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接客・カウンセリング

施術中に眠ってしまわれたとき|起こすか、時間をどうするか

公開: 2026年8月25日

Summary

リラクゼーションやエステで日常的に起きる「眠ってしまわれた」場面の扱いを整理します。起こすかどうかの基準、起こし方の順番、時間の扱い、起きたあとにすぐ立たせないこと、眠っている間にしてはいけないこと、いびきへの対応、様子がおかしいときの見分け方までを扱います。

うつ伏せになって10分ほどで、呼吸が深くなりました。よく眠っておられます。喜ばしいことです。ところが、残り15分になっても起きる気配がありません。次の予約が入っています。

声をかけるべきか。かけるとしたら、いつ、どんなふうに。起こしてしまうのは失礼ではないか。手を止めたまま、そんなことを考えていました。

眠ってしまう方への対応は、どこにも書かれていません。技術の本にも、開業の手引きにも出てきません。それでいて、リラクゼーションやエステ、ヘッドスパでは毎日のように起こります。決めていないから、そのつど迷うことになります。

この記事では、起こすかどうかの判断から、起こし方、時間の扱い、そして眠っているあいだに気をつけることまでを整理します。

決めておく3つを縦に並べた図。1は起こすかそのままにするかで、「寝ているから」ではなく「進められないから」で判断する。2は起こすタイミングと方法で、手の動きを変える、短く声をかける、軽く触れるの順。3は時間の扱いで、眠っていても予定の時間で終える、一度延ばすと期待になる。
決めておく3つを縦に並べた図。1は起こすかそのままにするかで、「寝ているから」ではなく「進められないから」で判断する。2は起こすタイミングと方法で、手の動きを変える、短く声をかける、軽く触れるの順。3は時間の扱いで、眠っていても予定の時間で終える、一度延ばすと期待になる。

眠っていただくこと自体は、良いこと

まず、前提を確認しておきます。

体を緩めるための施術で眠ってしまうのは、うまくいっている証拠です。緊張していれば眠れません。初めての方が眠れるようになったなら、それは信頼が生まれたということでもあります。

ですから、眠らせないようにする必要はまったくありません。この記事は、起こさないための工夫ではなく、眠ったあとどう扱うかの話です。

そして、眠るかどうかは人によります。まったく眠らない方もいれば、座った時点で目を閉じる方もいます。同じ方でも、その日の疲れ方によって変わります。

判断するのは、3つだけ

複雑に考えないでください。決めておくのは次の3つです。

  • 起こすか、そのままにするか
  • 起こすとしたら、いつ、どう起こすか
  • 時間をどう扱うか

このうち、いちばん迷うのが1つめですが、実は基準は単純です。施術を続けるために起こす必要があるかどうか、それだけです。

うつ伏せから仰向けになっていただく、姿勢を変える、こちらの手が届かない。こうした場合は、起こす必要があります。逆に、そのまま続けられるなら、起こす理由はありません。

つまり、「寝ているから起こす」のではなく、「進められないから起こす」という順序で考えてください。

起こし方には、順番がある

急に声をかけないでください。深く眠っている方を突然起こすと、驚かせてしまいます。

順番があります。

  1. まず、手の動きを変える。強さを少し変える、テンポを落とす。これで浅くなる方がいます
  2. 次に、体に触れたまま、名前ではなく短い言葉をかける。「お背中、終わりました」など
  3. それでも起きなければ、肩や腕に軽く触れながら、もう一度声をかける

いきなり3から始めないでください。1と2で起きる方がほとんどです。

そして、大きな声を出さないでください。他のお客様がいる店では、それだけで空間の質が変わります。個室でない場合はなおさらです。

時間の扱いを、先に決めておく

ここが、いちばん決めておく価値のあるところです。

眠っておられると、時間が押しやすくなります。姿勢を変えるのに時間がかかり、こちらも遠慮して声をかけるのが遅れます。

ですから、あらかじめ決めておいてください。眠っていても、予定の時間で終える。これが基本になります。

理由は2つあります。1つは、次のお客様がいるからです。もう1つは、延ばすことを一度でもすると、それが期待になるからです。「前は延ばしてくれた」という記憶は、こちらが思うより正確に残ります。

そして、これは時間で料金をいただく形の施術では、とくにはっきりさせておく必要があります。延長の扱いは時間を延ばさない価格の考え方で扱っています。眠っておられる場合も、同じ基準を当ててください。

起こし方の順番を3段階で示した図。1は手の動きや強さを変える、2は体に触れたまま短く声をかける、3は肩や腕に軽く触れてもう一度。下段に、起きたあとすぐ立たせないこと(座って一呼吸、車の方には一言添える)と、反応が薄いときは眠っていると決めつけないことが置かれている。
起こし方の順番を3段階で示した図。1は手の動きや強さを変える、2は体に触れたまま短く声をかける、3は肩や腕に軽く触れてもう一度。下段に、起きたあとすぐ立たせないこと(座って一呼吸、車の方には一言添える)と、反応が薄いときは眠っていると決めつけないことが置かれている。

終わったあと、すぐに立たせない

これは、安全の話です。

深く眠っていた方が急に起き上がると、立ちくらみを起こすことがあります。うつ伏せから起きる動作は、それだけで負担があります。

ですから、起きていただいてから、少し時間を置いてください。座った姿勢でひと呼吸おいてから、立っていただく。この数十秒があるかないかで、ふらつきの起きやすさが変わります。

そして、飲み物を出す店であれば、この時間に出すのが自然です。飲んでいるあいだに、体が起きてきます。

なお、車を運転して来られている方には、とくに気をつけてください。ぼんやりしたまま運転席に座られるのは、避けたい形です。「少し休んでから出られてくださいね」と一言添えるだけで違います。

眠っているあいだに、勝手に増やさない

これは、原則として決めておいてください。

眠っておられると、こちらの判断で施術を足したくなる場面があります。凝っている場所を見つけた、時間が余った、追加でこうしたほうがよさそうだ。

ただ、同意を得ずに範囲を広げないでください。起きたときに「そこはやらないでほしかった」となる可能性があります。眠っている方は、断ることができません。

触れる範囲そのものの決め方は施術できる部位の線引きで扱っています。眠っている場合は、その線をより厳密に守ってください。

そして、追加のメニューを勧めるのも、起きてからにしてください。半分眠った状態で返事をいただいても、それは同意とは言えません。

いびきをかかれたとき

個室でない店では、これが実際の問題になります。

まず、本人には言わないでください。「いびきをかいていましたよ」と伝える必要はありませんし、伝えられて嬉しい方はいません。

対策は、そもそも聞こえにくい設計にすることです。席の配置、仕切り、流している音。音の環境は、こうした場面でも効いてきます。

そして、姿勢で変わることがあります。うつ伏せで顔の穴に入っている状態と、仰向けとでは違います。仰向けで強くなるようなら、頭の下に入れるものを調整すると変わることがあります。自然に手当てできる範囲で対応してください。

なお、他のお客様から何か言われた場合も、その方のことを説明しないでください。「申し訳ありません」とだけ伝えて、席の配置を見直すほうへ進めてください。

眠っているのか、そうでないのかを見分ける

ここだけは、他と扱いを分けてください。

呼びかけても反応がない、呼吸の様子がいつもと違う、顔色が変わっている。こうした場合は、眠っているのとは別のことが起きている可能性があります。

判断に迷ったら、眠っていると決めつけないでください。まず声をかけ、反応を確かめてください。反応が薄いようなら、体に触れて確かめてください。

そして、様子がおかしいと感じたときの動きは、先に決めておいてください。考え方は施術中に体調が急変したときで扱っています。その場で判断しようとすると、迷っているあいだに時間が過ぎます。

とくに、長時間うつ伏せになる施術や、室温を上げている場面では、注意する価値があります。

眠っている間にしてはいけないことを2つ挙げた図。範囲を勝手に広げないこと、半分眠った状態で追加を提案しないこと。いずれも同意が得られないため。下段に、いびきは本人に言わず環境の側で手当てすること、記録は眠られたか・どのくらいで・時間帯の1行でよいことが書かれている。
眠っている間にしてはいけないことを2つ挙げた図。範囲を勝手に広げないこと、半分眠った状態で追加を提案しないこと。いずれも同意が得られないため。下段に、いびきは本人に言わず環境の側で手当てすること、記録は眠られたか・どのくらいで・時間帯の1行でよいことが書かれている。

記録に残しておく

次回のために、書いておいてください。

書くのは、眠られたかどうか、どのくらいで眠られたか、そして起こしたときの様子です。1行で足ります。

これがあると、次回の組み方が変わります。よく眠られる方であれば、姿勢を変える工程を早めに済ませておく、という組み方ができます。終盤に姿勢の変更が残っていると、起こすことになります。

そして、時間帯も書いておいてください。昼過ぎによく眠られる方と、夜のほうが眠られる方がいます。予約を受けるときの案内に使えます。

会話ができないぶんを、どこで補うか

眠っておられると、施術中の会話がありません。

多くの店では、施術中に状態を聞いたり、次回の話をしたりします。それができなくなります。

ですから、聞くべきことは施術の前に済ませてください。眠られる方が分かっているなら、なおさらです。始まる前の数分に、必要なことをまとめておきます。

そして、終わったあとに伝えることも、短くまとめてください。起きたばかりの方に長い説明をしても、頭に入りません。伝えたいことがあるなら、紙に書いて渡すほうが確実です。

つまり、眠られる方に対しては、会話の型そのものを施術の前後に寄せることになります。施術中に少しずつ聞いていく組み立てのままだと、聞けないまま終わります。

夜の時間帯は、条件が変わる

遅い時間の営業をしている店では、眠られる方が増えます。

その日の疲れがたまっている時間ですから、当然です。そして、そのぶん深く眠られます。

問題は、そのあとです。夜遅くにぼんやりした状態で外に出ていただくことになります。帰り道が暗い、公共の交通機関が少ない、車で来ている。いずれの場合も、昼間より気をつける必要があります。

遅い時間の営業そのものの設計は深夜の時間帯の営業で扱っています。眠られることを前提に、終わりの時間の組み方を考えてください。

スタッフがいる場合

判断を統一してください。

起こす基準、起こし方の順番、時間の扱い。この3つを紙にしておけば、誰が担当しても同じになります。

そして、揃っていないと、お客様が気づきます。「前の人は延ばしてくれた」という比較が生まれるのは、こういうところからです。

新しく入った人には、とくに伝えてください。経験の浅いうちは、起こすことを失礼だと感じて言い出せず、結果として時間が押します。「起こしてよい」と言われていないと、判断できません。

一人でやっている店の場合

逃げ場がないぶん、時間の管理が重くなります。

次の予約との間隔が短い店では、押した15分が次に持ち越されます。そして、その日の最後まで戻りません。

ですから、時間で終えるという基準を、自分に対してこそ課してください。目の前の方に良くしたい気持ちは分かりますが、そのぶんは次の方の時間から出ています。

そして、時計の置き場所を見直してください。施術中に、こちらから自然に見える位置に時計があるかどうかで、押し方が変わります。壁の後ろにあると、確認するたびに手が止まります。

施術の時間と枠の組み方そのものは施術時間と予約枠の設計で扱っています。

眠られたことを、後で話題にしない

最後に、これを書いておきます。

会計のときに「よく眠っておられましたね」と言いたくなります。悪気はありませんし、うまくいった証拠でもあります。

ただ、恥ずかしく感じる方がいます。いびきをかいていたのではないか、口が開いていたのではないか。そう思わせてしまうと、次から緊張されます。

言うのであれば、「お疲れが出ていたのかもしれませんね」くらいにとどめてください。眠っていたことを事実として指摘するのではなく、体の状態の話にする。それだけで受け取られ方が変わります。

眠れる場所であることは、店の価値です。それを守るために、触れないでおく。そういう扱いです。

場面決めておくこと
起こすか「寝ているから」ではなく「進められないから」で判断する
起こし方手の動きを変える → 短い声かけ → 軽く触れる、の順
時間眠っていても予定の時間で終える。一度延ばすと期待になる
起きたあとすぐ立たせない。座って一呼吸。車の方には一言添える
眠っている間同意なく範囲を広げない。追加の提案は起きてから
いびき本人に言わない。席の配置と音の環境で手当てする
様子が違う眠っていると決めつけない。急変時の動きを先に決めておく
記録眠られたか/どのくらいで/時間帯。1行でよい

今日やる一つ

眠られたときに起こすかどうかの基準を、1行だけ書いてください。「姿勢を変える必要があるときだけ起こす」で足ります。基準が1つあるだけで、手を止めて考える時間がなくなります。そして、その1行はスタッフにもそのまま渡せます。

よくある質問

眠ってしまうのは、良くないことですか

良いことです。緊張していれば眠れませんので、うまくいっている証拠でもあります。眠らせないようにする必要はまったくありません。問題は、眠ったあとどう扱うかを決めていないことです。

起こすかどうか、どう判断しますか

「寝ているから起こす」のではなく、「進められないから起こす」という順序で考えてください。姿勢を変える必要がある、手が届かない。そうした場合だけ起こします。そのまま続けられるなら、起こす理由はありません。

どうやって起こしますか

順番があります。まず手の動きや強さを変える、次に体に触れたまま短く声をかける、それでも起きなければ肩や腕に軽く触れながらもう一度。いきなり最後から始めないでください。大きな声も出さないでください。

時間を延ばしてもよいですか

眠っていても予定の時間で終えるのが基本です。次のお客様がいることと、一度延ばすとそれが期待になることの2つが理由です。「前は延ばしてくれた」という記憶は、こちらが思うより正確に残ります。

起きたあと、すぐ帰っていただいてよいですか

すぐに立たせないでください。深く眠っていた方が急に起き上がると、立ちくらみを起こすことがあります。座った姿勢でひと呼吸おいてから立っていただきます。車で来られている方には「少し休んでから」と一言添えてください。

眠っている間に、追加で施術してよいですか

同意を得ずに範囲を広げないでください。眠っている方は断ることができません。起きたときに「そこはやらないでほしかった」となる可能性があります。追加のメニューを勧めるのも、起きてからにしてください。

いびきをかかれたら

本人には言わないでください。伝えられて嬉しい方はいません。対策は、席の配置や仕切り、流している音といった環境の側でします。姿勢で変わることもありますので、自然に手当てできる範囲で調整してください。

他のお客様から指摘されたら

その方のことを説明しないでください。「申し訳ありません」とだけ伝えて、席の配置を見直すほうへ進めてください。

眠っているのか分からないときは

眠っていると決めつけないでください。呼びかけても反応がない、呼吸の様子がいつもと違う、顔色が変わっている。こうした場合は別のことが起きている可能性があります。急変時の動きは先に決めておいてください。

記録には何を書きますか

眠られたかどうか、どのくらいで眠られたか、起こしたときの様子。1行で足ります。時間帯も書いておくと、予約を受けるときの案内に使えます。よく眠られる方は、姿勢を変える工程を早めに済ませる組み方ができます。

施術中に話を聞けません

聞くべきことは施術の前に済ませてください。終わったあとに伝えることも短くまとめます。起きたばかりの方に長い説明をしても頭に入りませんので、紙に書いて渡すほうが確実です。

夜遅い時間は、何が変わりますか

疲れがたまっている時間ですので、眠られる方が増え、そのぶん深く眠られます。問題はそのあとで、ぼんやりした状態で外に出ていただくことになります。帰り道や交通手段を含めて、昼間より気をつけてください。

スタッフがいる場合は

起こす基準、起こし方の順番、時間の扱いの3つを紙にしてください。揃っていないと「前の人は延ばしてくれた」という比較が生まれます。経験の浅いうちは起こすことを失礼だと感じて言い出せませんので、「起こしてよい」と伝えておいてください。

会計のときに、話題にしてよいですか

「よく眠っておられましたね」は避けてください。いびきをかいていたのではないかと、恥ずかしく感じる方がいます。言うなら「お疲れが出ていたのかもしれませんね」くらいにとどめ、体の状態の話にしてください。