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スタッフ採用・育成・労務

はじめての給与計算|天引きするものと、毎月の順番

公開: 2026年8月27日

Summary

初めてスタッフを雇った店が、毎月の給与をどう計算するかを整理します。約束した額と振り込む額が違う理由、天引きするものの種類、採用時に受け取る書類、毎月の5つの順番、明細と納付、歩合がある場合、辞めた月の扱いまでを扱います。

初めてスタッフを雇い、最初の給与日が近づいてきました。約束した月給の額は決まっています。ただ、その額をそのまま振り込むわけではないことに、前日になって気づきました。

天引きするものがあります。そして、天引きした分は預かっているだけで、後日こちらが納めることになります。

給与計算は、毎月同じ順番で回る作業です。順番さえ決めてしまえば、毎月30分ほどで終わります。決めていないうちは、毎回ゼロから調べることになります。

毎月の給与計算を5段階で示した図。勤怠を締める、支給額を計算する、天引きを計算する、明細を作る、振込と記録の順。下段に、給与日に出ていくのは振込額だけで、預かった分の納付は後から別の日程で来ると強調されている。
毎月の給与計算を5段階で示した図。勤怠を締める、支給額を計算する、天引きを計算する、明細を作る、振込と記録の順。下段に、給与日に出ていくのは振込額だけで、預かった分の納付は後から別の日程で来ると強調されている。

支払う額と、振り込む額は違う

まず、この区別からです。

約束した月給や時給から計算した金額が、支払う総額になります。ここから、いくつかを差し引いた残りが、実際に振り込む額です。

差し引くのは、こちらの取り分ではありません。本人に代わって預かり、後で納めるものです。

つまり、給与日に出ていくお金は、振込額だけではありません。預かった分の納付が、後から来ます。

そして、預かった分を運転資金として使わないでください。納付の時期に足りなくなります。

天引きするものの種類

何を引くかは、雇い方によって変わります。

引く可能性があるのは、健康保険と厚生年金の本人負担分、雇用保険の本人負担分、そして所得税の源泉徴収です。住民税を給与から引く形にしている場合は、それも加わります。

どれが必要かは、労働時間や加入している制度によって変わります。自分の店がどれに当たるかは、初めてスタッフを雇うときの労働保険・社会保険手続きを読んだうえで、年金事務所やハローワークに確認してください。

そして、料率や税額は変わります。この記事では書きません。毎年、公表されているものを確認してください。

最初に受け取る書類

雇い入れの時点で、本人から受け取るものがあります。

必要になるのは、給与の振込先、扶養している家族の状況を申告する書類、そして年金や雇用保険の番号が分かるものです。前の職場から交付された書類が必要になる場面もあります。

これらが揃っていないと、計算そのものができません。初出勤の日までに揃える形にしてください。

そして、受け取った書類は保管の場所を決めてください。個人情報が含まれます。

初出勤までに揃えるものを左右に分けた図。本人から受け取るのは給与の振込先、扶養の申告書類、年金や雇用保険の番号が分かるもの。こちらが決めるのは締め日と給与日、歩合や手当の計算根拠、書類の保管場所と扱える人。
初出勤までに揃えるものを左右に分けた図。本人から受け取るのは給与の振込先、扶養の申告書類、年金や雇用保険の番号が分かるもの。こちらが決めるのは締め日と給与日、歩合や手当の計算根拠、書類の保管場所と扱える人。

毎月の順番を固定する

作業を5つに分けて、同じ順で回してください。

1つめは、勤怠の集計です。出勤日数、労働時間、残業した時間、休んだ日。ここが確定しないと、次に進めません。

2つめは、支給額の計算です。基本の給与に、残業分や手当を足します。

3つめは、天引きする額の計算です。

4つめは、明細を作ることです。5つめが、振込と記録です。

この順番を紙に書いて貼っておいてください。順番が飛ぶと、後から直すことになります。

なお、勤怠の集計は締め日を決めておいてください。月末締めか、20日締めか。決めないと、毎月ずれます。管理のしかたはサロンの労働時間と休暇の管理で扱っています。

明細を必ず渡す

口頭や、金額だけの連絡で済ませないでください。

明細には、支給した項目と金額、差し引いた項目と金額、そして振り込む額が並びます。何がいくら引かれたかが、本人に分かる形にしてください。

そして、控えを残してください。後から質問されたときに、同じものを見ながら話せます。

紙でも、データでも構いません。ただし、渡し方を毎月変えないでください。

なお、明細を見て質問が来ることがあります。そのときに答えられないなら、それは計算の根拠を理解していないということです。調べてから答えてください。

預かった分を納める

給与計算は、振り込んで終わりではありません。

差し引いた社会保険料や税金には、それぞれ納める先と期限があります。給与の支払いとは別の日程で動きます。

そして、この納付を忘れると、後から加算されることがあります。カレンダーに入れてください。

納付の時期にお金が無い、という状態を防ぐには、預かった分を別に置いておく方法があります。取り分や運転資金と混ぜないでください。

年に一度の作業がある

毎月だけではありません。

年末には、その年に支払った給与と、預かった税金を精算する手続きがあります。年が明けてからの届出もあります。

労働保険についても、年に一度、まとめて手続きする時期があります。

いずれも時期が決まっているため、年間の予定に書き込んでください。忘れて慌てるのは、たいていこの年次の作業です。

給与にまつわる作業の周期を3つに分けた図。毎月は計算と振込と明細、納付日は預かった社会保険料と税金を別日程で納める、年に一度は年末の精算と労働保険の年次手続き。預かった分を運転資金と混ぜないと添えられている。
給与にまつわる作業の周期を3つに分けた図。毎月は計算と振込と明細、納付日は預かった社会保険料と税金を別日程で納める、年に一度は年末の精算と労働保険の年次手続き。預かった分を運転資金と混ぜないと添えられている。

自分でやるか、頼むか

最初から抱え込まなくて構いません。

1人か2人で、勤務の形が単純なら、自分で回せます。会計ソフトに給与の機能が付いている場合もあります。

一方、人数が増える、勤務の形が複数ある、深夜や休日の割増がある。こうなると、間違えたときの影響が大きくなります。

頼む場合は、社会保険労務士という選択があります。手続きだけを頼む形もあります。

判断に迷うなら、最初の1回だけ見てもらう方法もあります。自分でやるにしても、最初が合っていれば、翌月からは同じ作業です。

歩合や指名手当がある場合

美容の店では、ここが計算をいちばん複雑にします。

まず、何に対して何パーセントかを、書面で明確にしてください。売上に対してなのか、指名の分だけなのか、材料費を引いた後なのか。口頭の約束では、毎月もめます。

次に、集計の期間を勤怠の締め日と揃えてください。売上は月末で締め、勤怠は20日で締める。この状態だと、毎月ずれた数字を扱うことになります。

そして、返金やキャンセルが出た場合の扱いも決めてください。すでに歩合を払った売上が後から取り消されたとき、どうするか。

なお、歩合を含めても、決められた最低額を下回らないようにする必要があります。計算した結果が下回る場合の扱いは、専門家に確認してください。

辞めた月の給与

最後の月は、通常の月とは違います。

まず、日割りになるかどうかを確認してください。月の途中で辞める場合、給与の計算方法は契約や就業の決まりによります。

次に、社会保険や雇用保険の資格を失う手続きがあります。この時期によって、天引きする額が変わることがあります。

そして、その年の給与をまとめた書類を交付する必要があります。次の職場や、本人の申告で使われます。

貸していたものの返却も、この時期に済ませてください。手続きの順序はサロンでスタッフが辞めるときで扱っています。

間違えたときの直し方

必ず、いつか間違えます。

まず、気づいた時点で本人に伝えてください。黙って翌月で調整するのは避けてください。

そして、多く払ったのか、少なく払ったのかで扱いが変わります。少なかった場合は、速やかに不足分を払ってください。

多く払った場合は、返してもらう形になります。ただし、勝手に翌月の給与から引かないでください。本人に説明し、了解を得てから調整してください。

なお、直した内容は記録に残してください。同じ間違いが続くなら、手順のどこかに原因があります。

現金で渡さない

小規模な店ほど、現金で渡してしまいがちです。

振込にしてください。記録が残り、渡した渡さないの行き違いが起きません。

そして、振込の手数料をどちらが負担するかも、決めておいてください。給与日が金融機関の休みと重なる場合に、前倒しにするか後ろにするかも先に決めます。

なお、本人の同意なく振込以外の形にすることはできません。決まりがあるため、迷う場合は確認してください。

家族に手伝ってもらっている場合

扱いが変わることがあります。

生計を同じくする家族への支払いは、税務上、通常の給与とは違う扱いになる場合があります。届け出が必要になる形もあります。

そして、実際に働いているかどうかが問われます。名前だけで支払う形にはできません。

制度の中身は変わるため、この記事では断定しません。税務署か専門家に確認してください。

記録として残すもの

給与に関する記録は、一定の期間、保管が求められます。

残すのは、勤怠の記録、給与の計算の記録、明細の控え、そして受け取った書類です。

保管の期間は制度によって定められています。捨ててよい時期を自分で決めないでください。

そして、保管の場所を分けてください。個人情報を含むため、誰でも見られる場所には置かないでください。スタッフが増えても、給与に関する書類を扱えるのは誰かを決めておいてください。

昇給や手当を変えるとき

計算そのものより、伝え方が問題になります。

変える場合は、いつから、いくら、なぜかを書面で伝えてください。口頭だけだと、後から食い違います。

そして、変えた月の計算は間違えやすくなります。締め日をまたぐ場合、日割りになるかどうかを先に確認してください。

昇給の決め方そのものはサロンのスタッフ評価と昇給の決め方で扱っています。

求人票に書いた条件と合っているか

最後に、ここを確認してください。

募集のときに示した条件と、実際に払っている額が違うと、信用の問題になります。

とくに、手当の有無、残業の扱い、試用期間中の条件。ここが曖昧なまま採用すると、最初の給与日に食い違います。

書き方は初めてスタッフを雇うときの求人票の書き方で扱っています。給与計算は、そこで書いた内容を実行する作業です。

段階やること
採用時振込先・扶養の申告・番号が分かる書類を受け取る
毎月1勤怠を締める(締め日を固定する)
毎月2支給額を計算する
毎月3天引きする額を計算する
毎月4明細を作り、控えを残す
毎月5振り込み、預かった分は別に置く
納付日差し引いた分を、それぞれの期限までに納める
年に一度年末の精算と、労働保険の年次手続き

今日やる一つ

毎月の5つの順番を紙に書いて、給与計算をする場所に貼ってください。締め日と、振込日と、納付の期限もあわせて書いてください。この1枚があるだけで、翌月からは調べ直さずに済みます。

よくある質問

約束した額をそのまま振り込むのですか

違います。天引きするものがあり、残りが振込額になります。天引きした分はこちらの取り分ではなく、本人に代わって預かり、後で納めるものです。運転資金として使わないでください。

何を天引きしますか

健康保険と厚生年金の本人負担分、雇用保険の本人負担分、所得税の源泉徴収。住民税を給与から引く形にしている場合はそれも加わります。どれが必要かは労働時間や加入状況で変わるため、年金事務所やハローワークに確認してください。

料率や税額はいくらですか

毎年変わるため、この記事では書きません。公表されているものを、その年ごとに確認してください。

採用時に何を受け取りますか

給与の振込先、扶養している家族の状況を申告する書類、年金や雇用保険の番号が分かるもの。前の職場から交付された書類が必要になる場面もあります。初出勤の日までに揃う形にしてください。

毎月の手順は

勤怠を締める、支給額を計算する、天引き額を計算する、明細を作る、振り込んで記録する。この5つを同じ順で回してください。順番を紙に書いて貼っておくと、翌月から調べ直さずに済みます。

明細は必要ですか

必要です。支給した項目と金額、差し引いた項目と金額、振込額が並ぶ形にしてください。控えも残します。質問に答えられないなら、計算の根拠を理解していないということです。

納付を忘れたら

後から加算されることがあります。給与の支払いとは別の日程で動くため、カレンダーに入れてください。預かった分を別に置いておけば、納付の時期に足りなくなることも防げます。

年に一度の作業とは

年末に、その年の給与と預かった税金を精算する手続きがあります。年明けの届出もあります。労働保険も年に一度まとめて手続きする時期があります。年間の予定に書き込んでください。

自分でやるべきですか

1人か2人で勤務の形が単純なら回せます。人数が増える、勤務の形が複数ある、割増がある場合は、間違えたときの影響が大きくなります。最初の1回だけ見てもらう方法もあります。

間違えたら

気づいた時点で本人に伝えてください。少なかった場合は速やかに不足分を払います。多く払った場合も、勝手に翌月から引かず、説明して了解を得てから調整してください。

歩合や指名手当があります

何に対して何パーセントかを書面で明確にし、集計の期間を勤怠の締め日と揃えてください。売上を月末、勤怠を20日で締めると、毎月ずれた数字を扱うことになります。返金やキャンセルが出た場合の扱いも先に決めてください。

月の途中で辞めた場合は

日割りになるかは契約や就業の決まりによります。社会保険や雇用保険の資格を失う手続きの時期によって、天引きする額が変わることもあります。その年の給与をまとめた書類の交付も必要です。

現金で渡してもよいですか

振込にしてください。記録が残り、行き違いが起きません。手数料をどちらが負担するかも決めておいてください。本人の同意なく振込以外の形にすることはできません。

家族に手伝ってもらう場合は

生計を同じくする家族への支払いは、税務上、通常の給与とは違う扱いになる場合があります。実際に働いているかどうかも問われます。制度の中身は変わるため、税務署か専門家に確認してください。