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接客・カウンセリング

久しぶりに戻ってこられたとき|何をしないかで決まる

公開: 2026年8月25日

Summary

長く空いたあとに自分から戻ってこられたお客様への、その日の対応を整理します。聞かない3つ、期間に触れない理由、記録の使い方、施術に必要なことだけを確認する聞き方、変わっているものの伝え方、次につなげようと焦らないこと、記録とスタッフへの共有までを扱います。

1年半ぶりの予約が入っていました。名前を見て、すぐに思い出しました。以前は月に一度、必ず来てくださっていた方です。ある時期からぱたりと来なくなり、そのまま連絡もありませんでした。

当日、いつもどおりの顔で入ってこられました。こちらも「お久しぶりです」と返しながら、頭のなかでは別のことを考えていました。この1年半、どこに行っていたのだろう。なぜ来なくなったのだろう。そして、なぜ戻ってきたのだろう。

結論から書きます。その3つは、聞かないでください。そして、こちらの態度に出さないでください。戻ってこられた方への対応は、何をするかより、何をしないかで決まります。

こちらから連絡して呼び戻す仕組みは休眠客の掘り起こしで扱っています。この記事は、向こうから戻ってこられた場合の、その日の話です。

聞かない3つを並べた図。どこに行っていたのか(正直に答えれば気まずい)、なぜ来なくなったのか(分かっても時間は戻らない)、なぜ戻ってきたのか(答えに困らせるだけ)。中段に、期間にも触れないこと(「1年ぶりですね」は責められているように聞こえる)。下段に「お久しぶりです。今日はいかがしましょうか」という言い方が置かれている。
聞かない3つを並べた図。どこに行っていたのか(正直に答えれば気まずい)、なぜ来なくなったのか(分かっても時間は戻らない)、なぜ戻ってきたのか(答えに困らせるだけ)。中段に、期間にも触れないこと(「1年ぶりですね」は責められているように聞こえる)。下段に「お久しぶりです。今日はいかがしましょうか」という言い方が置かれている。

聞かないことを、先に決めておく

その場で判断しようとすると、つい口が滑ります。だから、先に決めておきます。

聞かないのは、次の3つです。

  • どこに行っていたのか
  • なぜ来なくなったのか
  • なぜ戻ってきたのか

どれも自然に浮かぶ疑問ですが、聞かれた側は答えに困ります。正直に答えれば気まずく、ごまかせば嘘をつくことになります。せっかく戻ってこられたのに、その最初の数分で居心地を悪くしてしまいます。

そして、これらを知ったところで、こちらにできることは増えません。理由が分かっても、過ぎた時間は戻りません。

期間に触れない

これが、いちばん間違えやすいところです。

「お久しぶりです」までは自然です。ところが、そこに期間をつけると意味が変わります。「1年半ぶりですね」「ずいぶんお久しぶりですね」。悪気はなくても、責められているように聞こえます。

こちらは記録を見て正確に言っているだけです。ただ、言われた側は「数えられていた」と感じます。

ですから、期間には触れないでください。「お久しぶりです」だけで足ります。それ以上を足そうとするから、余計なものが混ざります。

同じ理由で、「お元気でしたか」も少し重くなることがあります。何かあって来られなかったと決めつけているように聞こえるためです。いつもどおりの挨拶が、いちばん自然です。

記録は見る。ただし、見たことを言いすぎない

準備としては、必ず前回の記録に目を通してください。

長く空いていても、前回の内容が分かっていれば、その日の判断が早くなります。何をして、どういう仕上がりで、何を避けたか。これが分かっているだけで、聞くことが減ります。

ただ、見たことを口に出しすぎないでください。「前回は◯◯をされていますね」と細かく確認しはじめると、久しぶりの来店が確認作業になります。

使い方としては、頭に入れておいて、必要なときだけ出す。この形が自然です。記録の書き方そのものは施術の記録の書き方で扱っています。

聞き方の違いを対比した図。「どこかに行かれましたか」は店の名前を出させることになるが、「この1年で、カラーやパーマは」なら施術に必要なことだけを聞ける。中段に、記録どおりをそのまま入れず「前回はこのくらいでしたが、今日は」と確かめること。下段に、料金・予約の仕組み・担当者の変更を施術の前に伝えること。
聞き方の違いを対比した図。「どこかに行かれましたか」は店の名前を出させることになるが、「この1年で、カラーやパーマは」なら施術に必要なことだけを聞ける。中段に、記録どおりをそのまま入れず「前回はこのくらいでしたが、今日は」と確かめること。下段に、料金・予約の仕組み・担当者の変更を施術の前に伝えること。

施術に必要なことだけは、確認する

聞かないと決めたことと、確認すべきことは別です。ここを混同しないでください。

その期間に他店で何かされていた場合、施術に影響することがあります。薬剤を使う施術では、とくにそうです。

ですから、聞き方を変えてください。「どこかに行かれましたか」ではなく、「この1年で、カラーやパーマはされましたか」と聞きます。他店の話ではなく、髪や肌の状態を聞く形にするのです。

これなら、答える側も答えやすくなります。行った店の名前を出す必要もありません。

そして、体調や肌の状態も確認してください。1年空けば、変わっていることがあります。前回と同じ内容でよいかどうかは、そこを見てから決めます。

前回と同じでよいか、確かめる

久しぶりの方に、記録どおりの施術をそのまま入れないでください。

年齢も、髪や肌の状態も、生活も変わっています。前回ちょうどよかった長さが、いまもちょうどよいとはかぎりません。

確かめ方は簡単です。「前回はこのくらいでしたが、今日はいかがしましょうか」。記録があることを軽く示しつつ、今日の希望を聞く形になります。

この一言があると、覚えていてもらえたという安心と、いまの希望の確認が同時に済みます。記録を見ていることが、押しつけではなく丁寧さとして伝わります。

変わっているものを、先に伝える

1年も空けば、店の側も変わっています。

料金が変わっていれば、施術の前に伝えてください。会計のときに気づかれると、聞いていないという話になります。「前回から料金を改定しておりまして」と一言あれば済みます。

予約の仕組みが変わっている場合も同じです。電話だけだったところがネットになった、当日の受付をやめた。こうした変更は、次回につながる情報です。

担当者が替わっている場合は、なおさら早めに伝えてください。席に着いてから知るより、予約の時点で分かっているほうが親切です。

そして、これらを伝えるときに、申し訳なさそうにしないでください。変わったのは事実で、こちらに落ち度はありません。淡々と伝えるほうが、相手も受け取りやすくなります。

次につなげようと、焦らない

戻ってこられたことがうれしくて、つい力が入ります。ここは抑えてください。

次回の予約を強く勧める、回数券を案内する、いつもより長く話す。どれも「また離れないように」という気持ちから出ますが、相手にはその圧が伝わります。

そして、圧を感じた方は、次に来にくくなります。せっかく戻ってきたのに、また構えさせてしまいます。

やることは1つで、いつもどおりに施術することです。良い時間だったと感じていただければ、次の予約は自然に入ります。リピートの仕組みそのものはリピート率を上げるで扱っていますが、この日にかぎっては、通常どおりが正解です。

記録に、何を書くか

その日の記録には、事実だけを書いてください。

書くのは、来店の日、施術の内容、いまの状態、そして今日聞いた希望です。いつもと同じ項目で足ります。

書かないのは、「他店に行っていた」「1年半ぶり」といった記述です。前者は推測であり、後者は次に読む人の態度に影響します。担当が替わったときに、その一行が余計な気遣いを生みます。

久しぶりだったという事実は、来店の日付を見れば分かります。わざわざ書く必要はありません。

記録に書くことと書かないことを並べた図。書くのは来店の日、施術の内容、いまの状態、今日聞いた希望で、いつもと同じ項目。書かないのは「他店に行っていた」(推測)と「1年半ぶり」(次に読む人の態度に影響する)。下段に、スタッフには共有せず施術に必要な情報だけ伝えること、記録が残っていない場合は正直に伝えることが書かれている。
記録に書くことと書かないことを並べた図。書くのは来店の日、施術の内容、いまの状態、今日聞いた希望で、いつもと同じ項目。書かないのは「他店に行っていた」(推測)と「1年半ぶり」(次に読む人の態度に影響する)。下段に、スタッフには共有せず施術に必要な情報だけ伝えること、記録が残っていない場合は正直に伝えることが書かれている。

スタッフに、共有しない

これも決めておいてください。

「あの方、久しぶりに戻ってこられたんですよ」。こう伝えた時点で、スタッフの態度が変わります。歓迎しようとして、いつもより丁寧になる。それが、相手には伝わります。

特別扱いは、この場面では逆に働きます。何も知らない人が普通に接するほうが、居心地がよいものです。

共有するとすれば、施術に必要な情報だけです。避ける部位、確認した内容、その日の希望。それ以外は要りません。

記録が残っているかを、確認しておく

実務的な話です。

顧客の記録には、保存する期間を決めている店があります。決めた期間を過ぎたものを消していると、久しぶりの方の記録が無くなっています。

この場合、初めての方と同じ手順になります。それ自体は仕方がありませんが、「以前も来ていたのに、覚えられていない」と感じさせる可能性があります。

ですから、記録が無い場合は、正直に伝えてください。「以前のお記録が手元に残っておりませんで、改めて伺ってもよろしいでしょうか」。ごまかそうとして中途半端に進めるより、はるかに印象がよくなります。

保存の期間そのものの決め方は顧客情報の保存期間で扱っています。運用を決めるときに、この場面も想定しておいてください。

出戻りは、めずらしくない

前提として、これを知っておいてください。

他の店を試して戻ってこられるのは、よくあることです。そして、多くの場合、こちらに大きな不満があって離れたわけではありません。

引っ越した、仕事が変わった、子どもが生まれた、誘われて一度別の店に行った。理由の多くは、こちらとは関係のないところにあります。

ですから、必要以上に反省しないでください。「あのとき何か失礼があったのだろうか」と考えても、答えは出ません。そして、その考えが態度に出ます。

戻ってこられたということは、悪い記憶ではなかったということです。それだけで十分な情報です。

何度も出入りされる場合

一度きりでない方もいます。来て、しばらく空いて、また来る。

この形を悪いことだと考えないでください。その方にとって、ここは選択肢の1つとして残っているということです。完全に離れているわけではありません。

そして、周期が不規則な方には、次回の予約を無理に取らせないでください。取っても変更やキャンセルになります。「またご都合のよいときに」で終えるほうが、お互いに気楽です。

記録には、来店の間隔が空きやすいことだけを書いておいてください。理由は書きません。次に担当する人が、そのつもりで迎えられれば足ります。

会話の入り方を、決めておく

久しぶりの方を前にすると、最初の一言に迷います。だから、型を1つ持っておいてください。

「お久しぶりです。今日はいかがしましょうか」。これで足ります。

期間にも、理由にも触れず、いまの話から入る形です。そして、相手のほうから話されたら、そこで初めて聞けばよいことです。

会話の型そのものはサロンの会話の設計で扱っています。この場面では、聞き出すのではなく、いつもどおりの入口を用意することが仕事になります。

場面することしないこと
最初の一言「お久しぶりです。今日はいかがしましょうか」期間を言う/理由を聞く
準備前回の記録に目を通す見たことを細かく確認しはじめる
確認「この1年で、カラーやパーマはされましたか」「どこかに行かれましたか」
内容「前回はこのくらいでしたが、今日は」と確かめる記録どおりをそのまま入れる
変更点料金・予約の仕組み・担当を先に伝える会計のときに気づかせる
次回いつもどおりに終える予約や回数券を強く勧める
記録事実だけ「他店に行っていた」「◯年ぶり」

今日やる一つ

久しぶりの方が来られたときの最初の一言を、1つ決めてください。「お久しぶりです。今日はいかがしましょうか」で足ります。決まっていれば、頭のなかで理由を考えているあいだに、余計なことを口にせずに済みます。

よくある質問

なぜ来なくなったのか、聞いてよいですか

聞かないでください。正直に答えれば気まずく、ごまかせば嘘をつくことになります。せっかく戻ってこられたのに、最初の数分で居心地を悪くしてしまいます。理由が分かっても、過ぎた時間は戻りません。

「1年ぶりですね」と言ってはいけませんか

期間には触れないでください。こちらは記録を見て正確に言っているだけですが、言われた側は「数えられていた」と感じます。「お久しぶりです」だけで足ります。「お元気でしたか」も、何かあったと決めつけて聞こえることがあります。

前回の記録は見ますか

必ず目を通してください。何をして、どういう仕上がりで、何を避けたか。これが分かっているだけで、聞くことが減ります。ただし、見たことを細かく確認しはじめると、久しぶりの来店が確認作業になります。頭に入れておいて、必要なときだけ出してください。

他店で何をしたか、確認しなくてよいのですか

施術に必要なことは確認してください。ただし聞き方を変えます。「どこかに行かれましたか」ではなく「この1年で、カラーやパーマはされましたか」。他店の話ではなく、髪や肌の状態を聞く形にすれば、答える側も答えやすくなります。

前回と同じ内容でよいですか

そのまま入れないでください。年齢も、髪や肌の状態も、生活も変わっています。「前回はこのくらいでしたが、今日はいかがしましょうか」と確かめてください。覚えていてもらえたという安心と、いまの希望の確認が同時に済みます。

料金が変わっている場合は

施術の前に伝えてください。会計のときに気づかれると、聞いていないという話になります。「前回から料金を改定しておりまして」で足ります。申し訳なさそうにせず、淡々と伝えるほうが受け取りやすくなります。

次回の予約を勧めてよいですか

強く勧めないでください。「また離れないように」という気持ちは、圧として伝わります。圧を感じた方は、次に来にくくなります。この日にかぎっては、いつもどおりに施術することが正解です。

記録には何を書きますか

来店の日、施術の内容、いまの状態、今日聞いた希望。いつもと同じ項目で足ります。「他店に行っていた」は推測ですし、「1年半ぶり」は次に読む人の態度に影響します。久しぶりだったことは、日付を見れば分かります。

スタッフに伝えてよいですか

伝えないでください。伝えた時点で態度が変わり、それが相手に伝わります。特別扱いは、この場面では逆に働きます。共有するのは、避ける部位や確認した内容など、施術に必要な情報だけです。

記録が残っていない場合は

正直に伝えてください。「以前のお記録が手元に残っておりませんで、改めて伺ってもよろしいでしょうか」。ごまかそうとして中途半端に進めるより、はるかに印象がよくなります。保存の期間を決めるときに、この場面も想定しておいてください。

何か失礼があったのでしょうか

必要以上に反省しないでください。引っ越し、仕事の変化、家族の事情、誘われて一度別の店へ。理由の多くはこちらと関係のないところにあります。戻ってこられたということは、悪い記憶ではなかったということです。

何度も出入りされる方がいます

悪いことだと考えないでください。その方にとって、ここは選択肢の1つとして残っています。周期が不規則な方には次回の予約を無理に取らせず、「またご都合のよいときに」で終えるほうがお互いに気楽です。記録には間隔が空きやすいことだけを書いてください。