞお撮りください。店内は、他のお客様が写ることがありますので、ご遠慮いただいています」。この一言を、鏡でお見せするときに添えます。

これなら、断っているのではなく、案内していることになります。相手も気を悪くしません。

そして、この一言を全員に言ってください。撮りそうな方にだけ言うと、その判断が必要になります。決まった案内にしてしまうほうが、こちらも楽です。

掲示に頼りすぎない

「店内撮影はご遠慮ください」という貼り紙を考えたくなります。

ただ、貼り紙は読まれません。そして、読まれたとしても、来られた方の大半は撮る気がないのに、禁止の文字を読むことになります。

歓迎していない店だという印象だけが残ります。

掲示を使うのであれば、禁止ではなく案内の形にしてください。「ご自分の仕上がりはご自由にお撮りください。他のお客様が写らないようご配慮をお願いします」。書き方ひとつで、受け取られ方が変わります。

そして、掲示だけで済ませず、口でも伝えてください。効くのは、そのときに言われた一言のほうです。

施術中を撮られる場合

作業しているところを撮りたいと言われることがあります。

こちらの手元が写ります。技術的なやり方が写ることを気にする方もいますが、実際にはそこよりも別の問題があります。

まず、集中が切れます。撮られていると分かっていて刃物を扱うのは、良い状態ではありません。

そして、動きが止まります。撮りやすい角度を作ろうとして、手順が変わることがあります。

ですから、施術中は「終わってからお撮りください」と伝えてよいと思います。理由は「手元が止まってしまいますので」で足ります。

撮ってほしいと頼まれたとき

逆の場面です。「写真を撮ってもらえますか」と、こちらに頼まれることがあります。

このとき、相手の端末で撮るのであれば、こちらにデータは残りません。それ自体は問題ありません。

ただ、店内が写る角度は避けてください。他のお客様が入らない向きを、こちらで選びます。「こちらの向きのほうがきれいに撮れますよ」と言えば、自然に誘導できます。

そして、こちらの端末で撮った場合は、それは店が撮った写真になります。使うのであれば同意が要りますし、使わないなら消してください。撮ることと使うことの区別はサロンの写真と同意で扱っています。

投稿されたあとと、写る人について示した図。内容が事実と違う場合はまず自分のwebと料金表を正しくする。良く書かれていない場合はその場で反応せず、写り込みだけは内容と分けて連絡する。中段に、スタッフが写るかどうかは本人が決めること、退職後も写真は残ること。下段に、動画は別に考えることが書かれている。
投稿されたあとと、写る人について示した図。内容が事実と違う場合はまず自分のwebと料金表を正しくする。良く書かれていない場合はその場で反応せず、写り込みだけは内容と分けて連絡する。中段に、スタッフが写るかどうかは本人が決めること、退職後も写真は残ること。下段に、動画は別に考えることが書かれている。

スタッフが写る場合

見落とされやすく、そして本人が言い出せない場面です。

お客様が仕上がりを撮るとき、担当したスタッフも一緒に写ることがあります。「一緒に撮ってもいいですか」と言われることもあります。

このとき、断りにくいのは本人です。お客様の前で「私は写りたくありません」とは言えません。そして、経営者が横で「どうぞどうぞ」と言えば、なおさら言えなくなります。

ですから、先に決めておいてください。写るかどうかは本人が決める、と。そして、断ってよいことを本人に伝えておいてください。言われていなければ、断れません。

なお、写った写真は投稿されると残ります。退職したあとも消えません。ここまで含めて、本人に判断していただく形にしてください。

動画と配信は、別に考える

写真とは分けてください。

動画は、写る範囲が広くなります。そして、音が入ります。他のお客様の声や、会話の内容が入ることがあります。

さらに、その場で配信される形になると、こちらは何が流れているのかを把握できません。あとから確認することもできません。

ですから、動画については、写真より慎重な扱いにしてよいと思います。「動画はご遠慮いただいています」と決めておく店があってもかまいません。

そして、決めているのであれば、写真と一緒に案内してください。写真は良いが動画は困る、という区別は、言われないと分かりません。

投稿してほしい場合の頼み方

歓迎する方針の店もあります。その場合の注意です。

こちらから投稿をお願いする場合、何かを渡す形にすると、表示のしかたに決まりが関わってきます。割引や特典と引き換えに投稿していただく形は、とくに注意が要ります。

考え方はサロンの口コミ・紹介はステマ規制に抵触しないかで整理しています。頼む前に、一度読んでおいてください。

そして、頼むこと自体が負担になる方もいます。断りにくい関係の上で頼むことになるからです。全員に同じ形で案内するか、頼まないか。どちらかにしてください。

投稿された内容が違うとき

これも起こります。

料金が違う、メニュー名が違う、施術の内容が事実と異なる。悪意はなく、覚え違いです。

このとき、投稿を消してくださいと頼むのは、最後の手段にしてください。好意で書いてくださったものです。

まず、こちらの側で正しい情報が出ている状態にしてください。自分のwebや料金表が正しければ、多くの場合それで足ります。

明らかに誤解を招く場合だけ、丁寧に伝えてください。「ありがとうございます。1点だけ、料金が◯◯でして」。訂正を求めるのではなく、事実を伝える形にします。

良く書かれていないとき

写真とともに、否定的な内容が書かれることもあります。

このとき、その場で反応しないでください。時間を置いてから、対応するかどうかを決めます。

口コミへの対応の考え方は悪い口コミへの対応で扱っています。投稿の場所が違っても、原則は同じです。

そして、他のお客様が写り込んでいる場合は、内容とは別に対応が必要になることがあります。この場合は、内容への反論ではなく、写り込みについてだけ連絡してください。論点を混ぜないことが大切です。

方針を、1文で決める

最後に、まとめます。

決めるのは、次の1文です。「ご自分の分はどうぞ。店内は他のお客様が写るのでご遠慮いただく」。あるいは「店内も歓迎、ただし位置情報はご遠慮いただく」。

どちらでもかまいません。決まっていることが大事です。

そして、その1文をスタッフにも共有してください。人によって答えが変わると、「前は良かったのに」という話になります。

決めるのに5分もかかりません。そして、決めていないまま何年も営業している店が、実際には多いのです。

場面判断
ご自分の仕上がり基本的に問題なし。どうぞ
店内他のお客様が写る。方針を決めて、撮る前に伝える
施術中「終わってから」と伝えてよい(手元が止まるため)
位置情報自宅サロンでは実害。撮る前にお願いする
こちらが撮る店内が写らない角度を選ぶ。自分の端末なら同意か削除
投稿を頼む特典と引き換えは表示の決まりに注意。全員に同じ形で
内容が違うまず自分のwebを正しく。消してとは頼まない
良く書かれていないその場で反応しない。写り込みだけは別に連絡

今日やる一つ

「ご自分の分はどうぞお撮りください。店内は、他のお客様が写ることがありますので」。この一言を、鏡でお見せするときの案内に入れてください。全員に言う形にすれば、断る場面そのものが無くなります。

よくある質問

お客様が写真を撮るのは、断るべきですか

3つに分けて考えてください。ご自分の仕上がりは基本的に問題ありません。店内は他のお客様が写るため方針が要ります。施術中は集中が切れますので「終わってから」と伝えてよいと思います。

なぜ店内の撮影が問題になりますか

他のお客様が写り込むためです。後ろ姿でも鏡越しでも写っており、写された側は気づいていません。ここに来ていることを知られたくない方もいます。そして、何かあったときに問われるのは撮った方ではなく店です。

どう伝えればよいですか

断る場面を作らないでください。撮り始める前に、鏡でお見せするときに添えます。「ご自分の分はどうぞ。店内は、他のお客様が写ることがありますので、ご遠慮いただいています」。断っているのではなく、案内していることになります。

全員に言うのですか

言ってください。撮りそうな方にだけ言うと、そのつど判断が必要になります。決まった案内にしてしまうほうが、こちらも楽です。

貼り紙で伝えてもよいですか

貼り紙は読まれませんし、読まれても大半の方は撮る気がないのに禁止の文字を読むことになります。使うなら禁止ではなく案内の形にし、掲示だけで済ませず口でも伝えてください。効くのは、そのときの一言のほうです。

位置情報はなぜ気にするのですか

自宅で営業している場合、住所が特定されます。住所を公開せず予約確定後にお伝えする運用をしていても、1回の投稿で崩れます。そして、その情報は消しても残ります。撮る前にお願いしてください。

施術中を撮りたいと言われたら

「終わってからお撮りください」と伝えてよいと思います。理由は「手元が止まってしまいますので」で足ります。撮られていると分かって刃物を扱うのは、良い状態ではありません。

撮ってほしいと頼まれたら

相手の端末で撮るならこちらにデータは残りません。ただし、店内が写らない角度をこちらで選んでください。「こちらの向きのほうがきれいに撮れますよ」で自然に誘導できます。自分の端末で撮った場合は、店が撮った写真になります。

投稿をお願いしてもよいですか

何かを渡す形にすると、表示のしかたに決まりが関わります。割引や特典と引き換えの場合はとくに注意してください。また、頼むこと自体が負担になる方もいますので、全員に同じ形で案内するか、頼まないかのどちらかにしてください。

投稿の内容が事実と違います

消してくださいと頼むのは最後の手段にしてください。好意で書いてくださったものです。まず、自分のwebや料金表が正しい状態にしてください。明らかに誤解を招く場合だけ、訂正を求めるのではなく事実を伝える形で伝えてください。

良く書かれていない投稿には

その場で反応しないでください。時間を置いてから、対応するかどうかを決めます。他のお客様が写り込んでいる場合は、内容への反論ではなく、写り込みについてだけ連絡してください。論点を混ぜないことが大切です。

スタッフが一緒に写る場合は

写るかどうかは本人が決める、と先に決めてください。お客様の前で「写りたくありません」とは言えませんし、経営者が横で「どうぞ」と言えばなおさらです。断ってよいことを、本人に伝えておいてください。投稿された写真は、退職したあとも残ります。

動画も同じ扱いでよいですか

分けて考えてください。動画は写る範囲が広く、音が入ります。他のお客様の声や会話の内容が入ることもあります。その場で配信される形だと、何が流れているのかをこちらで把握できません。写真より慎重な扱いにしてよいと思います。

スタッフにも共有しますか

決めた1文をそのまま共有してください。人によって答えが変わると「前は良かったのに」という話になります。決めるのに5分もかかりませんが、決めていないまま何年も営業している店は実際に多くあります。