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接客・カウンセリング

予約と違う方が来られたとき|確認が済んでいない相手に施術しない

公開: 2026年8月25日

Summary

予約した本人ではなく家族や友人が代わりに来られたときの動き方を整理します。何が失われているのか、いったん止めて問診をやり直すこと、受けるかどうかの3つの確認、断り方、名前の呼び方、記録をどちらに残すか、会計の扱い、繰り返される場合、予約案内に入れる一文までを扱います。

予約の名前を確認して、お迎えに出ました。ところが、立っていたのは知らない方でした。「あ、母が行けなくなって、代わりに来ました」。

その場では「そうでしたか」と受けて、椅子にご案内しました。施術に入ってから、まずいことに気づきました。予約されていたのは、記録のある常連の方のメニューです。目の前にいるのは、初めての方です。何も確認できていません。

予約した本人とは違う方が来る。めずらしいことではありませんし、悪意もありません。ただ、この場面の問題は「誰が来たか」ではありません。確認が済んでいない相手に、確認が済んでいるつもりで施術しようとしている。そこが危ないところです。

この記事では、そこに気づいてからの動き方を整理します。

予約と違う方が来たときに失われている2つを示した図。1は確認が済んでいないこと(髪や肌の状態、体調、薬の使用、過去に合わなかったもの。すべて予約した方について聞いたもの)。2は記録が使えないこと(前回の内容、避けた部位、使ったものはすべて別の人のもの)。下段に、実質は初めての方の飛び込みと同じだが、予約が入っているぶん準備ができていると錯覚する、と書かれている。
予約と違う方が来たときに失われている2つを示した図。1は確認が済んでいないこと(髪や肌の状態、体調、薬の使用、過去に合わなかったもの。すべて予約した方について聞いたもの)。2は記録が使えないこと(前回の内容、避けた部位、使ったものはすべて別の人のもの)。下段に、実質は初めての方の飛び込みと同じだが、予約が入っているぶん準備ができていると錯覚する、と書かれている。

なぜ起きるのか

まず、相手の側の事情を知っておくと、対応が柔らかくなります。

いちばん多いのは、行けなくなった枠を無駄にしたくない、というものです。キャンセルの連絡をするより、家族や友人に譲るほうが親切だと考えています。

予約が取りにくい店ほど、この形が起きます。せっかく取れた枠を空けるのがもったいない、という気持ちが働くためです。

そして、多くの方は問題があると思っていません。同じ料金を払うのだから、誰が受けても同じだろう。そう考えるのは、こちらの側の事情を知らないからです。

ですから、責めるような聞き方をしないでください。悪気があってのことではありません。

失われているのは、確認と記録

この場面で実際に困るのは、次の2つです。

1つめは、確認です。髪や肌の状態、体調、薬の使用、過去に合わなかったもの。これらはすべて、予約した方について聞いてあるものです。目の前の方については、何も分かっていません。

2つめは、記録です。前回の内容も、避けた部位も、使ったものも、別の人のものです。参考になりません。

つまり、初めての方が飛び込みで来られたのと、実質的には同じ状態です。ところが、予約が入っているぶん、こちらは「準備ができている」と錯覚しています。この錯覚がいちばん危ない。

気づいた時点で、いったん止める

施術を始める前に気づいたなら、そこで止めてください。

止めるといっても、大げさにする必要はありません。「では、はじめての方として少しお伺いしますね」。この一言で足ります。

そして、いつもの問診をしてください。省かないでください。時間が押しているとしても、ここは削るところではありません。問診の項目は初回カウンセリングシートの作り方で扱っています。

始めてから気づいた場合も、いったん手を止めてください。「すみません、確認させていただきたいことがありまして」。途中で聞くほうが、聞かずに進めるよりはるかによい判断です。

受けるかどうかを決める3つの確認を並べた図。時間が足りるか(問診からやり直すと予定より時間がかかる)、メニューが合うか(予約されていたのは別の人向けの内容)、料金が変わらないか(初回の価格・指名・学割)。下段に、どれかが引っかかるなら内容を変えるか日を改めること、断るときは理由をこちらの側に置くことが書かれている。
受けるかどうかを決める3つの確認を並べた図。時間が足りるか(問診からやり直すと予定より時間がかかる)、メニューが合うか(予約されていたのは別の人向けの内容)、料金が変わらないか(初回の価格・指名・学割)。下段に、どれかが引っかかるなら内容を変えるか日を改めること、断るときは理由をこちらの側に置くことが書かれている。

受けるかどうかを決める、3つの確認

その場で判断するために、見るのは3つです。

1つめは、時間が足りるか。初めての方として問診からやり直すと、予定より時間がかかります。後ろに予約が入っているなら、内容を短くするか、日を改めていただくことになります。

2つめは、そのメニューがその方に合うか。予約されていたのは別の人向けの内容です。髪質も肌の状態も違えば、同じことはできません。

3つめは、料金が変わらないか。初回の価格、指名、学割。予約した方に適用されるはずだったものが、目の前の方には当てはまらないことがあります。

この3つのどれかが引っかかるなら、そのまま進めないでください。内容を変えるか、日を改めるか、その場で決めます。

断るときの言い方

断るという判断も、十分にあります。とくに、薬剤を使う施術や、確認が要る内容ではそうです。

言い方は、相手を責めない形にしてください。「お受けしたいのですが、こちらの確認が済んでおりませんので」。理由をこちらの側に置くと、角が立ちません。

そして、代わりの案を出してください。今日できる短い内容に変える、日を改めて予約を取り直す。何も無いまま帰っていただく形は避けてください。

断る基準そのものの決め方はサロンで施術を断る基準で扱っています。この場面も、その基準の一部として書き込んでおいてください。

名前で呼ばない

小さなことですが、実際に起きる失敗です。

予約の名前が頭に入っているので、つい「◯◯さん」と呼んでしまいます。目の前の方は別人ですから、その瞬間に気まずくなります。

そして、施術中に何度も呼ぶ店では、そのたびに間違えます。

気づいた時点で、予約の名前をいったん頭から外してください。その日は名前で呼ばずに進める、という割り切りもあります。名前の扱いそのものはお客様の名前の扱いで整理しています。

記録は、どちらに残すか

ここを間違えると、あとまで響きます。

施術を受けた方の記録として、新しく作ってください。予約した方の記録に書き足さないでください。

書き足してしまうと、次に予約した方が来られたときに、受けていない施術が履歴に残っていることになります。カラーの履歴が混ざれば、次の判断を誤ります。

そして、予約した方の側には、来店がなかったことだけを残してください。「ご家族が代わりに来店」と書く必要はありません。事実として、その方は来ていません。

記録の書き方は施術の記録の書き方で扱っています。誰の記録かを間違えないことが、この場面での要点です。

記録の残し方を対比した図。受けた方の記録を新規で作り、予約した方の側には来店がなかったことだけを残す。予約者の記録に書き足すと、受けていない施術が履歴に残り、カラーの履歴が混ざれば判断を誤る。下段に、予約の名前で呼ばないことと、予防の一文「ご予約はご本人さまのご来店をお願いしております」が置かれている。
記録の残し方を対比した図。受けた方の記録を新規で作り、予約した方の側には来店がなかったことだけを残す。予約者の記録に書き足すと、受けていない施術が履歴に残り、カラーの履歴が混ざれば判断を誤る。下段に、予約の名前で呼ばないことと、予防の一文「ご予約はご本人さまのご来店をお願いしております」が置かれている。

未成年の方が来た場合

親が予約して、子どもだけが来る。これは分けて考えてください。

年齢によっては、保護者の同意が要る内容があります。そして、目の前にいるのが子どもだけであれば、その場で同意を得られません。

内容によっては、電話で確認する形も取れます。ただ、電話で聞いた同意をどう扱うかは、あらかじめ決めておいてください。決めていないと、そのつど判断することになります。

そして、送ってきた保護者が外で待っている場合もあります。その場合は、席に着く前に一度声をかけてください。あとから電話するより、その場で聞けるほうがはるかに早く済みます。

会計と、控えの名前

意外に困るのが、ここです。

領収書を求められたときに、どちらの名前で出すか。原則としては、支払った方の名前になります。

そして、事前の決済をしている場合は、さらに複雑です。予約した方のカードで払われているなら、その扱いも決めておく必要があります。

こうした細かいところは、その場で考えると必ず時間がかかります。会計の前ではなく、施術に入る前に確認しておいてください。

キャンセル料との関係

譲られた理由が「キャンセル料を避けたかった」である場合があります。

これは、こちらの規定の作り方によっては、想定していない抜け道になります。本人が来ないのにキャンセル扱いにならない、という状態です。

規定を作るときに、この形をどう扱うかを決めておいてください。認めるなら認めると書き、認めないなら本人の来店を前提とすると書く。

規定の作り方はキャンセルポリシーの作り方で扱っています。文言を見直すときに、この場面を思い出してください。

繰り返される場合

一度きりなら、その場の対応で足ります。同じ方が繰り返す場合は、仕組みの話になります。

まず、記録に残してください。日付と、代わりに来られた事実だけです。理由は書きません。

そして、次の予約を受けるときに一言添えてください。「ご予約の方ご本人のご来店でお願いしております」。責める形にせず、店の決まりとして伝えます。

なお、家族で1つの枠を使い回している場合は、家族それぞれで予約を取っていただく形に変えると解決します。「ご家族の分も、それぞれでお取りいただけますよ」と案内すれば、そのまま移行できることが多いものです。

予約のときに、書いておく

起きてから対応するより、起きにくくするほうが楽です。

予約の案内に一文を入れてください。「ご予約はご本人さまのご来店をお願いしております」。それだけで、譲ろうとした方が一度考えます。

そして、ネット予約であれば、注意事項の欄に置いてください。読まれない前提であっても、書いてあることには意味があります。実際に起きたときに、そこを指して説明できます。

ただし、強い書き方にはしないでください。「代理の方はお断りします」と書くと、家族で来られる方まで身構えます。お願いする形の一文で十分です。

それでも、受けてよい場合

すべてを断る必要はありません。

内容が単純で、確認が短く済み、時間にも余裕がある。この条件がそろうなら、初めての方として受ければよいだけです。

そして、その方が次から自分で予約を取ってくださることもあります。きっかけとしては悪くありません。

大事なのは、断るか受けるかではなく、確認を飛ばさないことです。ここさえ守れば、あとは通常の判断で足ります。

場面やること
気づいたときいったん止める。「はじめての方として少しお伺いしますね」
確認問診をやり直す。省かない
判断時間が足りるか/メニューが合うか/料金が変わらないか
断るとき理由をこちらの側に置く。代わりの案を出す
呼び方予約の名前で呼ばない
記録受けた方の記録を新規で作る。予約者側には書き足さない
会計領収書の名前と、事前決済の扱いを施術の前に確認
繰り返し記録に事実だけ。次回の予約時に本人の来店をお願いする
予防予約の案内に一文。強い書き方にはしない

今日やる一つ

予約の案内文に「ご予約はご本人さまのご来店をお願いしております」の一文が入っているかを確認してください。入っていなければ、今日足してください。ネット予約の注意事項でも、電話で伝える定型でもかまいません。1文で、その後の判断がずいぶん楽になります。

よくある質問

なぜ本人以外が来るのですか

行けなくなった枠を無駄にしたくない、というのがいちばん多い理由です。キャンセルの連絡をするより、家族や友人に譲るほうが親切だと考えています。予約が取りにくい店ほど起きます。悪気があってのことではありません。

何が問題になりますか

確認と記録が失われていることです。髪や肌の状態、体調、薬の使用は、予約した方について聞いてあるもので、目の前の方については何も分かっていません。実質的には初めての方の飛び込みと同じですが、予約が入っているぶん準備ができていると錯覚します。

気づいたら、どうしますか

いったん止めてください。「では、はじめての方として少しお伺いしますね」で足ります。始めてから気づいた場合も、手を止めて確認してください。途中で聞くほうが、聞かずに進めるよりはるかによい判断です。

受けるかどうかは何で決めますか

時間が足りるか、そのメニューがその方に合うか、料金が変わらないか。この3つです。どれかが引っかかるなら、内容を変えるか日を改めるかを、その場で決めてください。

断るときは何と言いますか

「お受けしたいのですが、こちらの確認が済んでおりませんので」。理由をこちらの側に置くと角が立ちません。そして、今日できる短い内容に変えるなど、代わりの案を出してください。何も無いまま帰っていただく形は避けます。

名前はどう呼びますか

予約の名前で呼ばないでください。頭に入っているので、つい呼んでしまい、その瞬間に気まずくなります。気づいた時点で予約の名前を頭から外し、その日は名前で呼ばずに進めるという割り切りもあります。

記録はどちらに残しますか

施術を受けた方の記録を、新しく作ってください。予約した方の記録に書き足すと、受けていない施術が履歴に残ります。カラーの履歴が混ざれば、次の判断を誤ります。予約した方の側には、来店がなかったことだけを残します。

未成年の方が来た場合は

分けて考えてください。年齢と内容によっては保護者の同意が要りますが、その場では得られません。電話で確認する形も取れますが、電話で聞いた同意をどう扱うかは、あらかじめ決めておいてください。

領収書は誰の名前で出しますか

原則としては、支払った方の名前になります。事前の決済をしている場合はさらに複雑ですので、会計の前ではなく施術に入る前に確認しておいてください。その場で考えると必ず時間がかかります。

キャンセル料を避けるためだったら

規定の作り方によっては、想定していない抜け道になります。本人が来ないのにキャンセル扱いにならない、という状態です。認めるなら認めると書き、認めないなら本人の来店を前提とすると書いてください。

同じ方が繰り返します

記録に日付と事実だけを残し、理由は書かないでください。次の予約を受けるときに「ご予約の方ご本人のご来店でお願いしております」と、店の決まりとして伝えます。家族で枠を使い回している場合は、それぞれで予約を取っていただく形にすると解決します。

予約の案内に書いてもよいですか

書いてください。「ご予約はご本人さまのご来店をお願いしております」の一文で十分です。ただし「代理の方はお断りします」といった強い書き方にすると、家族で来られる方まで身構えます。

受けてもよい場合はありますか

あります。内容が単純で、確認が短く済み、時間に余裕がある。この条件がそろうなら、初めての方として受ければよいだけです。その方が次から自分で予約を取ってくださることもあります。大事なのは、確認を飛ばさないことです。